9月10日 あっぱれ!トーク
今回は「効果」の近江一夫さんをご紹介します。
近江さんは、ベテランの効果マンです。
スタッフクレジットに「効果」という欄が出てきますが、多くの皆さんは
何の仕事かわからないと思います。
「効果」とは「効果音」の総称といっていいでしょう。
ドラマなどでは、馬のひずめの音や風の音、ドアのきしみ音などなど
様々な効果音を使うことはわかると思います。
バラエティ番組で、芸人どうしで肩をはたいた時に大げさな「バシッ!」という音がついて
面白さを倍加させるのも効果音です。
ドラマでも旅番組でもドキュメンタリーでも、音楽をうまく使ってシーンを盛り上げる。
これも「効果」の仕事です。
〈本番中のスタジオ調整室。一番右が効果の近江さん〉
ドラマなどではストーリーにあわせて特別に作曲することもありますが、
多くの番組ではすでに市販されている楽曲の中から選んで使用することが多いのです。
そして、どんなシーンにどんな曲が合うか?効果マンの頭の中には音楽の情報が山ほど詰まっているのだそうです。
また、ひとつの局のほんの一部分の音だけをつまみ出して効果的に使う、なんてこともします。
〈進行に合わせながらタイミングよく音楽や効果音をつけていく〉
普段の「あっぱれ!KANAGAWA大行進」では、夕方4時くらいに撮影したVTRが局に届きます。
担当ディレクターたちが、大急ぎで映像の内容や時間計算の確認などを進めていくと同時に、
効果の近江さんはどのシーンでどんな音をつけるか、どこで音楽をどのくらいつけるか、
むしろ音楽をつけないほうがいいか・・・等々、チェックと判断をして必要な音の素材を用意していきます。
それでも、「あっぱれ!・・・」は使用する音の量は少ないほうの番組です。
「撮って出し」という限られた時間の制約の中で放送に間に合せるということもありますが、
出来るだけ効果音に頼らずに現場の音だけでありのままを伝えて生きたい、
というプロデューサーの方針があるからです。
ただ同じ「あっぱれ!・・・」でも今回の「増刊号」の場合は違います。
「増刊号」は撮って出しではなく、デビット伊東さんと三﨑アナウンサーのやり取りも
事前に撮影して編集したものを放送するので、効果音も音楽もそれこそ効果的に使って
いつもと違うテンポある雰囲気を作るようにしています。
〈パソコンで映像を見ながら効果音を計算していく〉
そこで近江さんは、放送の3日前から編集された番組VTRを、
それこそ何十回も見て「どこにどんな音をつけていくか」「どんな音楽を流していくか」考えます。
音づくりを「考える」というより「計算して」いるのです。
その中には、先ほどもいった「ある音楽のほんの一部分のあの音を抜き出して使おう」
ということも入っています。
近江さんのパソコンには、常時300曲もの音が入ってのだいるそうです。
〈ライブラリー兼音響素材準備室〉 〈アナログレコードにも対応できる〉
パソコンにある曲で納得できないときは、レコード(CD)ライブラリーにいって膨大なCDから探していきます。当然、徹夜はいつものことです。
プランに沿って、様々な音がデータとしてパソコンに整理されていきます。
そして金曜日。スタジオで番組を完成品にする最終作業がおこなわれます。
画面に文字やイラストをスーパーしたりCMを流すタイミングを整えたりということと同時に、番組全体の音量レベルを整えながら近江さんの用意した音楽や効果音が正確に適性レベルで出されていきます。
〈9月9日の本番風景〉
今回放送の「あっぱれ!KANAGAWA大行進」も、こうして完成しているのです。テレビ番組って、いろんなパートのプロたちの力が合わさって出来上がっていくことがお分かりいただけるでしょうか?