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神奈川ビジネスUp To Date

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放送時間

毎週月曜日 21時~21時30分
  土曜日 23時30分~24時(再放送)

番組内容

いまの神奈川経済がわかる!
全国の上場企業1800社中、約200社が本社を置く神奈川県。
県内唯一の地上波テレビ局tvkが県内で活動する企業を中心に各企業の魅力的な取り組みやトップインタビューなどの経済情報をお届けします。

出演

内 田 裕 子(経済ジャーナリスト)

■プロフィール
大学卒業後、大和証券入社。社内TV放送のキャスターに抜擢されマーケット情報や経営者との対談番組に多く出演。2000年、財部誠一事務所に移籍し経済ジャーナリストとして活動開始。国内だけでなく新興国などの取材も多く、製造現場の取材、経営者へのインタビューを得意とする。
著書に大西 洋氏(三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員)との共著「三越伊勢丹 モノづくりの哲学」(PHP新書)。

7月24日放送分
町工場「匠」の技術集団 新たなものづくりの実現へ

ゲスト
「工業の宮大工」
サーフ・エンジニアリング 根本秀幸さん(写真中央)
ジェイテック 髙津浩二さん(写真右)
土居 土居広之さん(写真左)


「匠の技の連携」を特集。技術力のある町工場の減少が進む中、綾瀬市の町工場を中心に、機械加工業のものづくりネットワーク「工業の宮大工」がスタートしました。1社では受発注できなかった難加工などに対応していくという。なぜ今連携が必要なのか、目的は何か。中心メンバーとなる3人の匠に設立の背景と現状を伺います。


内田
工業の宮大工という素敵なグループ名ですけれども、このグループの設立の発起人が根本さん。何故こういうグループを立ち上げたんですか?

根本
元々、繋がりがあった仲間ではあったのですけども、敢えて意識をしていくような仕事が出てくる中で、また各社と話していく中で、きちっとした営業が、周知を含めて、必要だという声も無くはなかったのですね。きちっとした言葉で、“キャッチーなフレーズ”というのも大事かなと。そんな中で、「宮大工」という組織で表現してみたというのが今回の経緯です。

内田
非常に魅力的だし、キャッチーであって、「えっ、何の集団?」という、そういう掴み方というのは非常に上手だなと思うのですけれども。でも「工業、でも宮大工」という何か違和感というか、面白みという、このネーミングの意図するところは?

根本
各社ですね、特色を持った、強みのある技術を持っているんです。職人過ぎるぐらい職人なので。

内田
もう「匠」?

根本
「匠」ですね。プライドも「匠」なぐらいありますので。そういう意味では、お客様との折衝でも限られてくる部分があったりするのですけども、それを標準化する、全体的に、交流的に仕事を取るということも非常に大事であろうという、こういう問題意識が浮き出てきた感じもします。

内田
皆さんのような技術を持っている会社は、今まで自分の足で立って独立独歩でやれるということでプライドもあった。ここにきて、「連携してみようか」と、ある意味心変わりというか、気持ちをオープンにしてこられて、このグループの結成っていうことになったと思うのですけども、何故この呼びかけにお応えになったのか。髙津さんは何故そう思われたのですか?

髙津
僕たちで作っているものは本当に価値のあるものだ、意義のあるものだというところを皆に知って欲しいし、これからやっていただくであろう、若い人たちにも知って欲しいと、やはり「ものづくりって面白いよ」って。やらされているのではなくて、「やってやる」っていう。僕ら堅いものを扱っていますけど、それを支配するような面白さというのは、やっぱりあると思うのですね。それが「宮大工の集団」であるという風に僕は思っていますので、その部分をもっともっと知っていただいて、「綾瀬」というところにも、そんなこだわりを持って、宮大工のように「こだわりを持ってやっている会社があるぞ」っていうところを皆さんに知っていただきたいですね。

内田
若い人に是非引き継ぎたいという、後継者の問題が大きくあるという問題意識ですか?

髙津
若い子たちが付いて来れない、若い子たちが入ってくれないという。どうしても大きな会社であったり、名前の通っているような会社に集まってしまいがちですけど、町工場でも、そういう大きなものを実は支えているんだよって。僕たちがいるからあるんだというところを、ものづくりを通して、若い子たちに、価値というものをちゃんと教えてあげたいという風に思います。

内田
「技術の素晴らしさ」ですね。

髙津
そうですね。

内田
土居さんは何故このチームに入ったのですか?

土居
今までになかった組織のあり方みたいなもの、町工場同士が力を合わせてという、そういう形を味わってみたいというか、経験してみたい。どんな形になっていくのかという、ちょっと夢のあるような言葉を作ってもらったので、是非参加しようと思って。私にも出来ることがあるかなっていうところですね。

内田
そういう連携することのメリット、強くなっていく、競争力を持っていくというところと、一方では、皆さんすごい企業秘密とも言える技術を持っている。そこで連携することによって、ある程度見せていくということのリスクもあるのでは?

髙津
リスクというものは、特に感じたことはなかったですね。やはりお互いの知らないところを知る、指摘していただくというのはとても有意義ですし、それがモノに繋がっていきますから。できたモノに繋がっていくというのは大変大きなことですから、それを見てもらってでも、見せてでもですね、やはり「良いモノを作っていくんだ」というところですよね。

内田
もっと言うと、「ちょっと見せても同じことはできないだろう」というプライド、自信もある?

髙津
そうですね。やはりもう何年何十年、この仕事をやっていますから、それをパッとやられないという自信はありますけど、でもそれをみんなで共有して、皆で良いモノを、とにかく良いモノを作っていく、町工場から良いモノを出していくっていうことだけですから。良いモノをとにかく作っていって認めてもらうという。

内田
広く知ってもらう?

髙津
広く知ってもらうということですね。

内田
土居さんどうですか?

土居
「宮大工」の仲間であれば、やはり安心して、信頼して自分の技なり加工方法なりも、逆に見せることができると思いますね。我々がこれから「宮大工」の仲間を集めていくときに、信頼できる仲間であるというのがとても大事かと思います。「リスクは逆に持たなくても大丈夫な仲間なんだ」という、その心意気というか、そういう人柄であるというところで、安心して参加していただきたいと思います。

内田
大事なのは、共有できる心意気であるとか、精神性の高さであるとか、そういうところだっていう。それぐらい、ちゃんとモノづくりをやっている人間だったらわかるだろうと?

土居
そうです。「宮大工」を続けていこうと思っていれば、仲間の危機に繋がることを考えるということもないかと思います。

内田
これから「宮大工」のグループを広げていくにあたっては、メンバーを精査していく、選んでいくという必要がありますね?

根本
そうですね。どこまでも高品位を、品質の高いものを担保できるというのが、もう絶対の約束ですね。「100%のものを99%」でも駄目。100%で押さえ続ける、納め続けるような感覚ですね。それとあくまでこだわりを持ったモノづくりはいいのですけども、お客様優先、お客様ファーストという部分、これもずっと昔から変わらず持っていないと。

内田
日本の製造業、モノづくりの環境が大きく変わってきている。ちゃんとモノが作れる方というのが、どんどん減っていって、事業継承もできずに無くなっていくと。そういう意味で言うと、残っている方たちの価値というのは絶対高まっていくと思うのですね。

根本
実際、昨年夏からホームページをリニューアルしていく中で、特に初期段階で(問い合わせが)多かったのは、日本の大手様ですね。エンドのトップのメーカーさんから来る話が非常に多くて。それもわかり易い図面で流してくださる。「何十年にわたって下請けさんの会社に流していたのだけども、実はもうそこが廃業してしまった。同じものを作らなきゃいけないのだけどもできますか?」という。私はなるべくお互いにとって手短な方が良いので、「ご希望のご予算はありますか?」というのをなるべく聞きます。丁寧に教えてくださる方もいます。それで愕然とするのですね。「この値段でやられていたのですか?何十年もそれで?」

内田
すごく安い値段で過去の会社の下請けさんはやっていらした?

根本
そうです。「すいません、それは廃業しますよね。後継者が出る値段にはならなくないですか」と言うと、「いや、実はそうなんです。3人4人でやっている会社で。何とかうまく回してもらっていたけど、もう歳で後継者もいないから辞めるといってノウハウごと全部廃業されてしまった」と。もうさすがに忍びないのですけども、「申し訳ないのですが、今の値段でいきなりこれを供給するというのは多分不可能だと思います」と。

内田
率直に言うと。

根本
メーカーさんの方にお伝えします。そうすると「やっぱりそうですか」と。もう何軒も断られて、悩んで、悩んでホームページ上で私のところに辿り着いてきたと思うのですね。今までだったら、ある意味サプライチェーンの中で、器用に付属で、セットで振っていた。でもそれもやりづらくなる中で、見直しをしようという新たな挑戦、試みだと思うのですね。ですから私もそれは断るのではなくで、もう一回、試作的にやるだけのタイミング、予算、物量があるかとか、この辺を検討してある程度お互いのターゲットプライスを定める、創造的にやっていくことであれば可能かもしれませんという話でお応え申し上げる場合が多いです。これが1件2件じゃないです。本当に日本の各業界の鉄関係のメーカー様が同じことで悩んでいるというのが嫌というほどわかりました。


「工業の宮大工」で核となるのは各企業が持つ「独自の技術力」。設立の中心としてリーダシップをとるサーフ・エンジニアリングの根本秀幸さん。大型長尺旋盤と呼ばれる金属加工や、アルミ溶接を中心に展開。また、橋脚などのインフラの点検ロボットの開発にも注力し、事業の幅を広げています。



ジェイテックの髙津浩二さん。真鍮のワイヤーに電流を流して、金属を高精度に加工する「ワイヤーカット加工」で、この道30年以上という髙津さん。コアとなる技術は「加工中の材料の変化を読む力」。金型部品を中心に、自動車関連の精密部品を製作しています。



厚木市で「横中ぐり加工」を手がける「土居」の代表、土居広之さん。粉砕を中心とした工業製品の穴ぐり加工、フライス加工などを得意とする30年のベテランです。匠の技は、「精密加工に至る段取りとセッティング」。巨大な製品をいかに加工するか、空間の把握が鍵になります。



「工業の宮大工」、中心となる3人の匠に、モノづくりを取り巻く環境と、その心意気を伺います。


内田
「工業の宮大工」ということで「匠」、すごい技術を持っているのだろうと思うのですけれども、ここは譲らない、もう徹底的にこだわるところ、そういうものがあったら教えていただきたいんですけど

根本
「品質の担保」ですかね、3社とも。「あちゃ」って話はないですね。この品物見て、「あちゃー」って。

内田
自分が納得しないものは絶対出さない?

髙津
それはそうでしょうね。それを出すのはやっぱり恥だと思っていますから。

土居
恥ずかしいですよね。

髙津
恥ずかしいんですよ。でも、良いモノができると、ちょっと渡したくないといいますか。

土居
そうそう。

髙津
だから、ちょっと良くできたな、飾っておきたいなって思うときがあるんですけどね。

根本
私だけですかね、全然思わない。こんなにでかいシャフト、すぐ出荷したいです。


内田
「匠」の本当に、心意気ですね。

根本
一つのことをやり続ける潔さ、でもその先に開くものがある。私はロボットを開発して販売をしていく中で、基礎技術は全て汎用の旋盤から始まり、いまだ挑戦し続けているという、これをできれば若い人に知っていただきたいなと、この思いはあります。生涯、業種は一個でいいんじゃないかという。

内田
それをずっと追求し続ける人生は楽しいと。

根本
その方が僕は崇高というかシンプルで楽だと思います。迷いが無く突き進む五年、十年というのは、後で大きな結果を人生にも残してくれるという、自信に繋がりですね。

内田
しかも、お客さんからは、「ありがとう、よくやってくれた」と言われる。

根本
たまらないですね。

内田
「良い仕事」と。

根本
そういうことがあります。「すごいね」という以上に「神業だね」と言われた瞬間に鳥肌が立ちますね。「誰が?」って思うのですけど、「あ、うちの会社か」と。やはりうれしいですね。

内田
「工業の宮大工チームは、やっぱり神業だね」という、そういうような人たちが集まっていると。

根本
言われ続けたいですね。集まりたいです。集まっているというと語弊がありますので。

内田
そういうレベルをしっかりキープしていくということになりますね?

根本
そこを目指し続ける、目指し続けたいというのが。

内田
今後のことですけれども、どんな仕事を請けていきたいかという、夢と言いますか、「やってやるぜ」というのを、それぞれうかがいたいのですけども。

根本
私は特にインフラをやっていますので、今は機械加工、ワイヤーカットを含めて部品の方が多いのですけども、もっと大型の機械に入っていった時に、大型部品というのは、多分大手さんのコントロールの中でやると3ヶ月とか、1ヶ月でできないものが多い。でも、緊急性のあるもの、国に関わるもの、有事のときであったり、災害のときであったり、異業種だからこそ提供できるもの、パッパッパと、宮大工に頼めば知恵とモノが一緒に納まってくる。こんなことができる宮大工になれたら素敵だなと思います。

内田
とにかく困って、本当に緊急事態のときに、「宮大工に頼めばいい」と言って、それがもう短期間でできあがってくる。

根本
これがまた異業種から来れば、例えば建築業界、土木業界、そんなところからも宮大工に頼めば金属でバッと形にしてくれるというような、こんなことができれば素敵だと思いますね。

内田
髙津さんはどうですか?

髙津
これだけ今、世の中に情報が出ていますから、例えばパソコンを見れば何でも知れる時代ですから、今更もう隠すものなんて無いというような、見られるものは何の問題もないですし、多分その仲間が今集まっているのですね。見せても見られても困らないという。それを知っていますから、「何が出来る、どんなものづくりが出来る」というのを、お互いが知っている。それをわかっておけば、言い方は悪いのかもしれないですけども、「来るもの拒まず、去るものは追わず」という精神でモノづくりが出来ると思っています。異業種であろうと何であろうと、その輪ができていけば本当に面白い仕事がしていけるんじゃないかという風に思っています。

内田
ある意味「何でも来い」という風に聞こえたのですが。

髙津
そういう心構えでいます。もう「何でも来い」っていう風に、そういう気構えで。宮大工はそういう連中が集まっていると思っていますので。

内田
土居さんいかがですか?

土居
一つの品物を作るときに、各機械を寄せ集めて、やっと一つの品物が出来るという、宮大工の仲間が作り上げて一つの製品を作る、これが一番の楽しみですね。そうすれば信頼できる仲間の間違いない仕事が自分のところにきて、最後に一つ出来上がる。これが一番の楽しみじゃないかなと思いますね。

内田
ものすごく精度の高いものが出来上がるという「ワクワク感」?

土居
そうですね。高くなくても、皆で作ったというのがいいですね。

内田
皆で作る。

土居
3社、4社、5社の機械が必要で一つの形になった。何かやっていて、仲間としての連絡をとり合って品物が出来上がる。これが一番楽しいことだと思います。



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