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神奈川ビジネスUp To Date

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放送時間

毎週月曜日 21時~21時30分
  土曜日 23時30分~24時(再放送)

番組内容

いまの神奈川経済がわかる!
全国の上場企業1800社中、約200社が本社を置く神奈川県。
県内唯一の地上波テレビ局tvkが県内で活動する企業を中心に各企業の魅力的な取り組みやトップインタビューなどの経済情報をお届けします。

出演

内 田 裕 子(経済ジャーナリスト)

■プロフィール
大学卒業後、大和証券入社。社内TV放送のキャスターに抜擢されマーケット情報や経営者との対談番組に多く出演。2000年、財部誠一事務所に移籍し経済ジャーナリストとして活動開始。国内だけでなく新興国などの取材も多く、製造現場の取材、経営者へのインタビューを得意とする。
著書に大西 洋氏(三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員)との共著「三越伊勢丹 モノづくりの哲学」(PHP新書)。

12月25日放送分
自動車業界の転換点と水素技術が向かう未来


ゲスト
トヨタ自動車株式会社
新事業企画部長 秦直道さん

「最新の水素技術動向」を特集。2017年7月に横浜でスタートした水素活用の実証実験プロジェクト。京浜臨海部の物流を軸に、製造から利用までのサプライチェーンを構築している。プロジェクトを牽引するのはトヨタ自動車。「MIRAI」から続く燃料電池自動車(FCV)の可能性を開発責任者の田中義和氏に取材。東京モーターショーに象徴された世界的なEVシフト、多様な電動化の流れの中、なぜ水素にこだわり続けるのか。スタジオでは新事業企画部長の秦直道さんに実証実験プロジェクトが持つ可能性とトヨタが描く水素社会へのロードマップを伺います。



環境省による「地域連携・低炭素水素技術事業」。水素エネルギーの可能性を追求するこのプロジェクトには3つの自治体と、企業6社が参加、平成27年度から30年度までの4か年事業で、開始から2年の昨年7月、横浜港にある風力発電所ハマウイングに水素製造システムが完成。「京浜臨海部での燃料電池フォークリフト導入とクリーン水素活用モデル構築実証」がスタートしています。


内田
京浜臨海部で水素のサプライチェーンの実証実験が始まりました。トヨタも重要なポジションで入っていますけども、この実験の目的、何のために行なっているのかというところを教えていただけますか?


一言で言いますと「水素の可能性と課題を明らかにしたい」というのがこの実証の目的です。よく言われています様に、これから私たちは低炭素エネルギーに移行していかなければならないという中で、水素が貢献できる比率は大変多いと思っています。ただそういう可能性がある一方で、コスト面だとか、ルールができていないとか、いろいろな課題がありますので、一つずつその課題を明らかにして対策を打っていきたいという風に考えています。

内田
水素は「究極のエネルギー」という風に言われるのですけども、今まではそうした実験をする場は無かった?


今回環境省さんからお声掛けいただき、「事業実証」という形でやらせていただいています。つまり技術実証ではなくて、実際に水素のサプライチェーンを作って利用いただくところまで、経済として成り立つか、コスト面でどういった課題があって、どういったことを克服すれば成り立つか、というのを事業実証で見極めていこうということが今回の特徴だと思います。

内田
まず水素を作るところから始めて、デリバリーをして、それが動く。生産活動に参加している、というところがグルグル回るのかどうか。これは日本で初めて?



横浜の「ハマウイング」という2007年に作られた風力発電の施設があります。ここを活用して、二つの目的がありまして、一つは実際に水素をその場で作って、それを使っていただくユーザーの下に届けるという、先ほどおっしゃっていただいたサプライチェーンの実証。もう一つは燃料用電池フォークリフトになるのですけど、ユーザーの方に使っていただく。これまで乗用車として私どもは「MIRAI」という車を出しました。ただこれから水素社会を広げるために、この燃料電池で動く車両を乗用車だけでなくてフォークリフトだとか、こういったものに広げていきたい。サプライチェーンを作ることと、水素を利用する人たちを増やしたいという、この二つを織り込んだのが今回の実証実験だと思います。

内田
横浜港のシンボルみたいなあの大きい風車が回っている。やはり風車、自然エネルギーを元にして水素を作りますというところは大事なところなのですか?


そうですね。従来、自然エネルギーと言いますと太陽光だとか地熱だとかいろいろなやり方があります。今回は「風力を使って」というお題があったわけですが、今回の特徴のもう一つは横浜という都市型立地の場所にある風車を使って、実際に水素を作ってみようということにあります。横浜という土地柄、いろいろな方に見ていただきたい。今、たくさんの見学者が来ていただいていますが、皆さんが足を運んで見ていただくのに立地がいいという場所、それから京浜地区でフォークリフトを利用されるユーザーさんのポテンシャルが大変多いということで、この横浜のハマウイングに自然のエネルギーを求めて今回実証のプログラムを作ったわけです。

内田
このプロジェクトの中で、トヨタはどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか?


産官学が一体となった取り組みの中で、参画していただいているそれぞれの強みをうまく繋いだ仕組みとして成り立たせるためのコーディネーター、そういった役割を担わせていただいています。そしてハマウイングにある施設には蓄電池がありますが、ここにプリウスの使用済みバッテリー180個を搭載した蓄電池を置いて、風が止んでいる時に動かないといけませんので、風車が回っているときに余分な電気を溜めておく。そういった関わりをしていたり、燃料電池のフォークリフトのバッテリーは「MIRAI」のユニットを転用していたり、トヨタ自動車の技術なり、商品としても関わっているのですが、今回は水素社会を作る仲間を集めたプロジェクトの窓口、コーディネートをやらしていただいたということです。

内田
水素が普及していくためには、タマゴが先かニワトリが先かみたいな、ステーションが無ければ車は売れないし利用者も増えない、でもそれを作るにはコストが高すぎて先行投資はなかなかしづらいという中で、水素を作ってデリバリーすれば、来てもらうのではなくて、デリバリーしていこうと。そういう発想から?


水素ステーションが事業的に成り立ちがたい、その課題の一つは、待っていても来てくれないと水素ステーションの売り上げが伸びていきませんので、配っていくことで供給量を増やせないかというのが発想のベースにありました。


水素とトヨタの象徴的なつながりは2014年に発表した世界初の量産FCV「MIRAI」にあります。ガソリン車に匹敵する航続距離、短い水素充填時間、走行中の排出物は水のみという環境性能で次世代に向けたエネルギー技術、モビリティの可能性を示しました。「MIRAI」の設計・開発の責任者として指揮をとってきた田中義和さんにお話を伺いました。


内田
田中さんは「MIRAI」の開発に最初から携わられたということで、いろいろな問題を一つ一つ解決しながらここに至っていると思うのですけれども、そのプロセスの中でここが一番難しかったというところはどこになるのでしょうか?

田中
燃料電池は元々、パワーを出すのが難しいのですね。原理そのものはシンプルで、水素と酸素の科学反応で電気が発生する、その結果水が出るということで、メカニズムそのものは水の電気分解の逆。ものすごくシンプルですけども、パワーを出すのが難しい。今回114キロワットのパワーを出しているのですけども、単純比較はできないのですが、家庭用の燃料電池が大体700ワットから1キロワットぐらいです。そうすると家庭用燃料電池の大体160倍ぐらいのパワーを一気に出さなければいけない。そうじゃないと車にならないのです。

内田
ならない?

田中
且つ、一定の運転ではなくて、お客様がアクセルを全開に踏まれてフル出力を出さなければ、ゼロ-フルで応答性もよく出さなければ、当然乗っていても楽しくない。パワーを出して且つ運転性を応答性よく出すということは、それなりの技術を入れないとできない。それもコンパクトにする、いわゆる工業製品として作り上げるというのは、やはりものづくりの大変さ、それがこの技術のポイントですね。

内田
他にこだわったところはありますか?

田中
燃料電池は環境車なのですけども、「環境」だけでは本当の意味でお客様に選んでいただける車にはなかなか成り切らない。そういう意味においては走って楽しい車、「環境車だけれども、走りは本当に楽しいですよ」というところはこだわりました。燃料電池を低い位置に積んでいるので低重心である、更には重いものを車の中心部に積んでいますので前後バランスが非常に良い。この車はまだ水素ステーションが十分ではない中でお客様に買っていただけなければならないので、環境性能はもちろんですが、やはりお客様が本当に欲しいと思っていただけるような性能にすることが大事だと思いました。

内田
技術もものすごく工夫していて、技術者たちの思いは世界トップレベルである。そして乗り心地も楽しい、ということですけども、「水素社会」にはまだまだ未知数のところがあります。その中でトヨタが水素にこだわる理由は何なのですか?

田中
自動車にとってエネルギーにはいろいろな使い方があるわけで、電気が得意なところ、水素がいいところ、その辺りを考えた時に、我々自動車会社としては、いろいろなものを全方位で考える必要があるということで、水素だけにこだわっているわけではありません。ただ一方で、何故トヨタが水素をやっているのかというところについては、水素はすごく可能性があるエネルギーだと思います。どういう点かというと、水素はいろいろなものから出来ます。もちろん化石燃料からも出来ますけども、副生水素、化学工場で副生物として出来る水素もありますし、今まで活用されてなかったもの、例えば下水汚泥だとかですね、褐炭という非常に若い石炭からも作ることができます。更には再生可能エネルギー、風力だとか太陽光だとかそういうリニューアルエネルギーを使いましょうという話があるのですけども、このエネルギーキャリアとしての水素の可能性というのはすごく大きいと思います。

内田
日本は資源のない国ですから海外から輸入ができなくなったらアウトになる。でも水素を使いこなせるインフラがあれば、水さえあれば作ることができる。

田中
そうです。まさに内田さんがおっしゃったように、日本のエネルギーセキュリティを考える時、エネルギーキャリアとして水素という選択肢を持てることはすごく意味があります。自動車会社がこの水素で出来ることというのは燃料電池車。この車を作ることによって水素が身近なものになって、皆さんの水素に対するアレルギーもなくなって、水素の魅力を皆さんにわかっていただいて、そしてそれが大きなエネルギー政策に繋がればこの上ない喜びですね。

内田
ですからトヨタが水素をやり続けるというのは非常に重要なポイントで、ここをトヨタがやるか、やめるかによって日本のエネルギーの将来図は大きく変わってくるだろうと。

田中
ありがとうございます。そう言っていただけるとすごくありがたいのですけども、この燃料電池車は車の環境課題、いわゆるエネルギー問題だとか車のCO2排出量とかそういうものを解決する一つの答えではありますが、加えてエネルギーのあり方というものにまで及ぶ可能性がある。そういう意味においては、こういう車を作ることによって世の中に貢献できる。トヨタには元々会社ができた時にも、車を作ることによって世の中に貢献したい、それは産業報国と言いまして、産業を興すことで国や社会に貢献する、報いるという基本的な考え方があります。この燃料電池車はそういう我々の思いの表れだという風に思います。


昨年10月に開催された東京モーターショー2017ではFCVの新たなコンセプトモデルを発表、「MIRAI」から続くトヨタのFCV戦略を示しました。水素タンクの大容量化などで1000kmの航続可能距離を実現、移動空間としての魅力を高めるなど、さらなる可能性を示し続けています。開発担当の佐藤孝夫にお話を伺いました。


佐藤
これは次世代のプレミアムサルーンということで、我々の次世代を担うデザイナーたちが考えてくれたものです。2025年から2030年を想定した、いろいろな技術のスタディーモデルとして作ったもので、まずFCVというパワートレインで走る車ということと、その時代になるとAI、自動運転、コネクティッド、新しい技術がいっぱい出てきます。それを使いまして、車というのはもっと自由に楽しく運転できるようになるはずだと。そういった技術を集めた車の一つになっています。

内田
その開発をされたわけですけども、どの部分が一番苦労されたポイントですか?

佐藤
一つはパワートレインの「フューエル・セル」。これまだまだ出来たばかりの技術ですので、もっともっと効率を向上するというところがあります

内田
まだまだそれは進化の余地があるのですか?

佐藤
私どもが初めて「MIRAI」という車を商品化させていただきましたが、次世代に繋げてもっと小さくする、パワーを出せるようにする、効率を良くする、こういったところに研究の余地があります。


2018春には日産やホンダ、インフラ事業者などとともに水素ステーションの新会社を設立。本格的な増設に向けて動き出しています。トヨタが水素にこだわる理由、そして未来へのロードマップとは。


内田
本当に感心するのは、トヨタの水素というものに対する、ある意味執着と言いますか、継続性を持って取り組んでいくというところ。今の目先、水素エネルギー、FCVが利益を生んでいくビジネスかというと、残念ながらそうとは思えない。それをやるというところ、トヨタの水素への思いというのはどういうところにあるのですか?

これからの未来にどういう世の中を残していくかという時、各企業が工場での排出CO2だとか、商品におけるCO2、これらを極力減らす目標を設定して取り組んでいます。我々トヨタ自動車も工場でのCO2、車で出すCO2、いろいろなところでCO2削減目標を作っています。これはもう「車が売れる、売れない」ということ以前の企業責任として取り組まなければいけないと思っています。ただその一方で、我々はモビリティを作ってお使いいただく会社なので、いわゆる車、モビリティを楽しむ、あるいは移動の自由を提供することも大事な使命になるわけで、そのバランスを見ながらビジネスを作っていく必要がある。今までは良い車を作って乗っていただくというだけで支えていただきましたが、もう少し前広に、社会インフラもきちんと整備をしながら水素燃料電池を広げていくというのが我々の目指す方向ではないか思います。

内田
これはやはり継続していくのだと?


今すぐに水素燃料電池車が増えていくというのは難しいと思いますし、あまり急速にと言いますか、無理に水素の方向に舵を切っても、企業も採算性が厳しいし、ユーザーの方が不満を持ちながら使われるのも本位ではない。ということで言いますと、あまり無理をせずに、着実に目標を決めて長期目線で進めていくのが大事だと思います。

内田
今後の燃料電池車の展開は?


この4年間の実証実験が終わりますのが2019年。その翌年には2020年の東京オリンピック・パラリンピックがあります。実は燃料電池のバスをこの東京オリンピック・パラリンピックの時に導入しようと思っています。それから今回ユーザーの方に使っていただいた燃料電池のフォークリフトももっと拡大したい。乗用車から産業車両、大型・小型トラック、あるいは定置型発電機だとか。産業車両や産業機器にこの燃料電池の展開を広げていければ、水素社会により近付くのではないかと考えています。

内田
オリンピック・パラリンピックは世界にアピールする良いチャンスになりますね。


そうですね。日本からそういった取り組みが世界に発信できるといいなと思います。



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1月22日の放送内容

老舗企業の「伝統」「革新」 襲名と企業存続の本質
神奈川経済を伝える情報番組。今週は「老舗経営の本質」を特集。神奈川最古の企業として知られ、創業から650年を数える「ういろう」。経営を担ってきた二十五代当主・外郎武氏は、昨年11月に「藤右衛門」を襲名。戸籍までを変える改名を行い、大きな節目を迎えた。門外不出の製法で、薬・菓子を当時のままにつないできた「ういろう」。企業の平均寿命は23年とも言われる中、現代へ引き継がれる経営の本質とは。襲名と言う節目に、神奈川・小田原の歴史、そして企業存続のヒントを探る。

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