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神奈川ビジネスUp To Date

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放送時間

毎週月曜日 21時~21時30分
  土曜日 23時30分~24時(再放送)

番組内容

いまの神奈川経済がわかる!
全国の上場企業1800社中、約200社が本社を置く神奈川県。
県内唯一の地上波テレビ局tvkが県内で活動する企業を中心に各企業の魅力的な取り組みやトップインタビューなどの経済情報をお届けします。

出演

内 田 裕 子(経済ジャーナリスト)

■プロフィール
大学卒業後、大和証券入社。社内TV放送のキャスターに抜擢されマーケット情報や経営者との対談番組に多く出演。2000年、財部誠一事務所に移籍し経済ジャーナリストとして活動開始。国内だけでなく新興国などの取材も多く、製造現場の取材、経営者へのインタビューを得意とする。
著書に大西 洋氏(三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員)との共著「三越伊勢丹 モノづくりの哲学」(PHP新書)。

5月15日放送分
「地元百貨店が提供するエンターテインメント」

ゲスト
株式会社髙島屋
執行役員横浜店長 青木和宏さん


【プロフィール】
1965年 東京都葛飾区柴又出身。
1987年 慶應義塾大学文学部卒業、株式会社髙島屋入社。
柏店・立川店・クロスメディア事業部長・営業企画部長などを経て、2016年 横浜店副店長。
2017年 執行役員横浜店長に就任。


横浜駅西口で開業58年目を迎える「横浜タカシマヤ」。百貨店ビジネスの厳しさが伝えられる中、全国の髙島屋で最大規模の売り上げを誇る同店の強みとは。「百貨店はエンターテインメント産業」と表現する青木和宏店長に、今年3月の就任以来取り組む改革や、地元百貨店が担う役割と可能性について伺います。

内田
青木店長が横浜にいらして2年目ということですけれども、このお店の特徴というのはどういうところにありますか?


青木
駅直結のターミナル立地にありますので、大変大勢のお客様に毎日お越しいただいているということと、もうひとつは、やはりお客様の「地元愛」というのが非常に強いという印象を持っています。

内田
いろいろな店舗をご覧になってきた経歴の中で、横浜タカシマヤを見たときの印象というのはどのような感じでしたか?


青木
やはりエネルギーというものを感じますね。お客様のパワーというのが非常に大きいですし。とにかく活気があって、「百貨店はこうでなければいけない」という、模範的な店という感じがします。

内田
その模範的な「横浜タカシマヤ」は、髙島屋全体の中ではどういう位置付けになっているのですか?


青木
そうですね、売り上げ、利益ともにトップクラスということですから、やはり髙島屋全体を牽引している店です。

内田
そういう中で、「髙島屋横浜店」ではなく、「横浜タカシマヤ」なんですね?


青木
はい。私も名乗るときは基本的に「横浜タカシマヤの青木です」という風に名乗っています。

内田
これは何か意図的なものなのですか?


青木
横浜のタカシマヤなんですね。「髙島屋が横浜に作った店」というよりは、「横浜にあるタカシマヤ」という、その気持ちの方が働いている人間も強いですね。そういう意味で地域に本当に根ざしているし、だからこそ地域の人も愛着を感じるそうなんです。

内田
そういう中で、売り上げも非常に今好調であると。どのくらいですか?


青木
特に3月4月、それから5月入りましたけれども、入店客数も非常に増えていますし、売上げ自体も非常に安定してきている状況です。(2016年は1,386億円)。

内田
それは何か理由があるのですか?


青木
一つは3月に入ってから店舗の中でとりわけ、あの私、これ持論なのですけども、「百貨店はエンタメ産業だ」という持論を持っていて、「ショッピング・エンターテインメント空間」みたいなことを、しっかりと店の中で取り組んでいきたいという思いがあります。私、通信販売の責任者を2年間やったのですけれども。

内田
はい。


青木
「店頭ではない」モノの売り方なのですけども、「絶対店頭に敵わないな」と思ったのは、やはり「お買い物体験」なんですよね。ネットだと電話1本で買い物をすることはできますけども、じゃあ、そこにエンターテイメント性を見出すことができるかというと、やはり限界があるなということを感じました。今横浜に来て思うのは、やはりこの「ショッピング・エンターテインメント」をどう具現化して、本当にお客様が楽しんで帰っていただけるのかということだという風に思うのです。

内田
そうは言っても、百貨店業界全体というものをちょっと俯瞰して見ていただきたいんですけれども、非常に厳しいと。


青木
はい。

内田
小売り自体は、個人消費はいろいろ厳しい中でも、小売り全体のパイを見ると右肩上がりなのですよね。けれども残念ながら百貨店だけが一人負けということで、数字を見るとピーク時が1991年で9兆7130億円。今6兆円割れという状況になっている。これはどういう風に感じられていますか?


青木
一つはやはり販売チャネルが増えた、お客様の選択肢が増えた、ということが大きいと思います。

内田
これはなぜでしょう?


青木
モノ売りだけに徹し過ぎたというところだと思います。先ほども申し上げました通り、モノを買うだけだったらいろいろなチャネルが多様化していますから。それは時間を気にせず、場所を気にせずという方向に流れていきますけども、やはり百貨店に行ってこそ得られる「ショッピング・エンターテイメント」というところ、ここをしっかりと出していくことが百貨店の業態としての存在価値を高めていくことだという風に思います。


様々なトライでエンターテインメント性を追求する中で、ベビー・子ども用品の販売が好調。中でも販売時期が年々早まっているランドセルは限定モデルなどを充実させ、売り場のそばに写真撮影できるスペースを設置。記念撮影ができる仕掛けでSNSでの盛り上がりや、タカシマヤを訪れるきっかけ、記憶を提供しています。


内田
店舗を拝見したのですけれども、何というか、良い意味でもあるのですけれども、すごく落ち着いているというか、先ほどおっしゃった、「百貨店はこうあるべき」みたいな模範、ある意味ちょっと懐かしい感じもするようなものが残っているというお店ですね。


青木
両方あると思うのです。「安心感」と「時代感」と両方があると。「いつ行っても変わらない安心感」があるという一方で、やはり「時代とともに変わっていく」というところも、百貨店の求められている姿だという風に思います。

内田
横浜タカシマヤの中で、皆さんが安心感を感じて通ってくれるという部分とは、どういうところでしょう?


青木
いろいろな要素があると思います。一つはやはり「マンパワー」だなということを常々思っております。

内田
「人」ですか?


青木
やはり接客サービスというのが百貨店の一番の強みでもありますよね。

内田
横浜タカシマヤならではの接客というのは何かありますか?「あっ、何か違うな、ここならではだな」と感じたことというのは。


青木
お買い物を存分に楽しむと言うのか、そういう趣向はあるという感じがします。単なるモノを買うだけじゃなくて、そこに何か付加価値を求めたり、結構ご質問が多いんです。「これはどうやって着こなすのですか?」とか、「こういうときはどうしたらいいんですか?」ということを熱心に聞かれる方も多いですね。後は、例えばお酒の売り場とか、ワイン、あるいは和食器みたいに、そこに「物語性」があったり、「ストーリー」があったりというところについては、いわゆる「薀蓄を仕入れに百貨店に来る」という言い方をよくするのですけど、ものすごく好奇心というか、そういうところに対するこだわりが強いと思います。

内田
そうなると、販売員の方のスキルというものも必要になってきますよね?


青木
必要になってきますね。

内田
そういう意味では、2年間いろいろな働きかけをして、横浜タカシマヤというのは随分変化が見られようになりましたか?


青木
そうですね。特に「若い世代が企業を活気づける」ということが非常に大きな原動力になってくるという風に思っていますので、特に若い世代に頑張って欲しいなっていうのはありますね。

内田
そこにこう、ある意味、ハッパをかけて。


青木
もうとにかく失敗を恐れずにどんどん新しいことをやる。だから成果が上がらなくても、チャレンジをするというところを評価してあげる。「新しいことをやったんだ」というところを評価してあげる。こういうことが大事だと思うのですね。


ゴールデンウィークにお店の屋上で行われた「親子走り方教室」。日本代表を経験した選手から直接走り方を教わるイベントに多くの親子が参加しました。運動会シーズンに合わせた商品の紹介と「ためになる学び」を組み合わせることで充実した時間を提供。子どもを中心に親子のコミュニケーションを促すような多世代に向けたアプローチを重ねています。


内田
非常に楽しそうなイベントで盛り上がっていたようですけども、お客さんの反応はどうでしたか?


青木
反応は、もうこれは上々です。我々の入店客数とか滞留時間というのはデータで取れるようになっているのですけども、ゴールデンウィークの滞留時間が10%以上伸びたのです。滞留時間が長いというのは楽しさの象徴だと思っているんですよ。

内田
「ずっとそこにいたい」ということですよ。


青木
今までの平均値でいうと、滞留時間がほぼ1時間以内だったのが1時間を超えるまでに今なってきていますから、それはやはりいろいろな取り組みが実を結んだのかなという実感がありますよね、はい。

内田
後はどんなイベントを?「こんなことやったら楽しいだろうな」とか、「これはすごく評判が良かった」というのはありますか?


青木
着目しているのは「3世代」ですね。百貨店というのはやはり団塊の世代の方々とともに育ってきた業態ですよね。

内田
そうですよね。


青木
その方々が今、お孫さんをお持ちになっているという状況にありますから、ゴールデンウィークも非常に大勢のお客様にお越しいただきましたけれども、おじいちゃん、おばあちゃんと、そのお子さん、お孫さんが一緒になって、何か百貨店で楽しいイベントに参加したりというのは、我々が見ていても嬉しくなりますし、子どものころの体験はずっと覚えていますよね。

内田
ベビーフロア・子ども用品のフロアをリニューアルというところもその流れの一環だと思うのですけども、これはどういう狙いが?


青木
出産というのは百貨店のマーケットの入り口に位置するものと思っているのです。そこをきっかけに百貨店のファンになっていただくということが非常に大きな一歩だという風に思っています。特に育児というのはもう、不安がいっぱいですから。

内田
そうですね。


青木
「どうしていいのかわからない」というところを、私は「百貨店はエンタメ産業であり「ソリューション産業だ」という風に思っていますので、お悩みをどう解決していくかというところ、その最たる部分が、実は育児用品だったり出産準備用品だったりというところだと思っているのです。やはり安心して育児ができる空間ということですから、赤ちゃんの成長段階に合わせて売り場を作っているというのが今回の大きな特徴です。

内田
新しいお客さんが出産というものをきっかけにして、「ちゃんとしたものを赤ちゃんに買ってあげたい」というときに、「やっぱり百貨店かな」という、新規のお客さんをとらえるっていうきっかけでもある?


青木
まったくその通りだと思いますよね。困ったときには百貨店に行こうと、困ったときは髙島屋に行こうと思っていただける存在であり続けたいですね

内田
「百貨店業界がこれからどうなっていくのか」ということを考えたときに、あまりポジティブな話は聞かれないのですけども、これからの百貨店というもののあり方をどう思いますか?


青木
一言で言うと、百貨店は「金太郎飴」だったらもう発展しないと思います。どこの百貨店いっても同じ品揃えだと思われてしまったら、その時点で業界としての役割を終えてしまうという危機感は持っています。ですから髙島屋は17店舗を直営で運営していますけども、17通りの店づくりをしている。特に横浜の中では、横浜地域に根差した品揃えと接客サービスをしていくというところ。やはり百貨店って地域産業なんですよ。

内田
はい、そうですね。


青木
同じブランドでもやはり違う、同じ地域の中でも違う、というところ。お客様のニーズをしっかりと書き留めて、それを具現化していくということも大事です。例えば、「女性ものの靴で25センチ、26センチ」というニーズがありますよね。日常そんなに大きな品揃えはできません。でも例えば年間の中である一定の期間だけはそのサイズを大きく広げてお客様のニーズに応えていく。これもひとつのソリューションだという風に思っています。これは靴とかだけじゃないということがよくわかったんです。例えば箸のサイズでも7種類の、同じ柄の箸でもですね。

内田
箸ですか?


青木
はい。短い箸がいいと言う人もいれば、長い箸がいいと言う人もいるわけです。そこにも応えていこうと、このあいだの2月に取り組んだサイズの展開がまさにそれです。もう大きいものから小さいものまで全部揃えようよと。

内田
そこまでお客様のニーズが多様化していますよね。今まではどうしてもプロダクトアウト、供給者の理屈で、「置いてあるものの中から買ってください」というところから、今は逆ですよね。


青木
そうですね、はい。

内田
そこは、転換点というものは、しっかりと百貨店は受け止めているのですか?


青木
受け止めていますね。「そこに手を入れていかなかったら、将来はない」くらいの危機感を持っています。

内田
百貨店が生き残っていくという要素がいくつか今日出てきたのですけども、まずは「体験していく」、「イベントで楽しんでもらう」ということですよね。あとはどういう形になっていきますか?


青木
やはり百貨店もネット通販であったりとか、あるいは訪日外国人の方に対する取り組みであったりとか、いろいろなビジネスチャンスはありますから、今までのマーケットの中だけで商売をしていくのではなくて、新しいマーケットをどう開拓できるか。特に横浜の中では、地域のおいしいものなどを、全国に向けて発信していきたいという思いが強いですね。

内田
地域の産品を横浜タカシマヤが発信していく。


青木
中華街であったりとか、あるいは横浜市内、鎌倉、葉山といったところの名品をネットの中で販売をして一定の支持も得ていますけども、例えばお中元の時には、県内の高校生と一緒にものづくりをしてお中元のギフトとして仕掛けていくみたいなことも取り組んでいますので。

内田
ここはこれまでもやってきたと思うのですけれども、これからもっと力を入れていく?


青木
もっと増やさないといけないですよね。特に一次産業の中での次世代後継者の不足みたいなところありますから、やはり高校生とか、まだそのビジネスには就いていないけれども、「自分たちが作った、携わったものが、こういう形で売られていって、お客様の元に渡るんだ」ということを実感していただければ、日本の将来というと大げさかもしれないですけれど、非常にいい取り組みになっていくだろうと思います。そういう機会をどんどん与えていきたいですよね。

内田
青木店長もそういう経験をしてきた?


青木
私はとにかく販売現場が大好きなので、ほとんど席に座っていませんね。1日大体2万歩くらい、土日だと3万歩くらい店内を歩いてしまうんですよ。ついつい、気がついたら、そこ、そうなっちゃうっていうところです。

内田
百貨店の店舗の魅力ってなんですか?


青木
どこへ行っても何か発見があるということでしょうね。モノが置いているだけではない何かの発見を、どう表現していくかということだろうと思いますし、単なる道だったら、そんなに3万歩も歩かないと思います。面白いから3万歩歩いちゃうんでしょうね。お客様の反応を見るのも好きですね。

内田
百貨店好きですか?


青木
百貨店好きです。やっぱり世の中にとって必要な存在であり続けたいですね。



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5月29日の放送内容

働き方改革を支える 「時間」と「環境」
神奈川経済の「今」を伝える情報番組。今週は「働き方改革」を特集。取材するのは横浜市に本社を置く「アマノ」。国産初となるタイムレコーダーの開発以来、就業・人事給与システムを中心に多様な仕事を支えるアマノ。中島泉社長に、働き方改革の視点と、現在注力する環境システム事業の可能性について聞く。また、ビジネスのヒゲでは地域の子育てを応援するタクシー会社を紹介する。

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