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神奈川ビジネスUp To Date

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放送時間

毎週月曜日 21時~21時30分
  土曜日 23時30分~24時(再放送)

番組内容

いまの神奈川経済がわかる!
全国の上場企業1800社中、約200社が本社を置く神奈川県。
県内唯一の地上波テレビ局tvkが県内で活動する企業を中心に各企業の魅力的な取り組みやトップインタビューなどの経済情報をお届けします。

出演

内 田 裕 子(経済ジャーナリスト)

■プロフィール
大学卒業後、大和証券入社。社内TV放送のキャスターに抜擢されマーケット情報や経営者との対談番組に多く出演。2000年、財部誠一事務所に移籍し経済ジャーナリストとして活動開始。国内だけでなく新興国などの取材も多く、製造現場の取材、経営者へのインタビューを得意とする。
著書に大西 洋氏(三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員)との共著「三越伊勢丹 モノづくりの哲学」(PHP新書)。

5月8日放送分
「新たなパーソナルモビリティ 市場創造への挑戦」

ゲスト
WHILL株式会社
共同代表取締役 兼 最高技術責任者 福岡宗明さん


【プロフィール】
1983年 大阪市出身。
2008年 名古屋大学大学院工学研究科卒、オリンパス株式会社入社。
2009年 Sunny Side Garage設立。
2012年 WHILL株式会社設立。
2013年 WHILL,Inc設立。


スケー横浜のベンチャー企業が開発する「パーソナルモビリティ」を特集。65歳以上の人口が1/4を超えた日本。歩行困難者の増加に対し「脱・車イス」を掲げ、新たな移動手段を提供するWHILL。会社設立の経緯から、6月に発売する新モデルの開発秘話について伺います。

内田
私、今WHILLに乗っているのですけれども、動かし方を教えていただけますでしょうか?


福岡
まずは、このレバーを引いていただくと、これで電源オンになります

内田
はい、ブルーのライトが付きました。


福岡
もうあとは、このマウスを操作して、右に少し倒していただけると。

内田
はい、動きますね!ずいぶん滑らかに動きますね。




福岡
こういう形で、すごく狭い空間でも1回転して、Uターンできるというのが特徴になっています。

内田
なるほど。この開発をする段階で技術的に一番苦労されたところはどこですか?


福岡
やはりこの前輪になりますね。先ほどすごく狭い空間の中でもスムーズに運転できたと思いますけれども、その特徴を作っているのが、この前輪になります。これは「オムニ・ホイール」というタイヤになるのですけれども、横に動くのですね。

内田
普通、タイヤは前にグルグル回るものじゃないですか。これは横に動く?


福岡
横に動くときには(地面に)当たっているところだけが回るんですね。前に大きい段差があったときでも、このときには大きな前輪として動くことで段差を越えていくことができるのです。


内田
この工夫は「段差を越えるためにはどうしたらいいか」というところが大きい課題だったわけですか?


福岡
そうです。いわゆるハンドル付きの電動車イスと呼ばれるようなものだと、タイヤが大きいから段差を越えていけるのですね。だけど、あれだと(カーブして進むことしか)動けないんですね。このタイヤを使うことで、その場で回転することができる。

内田
もうこれがすごく大事。大きな違いですね。


福岡
はい。

内田
WHILLという会社は誕生してから、何年になるのですか?


福岡
もうすぐ5年になります。

内田
どういうきっかけで、この会社は生まれたのですか?


福岡
最初は本当にボランティアグループのようなもので、大学の同級生と集まって作ったという、そこから始まりました。

内田
どういう話がその中で生まれたんですか?


福岡
自分たちで「何か新しいもの作ってみようよ」ということをやっている中で、リハビリテーションセンターに行く機会がありまして。そこで、あるユーザーから言われた言葉がすごいきっかけになりました。

内田
それはどういう言葉だったんですか?


福岡
「100メートル先のコンビニに行くのをあきらめる」と。「なんでなんだろうな」という、そういうところから始まりました。

内田
そのきっかけとなった「100メートル先のコンビニエンスストアにも行けない人たちを行かせてあげたい」というところから始まって車イスの開発ということになったのですけれども、最初はこういうWHILLのような形ではなかった?


福岡
全然違いました。やっぱり車イスっていろいろな障害があります。外に出たときに段差があるとか、悪路があるとか、乗り降りが大変だとか、そういった物理的な問題というものに僕ら最初に着目したのですけれども、いろいろ話を聞いていくと、物理的な問題というよりも、精神的な部分というのがすごく強いなと感じまして。

内田
まずそれを解決しようというところから、事業といいますか、活動はスタートしたということですか?


福岡
そうですね。そのときにすごくシンプルに「じゃあ、カッコいい車イスを作ろう」っていう。もう本当にすごくシンプルな話ですけれども、それを作ったら、みんな外に気軽に出て行くんじゃないかというところから、このプロジェクトは始まりました。

内田
今のWHILLの形になる前に、新興国市場にチャレンジするというプロセスがあったんですよね?


福岡
「すごく安い車イスがあったら、新興国でも自分たちで車イスを作ることができるんじゃないか」という話をしていたのですけれども、それはものすごく安くないと「やっぱり駄目だね」と。例えば500円くらいであっても、高いと言われるような、そういう世界だったので。それに関して調べていた中で、日本のリハビリテーションセンターに行く機会があって、そこでそういうユーザーの声を聞いて、方針を変換、というよりは、やっぱりここの問題というのを解決しにいこうっていう風に思えた。

内田
まず何から始めていったのですか?


福岡
一番最初に決めたのが、ちょっと変な話ですけども、「どこで発表しようか」という。

内田
モノがまだ全くできていない中で、「どこで発表するか」。なぜ、そこにこだわったのですか?


福岡
目標を先に決めないと、みんな日常の仕事の中で埋もれてしまう。それで「先に目標を決めよう」というので、最初すごくシンプルに「カッコいい車イス」というところを考えたのですけれども、見た目だけではなくて、イメージというのもやっぱり大事だと。「これは新しいカテゴリーの乗り物なんだ」という風にみんなに思ってもらいたい。そういう気持ちで東京モーターショーに「パーソナルモビリティ」として出展しました。

内田
そこでひとつ、みんなで掲げてきた目標は達成したわけですよね、出すというところは。そこから先の目標は決めていなかった?


福岡
なかったですね。

内田
それで、どうしようと?


福岡
当時、ある車イスメーカーの社長さんから言われた言葉があるのですけども、「これ、ちゃんと製品にしないと罪なことだよ」と。コンセプトだけ発表して、それを製品化しないというのはすごく罪なことで、みんなそれを夢に見て、待ってしまうと。

内田
なるほど。


福岡
市場ニーズがあるとかというよりも、「やんなきゃ駄目だ」と、何か使命感を。

内田
感じたわけですね。


福岡
そうですね。


東京モーターショーで大反響を得たパーソナルモビリティ。この段階では製品化の考えがなかったそうです。そして、同じものづくりサークルの3人がそれぞれ会社を辞め、2012年にWHILL株式会社を設立。翌年にはアメリカに本社を移転します。


内田
アメリカに本社を作ろうと。これは何で日本ではなくて、アメリカに行ったのですか?


福岡
これは二つ理由ありまして。反響としてアメリカの方からの反響が大きかったということと、やはり資金調達ですね。今、「ハード屋ベンチャー」という言葉がいろいろなところで聞かれるようになってきたと思うのですけれども、当時はもう本当になくて、日本で。日本で「ものづくりでベンチャー」というのは全くなかったし、誰もお金を出してくれなかったですね。

内田
出資は募ってみたのですか?


福岡
募ってみました。もう、いろんなところに話をしたのですけども。

内田
断念というか、「日本じゃ駄目なんだ」と?


福岡
そうですね、当時はそういう気持ちでアメリカに行きました。

内田
アメリカに行って、思うような、ある意味エンジェルとか、ベンチャーキャピタルであるとかという、繋がりというのはできたのですか?


福岡
アメリカでいろいろなところで話をしていくと、その当時、特にアメリカ西海岸、シリコンバレーといわれるエリアでは、「ハード屋ベンチャー」、「ものづくりベンチャー」というものが、どんどん主流になってきていたのですね。そこですごく投資家の人たちも話しやすくて、「君たちのはすごく可能性があるから」というので、お金を出してくれることになった。それが入った後、日本の投資家の方も。

内田
よくあるパターンですね。肝心なのは、「商品を作る」ということですけれども、これはどうでしたか?


福岡
モノを作るという点では、日本の方が圧倒的に良くて、日本で開発していたのですけれども、ユーザーからのフィードバックという点ではアメリカの、シリコンバレーというエリアはすごく良かったと思います。「君たちの“カッコいい”とか、“デザインを重視する”というコンセプトは、こういう人たちに受けるだろう」とか。そういうコンセプトの部分でフィードバックをもらえたのは良かったですね。

内田
「売れていく」ということがとても大切になっていくところですよね?販売をしていくということ。ここはどうでしたか?


福岡
いや、苦労しました、本当に。

内田
思うように売れなかった。これは何が原因だったのでしょう?


福岡
「良いものを作れば、すぐ売れる」という風に、そんな単純に思っていたわけではないのですけれども。モノを顧客に届けるまでには、本当にいろいろな人の協力を経てちゃんと届いているのだと、そこの人たち、販売に関する人たちという存在を、やはりもっともっと重要視しなければいけなかったと感じています。今は本当にいろいろな代理店さん、販売店さんと協力関係を結びながら販売することができて、数も伸びるようになりました。


パーソナルモビリティ・WHILLの魅力は、明らかに車椅子と異なるこの「デザイン」。若者だけでなく、確実に幅広い世代へと伝わっています。


内田
やはりデザインというのは大事ですね。


福岡
やはりイメージを引っ張る一つの、大きな要素だと思っています。モノだけではなくて、イメージというものを変えていきたい。そのためには見た目、外観のデザインというものに関して強いこだわりを持っています。僕らの特徴的な部分というのは「アーム」と呼んでいるのですけれども、斜め方向にラインを持っている。

内田
ええ。


福岡
横から見たときに斜めのラインができている。あのラインというのは、すごく大事にしていまして。イスというのは、必然的に後ろに倒れているようなラインになっている。これをなんとか前に倒れているような、人も含めて、物を使って表現できないかというところで、まっすぐ、スッと、前に出ているアームというものを作ったのです。これによって既存の車イスとは違ったイメージを持たせているという部分が強いのですけれども、ただその一方で、あのアームというものがあることで、設計が複雑になったりであるとか、そういった部分はずいぶん苦労しました。

内田
非常に面白いです。その「前に向かっていくデザインにしたい」というのは。


福岡
なかなか表現が難しいのですけども、あのアームがなかったら「イス」になるのですよね。

内田
確かに、あの白いラインがなくって、同じ黒の色で埋もれていたとしたら、「イス」ですね。


福岡
「イス」っぽくなっていく、動かないものに見えていくのですよね。「モビリティ」に見えなくなっていく。

内田
動かないものになる。面白いですね。あのラインがあることで乗り物になる。それは感覚的なものですか?


福岡
感覚的なものなのかもしれないですね。これに関しては本当にいろいろな側面から、僕らも、いろいろなものを作って、「これだったらどうだ、あれだったらどうだ」とやった結果、「やっぱりここのラインっていうのはすごく大事だ」という風に結論付けましたね、はい。

内田
やっぱりデザインの力っていうのは?


福岡
すごく力があると思っています。


6月に発売が決まった新モデル・WHILL「Model C」。今までよりはるかに軽量化され、また多くのユーザーが希望した「車載したい」という声に応えて分解が可能に。さらにIoT化され、故障なども遠隔でわかるようになりました。


内田
この「Model A」から「Model C」に開発を移行していくという際に、いろいろな工夫とか、「Model A」ではできなかった反省であるとか、いろいろなものが織り込まれていると思うのですが、これはどのようなものがありますか?


福岡
まず価格。

内田
やはり高すぎた?


福岡
満足いただいているお客さんもすごく多くいらっしゃるのですけれども、「もっと安くすれば使えるのに」という声は、常にいただいていました。

内田
コストダウンをするという工夫が「Model C」にはある?


福岡
そうですね。

内田
苦労した部分というのはどこですか?


福岡
まあ本当に、いろいろな苦労をしたのですけれども、例えば分解機構ですね。

内田
分解するということは、ある意味、弱くなるわけですよね


福岡
そこの「ガチャガチャした部分」を、いかにして耐久性を保ちながら、安全に使っていただく、でも簡単に分解できるようにしようと。

内田
今後「Model D」なのか「E」なのかわかりませんけども、「進化していく」というものを見据えると、どういう乗り物になっていくのですか?


福岡
そうですね、やはり「自動停止」だったり、「自動運転」というところに今後取り組んでいきたいと思っています。

内田
これからWHILLという会社がどういうものを目指していくのかということをお伺いしていきたいのですけれども。今、思い描いている部分で言うと、目標のところまで、何合目まで来ていますか?


福岡
まだ本当に、2合目3合目とか、始まったばかりと言っても過言ではないのかもしれないですね。やっぱり大きいのは、実際に「100メートル先のコンビニに行くのをあきらめる」ということを言っていらした方にWHILLという製品を届けて、「コンビニに気軽に行けるようになった」と言われた。僕らにとってはすごくそれが大きな一歩だったんですね。

内田
はい。


福岡
だけど、まだ「イメージを変える」ということころまでは至っていないと思っています。アメリカの人というのは、ちょっと足が悪くなったりとか、長時間歩くのが苦しくなったというときには、自然にモビリティを使うんですよね。だけど日本の方だと「いや、電動車イスに乗るほどではない」と。そういうときに頑張るんですよね。もっと自然に楽をして、外行っていいよ、行こうよと。もっと外で生活楽しもうよと。

内田
その人たちにWHILLが届き切っていないというのは、何がいろいろな壁があると思うのですか?


福岡
そうですね。

内田
それを乗り越えていくために?


福岡
60代、70代のお客様にWHILLの試乗を薦めたときに言われる言葉として、「まだ私はそれを使わない」という風に言われるのですけども、その感覚をどうやって消していくか、だと思います。「まだ」というのではなくて、もっと気軽に、「じゃ、今日使ってみよう」とか、そういう風に気軽に使えるようになる。

内田
WHILLというのは、これからどういう会社になっていくのでしょう?


福岡
僕らのやろうとしていることというのは、「世界を変える」ということだと思っているので、常に先陣に立って走っているような会社でありたいと思います。私たちが掲げているミッションは「全ての人の移動を楽しくスマートにする」。電動車イスを使っている方から、走れる方まで、そういう人、全ての人の移動を、楽しくスマートにしていきたいと思っています。



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