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神奈川ビジネスUp To Date

神奈川ビジネスUp To Date

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放送時間

毎週月曜日 21時~21時30分
  土曜日 23時~23時30分(再放送)

番組内容

いまの神奈川経済がわかる!
全国の上場企業1800社中、約200社が本社を置く神奈川県。
県内唯一の地上波テレビ局tvkが県内で活動する企業を中心に各企業の魅力的な取り組みやトップインタビューなどの経済情報をお届けします。

出演

内 田 裕 子(経済ジャーナリスト)

■プロフィール
大学卒業後、大和証券入社。社内TV放送のキャスターに抜擢されマーケット情報や経営者との対談番組に多く出演。2000年、財部誠一事務所に移籍し経済ジャーナリストとして活動開始。国内だけでなく新興国などの取材も多く、製造現場の取材、経営者へのインタビューを得意とする。
著書に大西 洋氏(三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員)との共著「三越伊勢丹 モノづくりの哲学」(PHP新書)。

3月13日放送分
「老舗書店チェーンの経営課題や戦略、これから」

ゲスト
株式会社有隣堂
代表取締役社長 松信 裕さん


【プロフィール】
1944年 横浜市出身。
1967年 慶應義塾大学卒業。
1987年 有隣堂 非常勤取締役、
1999年 代表取締役社長に就任。


老舗書店として、神奈川では良く知られた存在の「有隣堂」。その社名は、論語の一節「徳孤ならず 必ず隣有り」に由来し、1909年、明治42年、横浜市伊勢佐木町で間口2間、奥行3間の小さな書店として創業。横浜の発展とともに営業エリア・店舗数を拡大、現在では神奈川を中心に53店舗を展開しています。また、書籍販売以外の分野でも事務機器を扱うなど、書店以外の事業にも取り組む企業です。

内田
書店チェーンの社長ということで、様々な本をお読みになっているのだろうと想像するわけですけれども、これまでの人生に影響を与えたり、印象に残っている本があれば、教えていただけますか?

松信
そうですね、いろんな本を、それこそもう乱読・雑読みたいな感じです。でも、最近はやはり時間がないのと忙しいので。本屋の親父ですから、本を買うのは買うのですけれども、読む時間がない。それで、つまみ読みと言いますか、つまみ食いと言いますか。そういう状況が続いていまして。まだまだ、これから手を付けるのには時間がかかるかなと。

内田
よく「積読」と言いますよね。読もうと思っている本が書斎に積み上がっていく感じですか?

松信
ええ。ここにね、こういう本を持ってきたのですよ。「本で床は抜けるのか」(著:西牟田靖・出版:本の雑誌社)。我が家はまさにこの状況でございまして。私のカミさんは「地震が来て、本で圧迫されて死ぬのは嫌だ」とノイローゼ気味でございまして。それくらい本は買ってある、読んでいる。パラパラ、ですけどもね。

内田
それはどんな感じ?何冊くらいあるのでしょうかね?

松信
何万、でしょうね。

内田
本当に冗談なく、「抜ける」かもしれないですね。

松信
はい、「抜ける」と書いてあります。

内田
社長にお持ちいただいた本がありますけれども、今お読みになっている本?

松信
「Fashion Business 創造する未来」(出版:繊研新聞社)尾原蓉子さんという、ファッションビジネス界では有名な方なのですね。毎年アメリカのファッションを見学に行かれて、全米で小売業大会というのに行かれて。何が書いてあるかというと、日本はもう、amazonにやられっ放しで、皆小売業はヒーヒー言っているわけですけど、アメリカはもっとヒーヒー言っていると。

内田
そうですか。

松信
ですから、リテーラー、小売業がデジタル武装しないと、洋服屋にしても靴屋にしても雑貨屋にしても「潰れてしまうよ」という、そういう、警告の本です。これは本屋でも十分通用する話というか、どう対処していったらよいのか。ですから、デジタル武装しない小売業はこれからやっていけないという、そういうことが多分、書いてある本です。

内田
では有隣堂としても、デジタル武装をしていくと?

松信
お金がかかるので、十分ではないのですけどね。スマホで在庫検索は全部できる様になっていますし、店頭で本を探すのもできる様になっていますけど。ただ、amazonみたいに「翌日届けますよ」という能力はまだ持ち合わせていない。もう一つは「電子書籍」ですよね。「電子」はやはり、コンテンツを持っておりませんので、やはりコンテンツを持っている出版社が一人勝ちという状況ではないのでしょうか。それが進んでいくと、出版社ももういらない時代。著者とお客様と、あとそれを上手く編集する編集者さえいれば、電子本は出せる。そういう状況の時代ですから。大変な時代ではあるのですよね。

内田
是非お伺いしたいのは、今顕著に表れているのが「若い人の活字離れ」ということなのですけども。ちょっと記事をいただいたのですけど、「1日の読書時間が0分」の大学生が5割。これはどうですか?

松信
もう大問題。

内田
大問題ですよね。これは分析するに、どういうことになっているのですか?

松信
「デジタル革命」ですよ。「デジタル・ディスラプション」ですね。要するに、デジタルの技術で今までの世の中がひっくり返るくらい変わるという、その過程での話だろうと思うのですね。ですから、「活字離れ」と言いますけども、多分、スマホなりタブレットで「活字」は読んでいらっしゃるのですよ。ただ、新聞にしても本にしても、「紙媒体」で読んでいる方は少なくなってきた。これは「紙」が頑張っていくしかないのですよね。

内田
様々な店舗を持っていらっしゃって、その店舗の見え方も、若者の活字離れ、紙媒体の本離れというのは、目立つというか、分かりますか?

松信
分かりますね。要するに柔らかい本に、やはり世の中がシフトしてきているのかと。例えば、「開脚・足をベタっと開く」などベストセラーになりましたけれども。

内田
はい、ありましたね。

松信
実に実用的な、現実的な本ですよね。どんどん若者、若い奥様・お嬢様方には売れている、という現実もあるのですね。それこそ、本当に人によって様々な興味の対象が違いますので。

内田
すごく多様になってきた?

松信
すごく多様になってきている。ただ、店舗の面積に限りがありますので、何を置いて何を置かないか、という選択をした時、やはりお客様の層に合わせる。そうすると、そこに岩波だけダーっと置いても多分売り上げが取れないから、文庫だけ、少し隅に置いて。「ベタっと開脚」ですとか、「これでお腹がへっこむ」とか、そういう本が幅を利かせてくるということではないのかな。出版社に怒られそうですね。

内田
そういうマーケティングというのは大事だと思うのですよね。そういうものをしっかりとリサーチして押さえていくというのも、本をしっかり売っていくポイントなのか?

松信
それは、店長以下従業員の技だと思うのですよね。あるお店ですごく雑誌が売れていました。ところが、(店長が)転勤で別の店に移ったとたんに、ガサっと売り上げが落ちる。それで、転勤先でまたバっと売り上げが上がる、ということはよくある話。

内田
そんなに変わるのですか?

松信
変わります。ですから、「棚の作り方」。お客様への見せ方、並べ方。その、連想ゲームできちんと繋がっていく様な本の並べ方。そういうのが大事になってくる。それはもちろん、お客様の層を理解して、ファミリー層なのか、ビジネスマンなのか。やはりちょっと違うと思うのですよね。

内田
そうは言っても、有隣堂さんは店舗数も増えていて、売り上げもしっかりとキープされているということなのですよね。

松信
ちょうど、創業して106年です。創業時は、ほぼ100パーセント、本からスタートしているのですけど、今は50パーセントを切っているのですね。

内田
「本」はその売り上げシェアの中で?

松信
はい。売上の中のシェアが、47~48パーセントまで下がっています。その「下がっている」というのは「縮まった」、というわけではなくて、パイが広がっているわけなので。それで、後の50パーセントは何で稼いでいますか?と言われると、オフィス家具やBtoBの仕事を、ここ何十年か一生懸命やっておりまして、そういうもので、残りの50パーセントを稼いでいる、という状況でございます。

内田
出版不況と言いますか、そういうものを相当早くから予測していたことなのか、もしくはそうではなく、しっかりと多様な収益源を求めていくのだ、という、そういうことなのですか?

松信
いや、違うのですよ。祖父が創業した会社なのですけど、11人子供を産んだのです。その内の6~7人が有隣堂の経営を手伝ったのですね。それで、当時店舗は1店舗だけで、2人いれば十分だったのですよ。そうすると、残りの4~5人は「外へ行って稼いでいらっしゃい」という状況だったと思うのですね。これ、私は固く信じているのですけども。

内田
最初は小さい店舗から始めた、ということで、2人いれば十分だと。

松信
今は、レジというか、お金を扱う方はアルバイトの方にお任せしているのですけど、昔は身内がやっていたのですね。ですから、レジスターのところに身内の者がへばり付いたら、あとはもう要らないという。なので「外へ出て稼いでおいで」というのが始まりだったと思うのですね。ですから、別に志を立ててBtoBの仕事を始めたわけではないと思うのですけども、結構みんな真面目でしてね、育ってしまったのですよ、それが。

内田
それぞれの事業が?

松信
はい、楽器にしても、パソコンにしても、コピー機にしてもですね。そういう結果が、今の姿に繋がっているのではないかなと。

内田
そういう強みをこれからもう少し打ち出していって、ただ本屋だけではないという、そういう「もう一つの顔」を見せていく?

松信
そうですね。「ダブル・フェイス」「トリプル・フェイス」と言うか、本屋は本屋で確かに苦戦しておりますので、他のものを並べてカロリー補給をしていこうという部分。それから、BtoB。本はほとんどがBtoCでございますので、BtoBの事業をもう少し増やしていきたい。それで、有隣堂全体の円を広げていきたいという、そういう考えでございます。


本離れが叫ばれる中、現在も年間8万点近くの本が出版されていると言われます。有隣堂では、本の楽しさ、本を通した「人」と「人」のつながりを作るために、「ビブリオバトル」という本を紹介し合う新感覚のゲームイベントを行っています。

内田
裾野を広げていく、本のファンを増やしていく、ということで、いろいろリアルイベントも積極的に書店でやっている、ということなのですけども?

松信
やはり日本国を挙げて、若者が本を読まなくなったというのは問題になっておりましてね。2001年に「子供読書推進法」という法律ができたのですよ。それから、2005年に「文字活字文化振興法」というのができて、私は両方に関わっているのですけども。やはり国会なり行政なりも、日本国民が本を読まなくなったというのを、えらく心配しているのですね。それでその法律ができてから、いろいろな読み聞かせだとか、うちでやっている「ビブリオバトル」であるとか、そういうものが極めて盛んになってきています。私どもも、「ビブリオバトル」をもう50何回、60回くらいやっているのかな。

内田
そんなにやっているのですか。

松信
ファンが増えております。

内田
この「狙い」は何ですか?

松信
やはり「本の面白さを伝える」ということですね。興味を持っていただきたいという。そういう意味の活動だと思っております。

内田
それを裏返すと、何か中身を少し垣間見せてあげるというか、背中を押してあげると、「買いたいな」という風に思える。そういう潜在的な欲求があるけれども、なかなかそこを突っつかないと何の本を買っていいか分からない?

松信
分からない。よほど有名な方の本とか、好きな作家の本、とかが決まっていればいいのですけども。思わぬところに思わぬ拾いものがあるかもしれないではないですか。バトラーが紹介してくださって「面白いな」ということになれば、お買い上げいただけるかもしれない。なので、売上を目指した行為ではない。やはり、本を楽しんでもらえる様に、好きになってもらえる様に、興味を持ってもらえる様に。そういう目的でやっている行事だと思っております。

内田
有隣堂さんとしては「私がおすすめする本と仲間たち」。これはずっとやられている?

松信
もう、10年くらい続いているのではないでしょうかね。

内田
この狙いは何ですか?

松信
選書のガイドになればいいということで、何千冊か刷って店頭に置いて「ご自由にお持ち帰りください」と。それで、読まれた方が「じゃあ、面白そうだから読んでみよう」と。私的書評誌、ですよね。

内田
これはどなたが?

松信
全部うちの従業員です。あるショッピングセンターの偉い人から伺ったのですけど、ショッピングセンターの係りの方が、休憩時間にいろんなテナントを回って、お話を聞きにいくと、「皆スマホをいじくっているけど、有隣堂の社員だけはいつも本を読んでいますね」と。

内田
そうですか。

松信
ですから、お陰様で本好きがまだいるにはいらっしゃる。なので、うちらあたりにも働きに来て下さる方が結構いらっしゃる。これは宝ですよ。


ららぽーと湘南平塚店に入る店舗では、書店エリアの本を持ち込んで試し読みできる、ブックカフェも併設されています。このカフェでは、本にまつわるフードメニューを楽しめるなど、本が好きになる空間の提供を行っています。

内田
この先、松信社長が考える「理想の書店の姿」とは、どの様なものですか?

松信
難しいですね。一つのパワーとして、「もっと本を読んでいこう」という、国民なり市民の皆さんの間に動きが出てくればいいですけど、多分、出てこない。要するに、もっとデジタルに走る。そういう傾向が続くのだろうな、という気はしております。でもそれは、第四次産業革命と言われている時代の中で、ある意味では致し方ないことでありまして。ならば、「本屋に来たら楽しいよ」「面白いよ」と。本を中心に、いろいろなものを置いてあるよという、そういう店舗展開をしていかざるを得ないのかと。それで、本だけ置いてもやはりカロリー不足になる、お家賃が払えない、という状況になるのですよね。ですから、うちは創業の頃から文房具を扱っておりますけれども、文房具であるとか雑貨であるとか、カフェであるとか。その本を中心のエトセトラで店舗を作っていく。それでなおかつ、本の売り場はやはりお客様との対話の中で、その興味を引く様な棚を作っていく、品揃えをしていく。それが両方相まっていくという状況が理想、今現在の理想なのかなという気はしていますけどもね。

内田
有隣堂さんみたいにしっかりリアル店舗を展開していてノウハウもある、というところは、amazonなんかに変に対抗してもあまり意味がないですよね?

松信
多分、「多勢に無勢」の世界になってくるのではないでしょうか。今でももう既になっていますよね。多分、日本で一番本を売る本屋は、紀伊国屋でも蔦屋でもなくて有隣堂でもなくて、amazonですよ。ですから、それに対抗して「amazonが強いからやめてしまう」ということは考えられないので、いかにリテーラーとしての、本屋としての売り場を魅力的に演出して、お客さんとの対話を盛んにしていくか、という。そこに尽きるのではないでしょうか。

内田
有隣堂という会社、これからどうなっていくのでしょうか?

松信
BtoBを増やしたい。BtoCも頑張りたい。欲張りです。人・モノ・金を一極集中するというのは常套なのでしょうけども、敢えてBtoCも狙う、BtoBも狙う。それでBtoBは、もっともっと、知識なり技術力なりが要りますので、これをやはりどう鍛えていくか、という問題であろうと思います。例えば、ペッパーくん、あるいはドローン。そんなものも将来的には、扱える様な会社になりたい、という風に思っております。

内田
そういう意味では、オフィス機器みたいなものもずっと扱ってきた流れで、これからAIという流れがありますから。

松信
ええ。ロボット、人工知能。難しいですよね。年寄りには解らない世界になってきてから、若者にどう、上手く入ってきていただいて育ってもらうか。この辺が、社長としては一番難しいところですね。



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3月27日の放送内容

大手自動車メーカーの企業哲学など
神奈川経済の“今”を分かりやすく伝える経済番組。 今週は、横浜市に本社を置く、日本の大手自動車メーカー・「日産自動車」を特集します。 自動車のグローバル販売台数及び、グローバル生産台数が共に400万台を超える、日産自動車。世界的な自動車メーカー・日産自動車の「地域との関わり合い」や「自動車産業を見据える企業哲学」などについて伺います。

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