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神奈川ビジネスUp To Date

神奈川ビジネスUp To Date

神奈川ビジネスUp To Date

9月26日放送分
「未来へ続くモノレール鉄道 地元密着と観光の経営戦略」

ゲスト
湘南モノレール株式会社
代表取締役社長 尾渡英生さん


【プロフィール】
1961年 福岡県北九州市出身
1983年 埼玉大学卒業後、日商岩井(現・双日)入社
2011年 双日ロジスティクス国際本部長としてインドネシア物流会社への出向、フィリピンでの自動車プロジェクト等を経て 2015年 湘南モノレール 代表取締役社長に就任


鎌倉市に本社を置く「湘南モノレール」がたどってきたのは、「地元の重要な交通インフラ」としての歴史でした。住宅開発や工場稼働などを背景に、三菱グループが1966年に設立、1971年に営業運転を開始。年間約1,000万人の乗客の多くを、地元の方や通勤客が占めています。そうした中、2016年に「みちのりホールディングス」が株式を取得。乗客のニーズを掴み、路線の価値を高める、独自の戦略について伺います。

内田
尾渡社長は、特に交通機関に関わる様な仕事ではなかった中で、湘南モノレールの社長をするということになった。その時のご自身の印象ですとか、何故そうなったのか、ということをまずお伺いしたいと思うのですが。

尾渡
そうですね。商社の中で30年くらい仕事をしている中では、自動車関係と物流関係の仕事が中心でしたので、そういった意味ではバスやトラックも含めて、交通インフラというところの仕事はしてきたつもりではいるのですが、過去は海外の仕事がほとんど中心で、10年間くらい東京にいて20年間くらいは海外で仕事している、という様な感じでした。そういう中で、日本の中でも仕事をしたいという部分と、そういったインフラ、特に交通インフラに関わる様な仕事を、「ある意味、最後かな」というところで、最後にこういう仕事をしたいというのはありました。

内田
そういうことで社長におなりになったわけですけれども、モノレールに乗って沿線をずっと見て、その時の湘南モノレールの経営状況というのはどういうものだったのですか?

尾渡
決して悪くはなかったと思います。無借金経営をしていましたので、そういった意味では、「助かったかな」という風に思っています。

内田
非常に健全な経営が行われていたのにも関わらず、元々三菱グループが持っていたものが譲渡された、という形になったのですけども、ここはどういう様な理由で譲渡を受けたというご認識なのですか?

尾渡
ここはもう想像でしかなくて、やはりその企業の中でいろいろな形で子会社を沢山持たれたり、いろいろな部門の仕事をされている中で、その時代・時代で「ここに集中していこう」ということがあるのだと思います。そういった中で「みちのりホールディングス」という、我々の親会社が北関東・東北でバス事業を中心にして5社でいろいろな交通インフラ事業をしていますので、そういった意味では、新しい株主というのは、まさにローカルな事業をやっていくには相応しい株主なのかな、という風には考えました。

内田
きっとその売った資金で何か新しいことを始めるとか、強みの部分を強化するという、そういう事業の入れ替えですよね。それで交通機関の再生が得意なところにモノレールを託す、という理解でよろしいですか?

尾渡
はい。今、「託す」という言葉を、私も「その通りなんだろう」という風に思います。安心・安全な輸送ですとか、定時運行ですとか、こういったことは過去45年、しっかりやってこられている。ここは、絶対に継続していかなければいけませんし、当然改善すべきところは改善していきますけども、そういう中で、やはり乗り物として利便性ですとか、楽しさというものも絶対にあるのだと思います。そういったものも併せて訴求できる様な企業になっていきたいと思っています。

内田
湘南モノレールの経営を考えていく上で、「軸」になる部分というのはどういったところですか?

尾渡
かなり長期のキャッシュフローというのをしっかり考えて、その中で経営をしていかなければいけない、というところが私にとっては大きな軸かと思っています。例えば車両ですけども、我々7編成持っているのですが、大体24年で新しい車両に更新していく。それから電気設備の方でも30年・35年に一度だけ交換する様な部品がある。そのために日々、色んな点検をしていっている。そういうことを考えると、非常に長期な中で資金繰りをしっかり考えていきながら、そこに新たな設備投資を、例えば駅舎のバリアフリー化ですとか、そういったものを折り込んでいく、というところが一つの軸になるのかとは思います。


駅のバリアフリー化や車両の完全リニューアルなど、ハード面の利便性向上を進める湘南モノレール。そうした中、ソフト面で大きなインパクトを与えたのが、23年ぶりとなる「ダイヤ改正」。6月から、平日15分間隔だった夜の運行間隔を7分半に短縮するなど、運行本数は上下合わせて549本となり、53本もの増便を実現しました。

内田
23年ぶりのダイヤ改正ということで、ある意味、尾渡社長が来られて最初に取り組んだ改革の一つであると。これはどういう思いを込めてされたのですか?

尾渡
正直、その「23年ぶり」というのを聞きまして、個人的には大きなショックだったのですが、少しでも利便性を上げたいと。モノレールという単線ですので、5編成があるポイントですれ違いながら走っていますので、そういった意味では7分半よりも縮めるというのは少し難しいのですけども。

内田
もうぎりぎりのところまでやったと。何が変わりました?

尾渡
利用者の方々からは「よくやってくれたね」ということで評価をいただいています。実際に6月1日以降利用者数も増えていまして、特に定期券の発行枚数が増えていまして、そういった意味では成果も上がっているかなと思います。

内田
やはり7分半だと使える、安心して使えるという風に価値を認めた方が多かったということなのですか?

尾渡
はい、少しずつ増えてきていると思います。

内田
なるほど。でも社内の方の、「ダイヤ改正をするんだ」と社長が決められた時というのはどんな反応だったんですか?

尾渡
最初にそういうことをしたい、ということで社内に諮った時というのは、ここでも23年ぶりという話がありましたけれども、変えることに対する、変わることに対する、やはり人間、抵抗感というのがありますよね。

内田
その時に皆さんに訴えた言葉というのがあれば教えていただきたいのですが、どんな言葉を使って説得されたのですか?

尾渡
「長期のビジョン」というのがものすごく大切なのだと思っています。簡単に言ってしまうと、子供たちの世代にこのモノレールを引き継いでいくという、その長期のビジョンを共有できるかどうかだということで思っていまして。「今まで9時まで運行していた、7分半で運行していたものを、11時まで延ばす」という点ではなくて、もうちょっと長期のビジョンの中で、自分たちとして「このモノレールをどんな風な会社にしたいのか」、「どういうサービスをしたいのか、しなければいけないのか」という、そういうところからの話で、そこも先ほど申し上げた「長期のキャッシュフロー」というところに関わってくるのですが、やはり利用者の数が増えて、収入が増える、そこでキャッシュをいただいて、それをやはり安心・安全運行のための施設の維持管理に使ったり、バリアフリー化に使っていく。そういうことをしなければ、「我々は今後45年、50年、このモノレールを維持できない」という、少し長期的なビジョン、使命というものをもう一度みんなと共有したということなのだと思います。

内田
「バリアフリー」ということで、ここが課題の一つであったということなのですが、このバリアフリーを進めていく中で、さらに先にあるものというのはどういうものですか?

尾渡
バリアフリー化のいろいろなハード面の工事を始めたり、これから計画を進めていくという段階ですので、次のことをちょっと申し上げるのも何か心苦しい気もするのですが、気持ちの中では、この「ハードのバリアフリー化」の次にあるものは、やはり「ソフトのバリアフリー化」なんだろうなと勝手に自分で思っています。例えば「情報のバリアフリー化」、それから「おもてなしのバリアフリー化」というのがあると思っていまして。そういうものは作り上げていきたいと思っています。


今後の展開のカギを握るのは、新たな「観光」需要の掘り起こし。湘南モノレールを軸に、エリアの主要な駅を結ぶもう一つの観光路線として「ゴールデントライアングルルート」を提案。その中で、湘南モノレールの認知度を上げるイベントを多く展開しています。

内田
ますます観光で利用していただくというところが経営的にも伸びしろになってくると思うのですけど、「知っていただく」という意味でのプロモーション、ここで大事になってくることは何ですか?

尾渡
地域の方々と連携しながら、その地域・地域、その町・町にあるいろいろな魅力を我々が情報発信をしていく。点を線につなげていき、線を面にしていく…そういうことを、我々だけではなくて他の鉄道事業者さんとかとも一緒に進めていくことによって、利用者の方でいろいろなチョイスが出てきて、自分なりの旅が作れていく。私の持っているイメージの中に、沿線の色々な魅力のスポットを、ネットの中の地図でそういったものを紹介していく。それが外国人の方にも「このスポットに自分が行きたいな」ということで、それを選んで、そこで自分で歩くルートを決める。

内田
地図の中でシミュレーションができる形にする?

尾渡
そういう情報共有基盤を作りたい、というのが一つあります。

内田
目指していく未来の姿というものはどういうものになりますか?

尾渡
この湘南地域が2050年にどういう姿であって欲しいか、ということを考えた時に、山や海や非常に自然豊かな地域であるのですね。その自然を守っていきながら、その中で歴史だとか文化も相当にある地域、そこに世界中の多種多様な方々が来られる。人が集う。そこで、女性たちが生き生きと仕事をしている。子供たちが安全なところで外に出て思い切り遊び回っている。そういう湘南地域の2050年というのを考えると楽しいですよね。そういう中で交通インフラ、鉄道事業者として、人の移動に関わる部分でどういうことができるか。沿線にお住まいの方々、そこでビジネスをやられている方々と連携をして、その地域の魅力を世界中に、日本中に発信することによって、そこにどんどん、どんどん、人が集う。そうすると、またそこで雇用が生まれたりだとか、継続的に持続していく、非常に良い、好循環の地域が生まれていく。その中で何か我々としての役割ができればいいという風に思っているのですけど。


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古い映画フィルムを鮮明にデジタル化する企業
山勝電子工業(横浜市港北区)

9月19日放送分
「自動ドアのトップ企業が誇る地元密着の現場力!」

ゲスト
株式会社神奈川ナブコ
代表取締役社長 原 信治さん


【プロフィール】
1962年 東京都世田谷区出身
1984年 早稲田大学卒業後、サントリー入社
1997年 神奈川ナブコ入社 専務取締役を経て、2000年 代表取締役社長に就任


神奈川県の自動ドアでトップシェアを誇る「神奈川ナブコ」を特集。業界のナショナルブランドを扱い、多くの顧客を獲得する神奈川ナブコが注力するのは地元密着のサービス。独自の事業展開と信頼を支える現場力とは?

内田
私も取材で各国へ行ったりするのですが、「日本ほど自動ドアが普及している国はなかなかない」と思うくらい沢山のところで自動ドアを見かけるわけですけれども、これはどういう経緯でこんなに自動ドアというものが広がってきたのですか?


よく言われていることですが、日本は「引き戸」の文化と言われていて、開き戸というのはありますけれども、欧米へ行くとどちらかと言うと「開き」、或いはビルのエントランスだと「回転扉」が主流です。日本は本当に沢山のところに自動ドアをお使いいただいて、あるのが当たり前という様な、そんな存在にしていただいているので、我々としては本当に仕事のやりがいがあります。

内田
神奈川ナブコさんは、神奈川の自動ドアでトップシェア、事業所も9か所あるということで、非常に広がりを持って事業をされていると思うのですけれども、9か所がフル稼働していくというのは、それだけの市場であるというということでもあるんですね?


そうですね。自動ドアは専門用語を使うと「ニッチ」と言いますか、マーケットとしては小さなマーケットですけれど、我々が商売をさせていただくお客様がどんどん増えて、そこに対してなるべくいいサービスをご提供するというのが、私どもの会社の存在価値として会社運営をしております。

内田
そこが圧倒的なバリューになって、お客さんから評価されている部分だと思うのですけれど、今、その神奈川の建設需要と言いますか、もっと言うと自動ドアのニーズ、これはどんな風に変わって来ているのか、現状を教えていただけますか。


まず現状を申し上げると、よく「業界天気予報」みたいなのがありますけども、それに例えると「曇り」から「晴れ」になってきたという状況。これは私が会社の代表になってから16年経ちましたけれども、今までの状況の中で一番いい状況にあります。

内田
そうですか。


転機と言うのは、東京オリンピックが決まったりだとか、あとは私も個人的に好きなのですけども、ラグビーのワールドカップが2019年に日本で開催ということ、これは大分前から決まっていましたけども、そういったチャンスに向けての建設市場の拡大というのもありますでしょうし、或いは、そういった大きなイベントを除いても、もうそろそろ社会的インフラであったり、いろいろなビルのニーズであったり、少なくとも2020年代の初めくらいまでは大きなビジネスチャンスが待っているという風に思います。

内田
いいですね。神奈川の中で、ここが需要が増えてくるだろう、増えているという部分で見ると、どういうところがありますか?


一般に公開されているものですので、ご存知の方も多いと思うのですけれども、もう工事に入っている横浜駅西口の駅ビル、或いは市庁舎が建ちますし、市庁舎の近くにも大型のマンション、50何階建てですけれども、非常に大きな規模のマンションが建ち上がりますし、それ以外にも、大手のホテルさんが近くにホテルの計画を立てられたりだとか、今既に分かっている計画、我々からすると大型のプロジェクトだなというものが、6~7個くらいこの近くにあります。1年に一個あるかないか、というペースでしたので、これだけ短い間にどんどこどんどこ建つ、というのは本当に大きなチャンスですね。

内田
そこにしっかりと神奈川ナブコさんが入っていくと。


そうですね。新築の時にナブコをご採用いただかないと、その後の商売のチャンスと言うのはほとんどゼロと考えていいんですね。ですからしっかりと初期段階でナブコの商品を受注させていただいて、その後の点検のビジネスであるとかメンテナンス、そういったことでも長くお付き合いをいただけたらという風に思ってます。


社会情勢や経済状況によって建設需要が大きく変化する中で、神奈川ナブコが注力するのは「アフターメンテナンス」。モーター部分やセンサーなどが正常に作動するかといったメンテナンスを行い、安全性を確保し、更に、万が一動かなくなってしまった時でも24時間365日対応するというサービスを徹底しています。

内田
「アフターメンテナンス」が強み、「命」だということですけども、一般的に「アフターメンテナンスをちゃんとやります」というのは、常套句と言いますか、どこもそういうことを言うわけです。そことは違うという部分というのをお伺いしたいのですけれども。


まず、神奈川県内に9つの事業所がありますので、他の業界はちょっと分からないですけれども競合他社さんと比べると圧倒的な事業所数になります。ということは、お客様の場所に9つの事業所の中から一番近いところから、なるべく「早く」駆けつけることが出来るのが私どもの大きなアドバンテージであり、お客様の立場から見ると、やはり「神奈川ナブコに頼んでおくと、すぐ来てくれる」というのが、一番のメリットだという風に考えます。なるべくお客様のところに「早く」伺ってトラブルを解決するということが、日頃から点検の仕事をいただいたりだとか、「アフターメンテナンスをやりますよ」と言っている会社としての使命であり、それをやるかどうかというのが、お客様にとっての判別の基準になると思いますので、そこだけはもう絶対に譲れない、ということで経営の一番大切な部分に置いてやっております。

内田
お売りした商品に対して絶対的な責任を持つ、ということだと思いますけど、例えばその「メンテナンス」の部分というのはどういうものになるのですか?


年に4回とか3回、決まった日にこういう項目を点検しますという様なことで、それは私どももそうですし、自動ドアの各メーカーさんというのは仕事の内容としては大きな差はないと思うのですけども、やはりいかに早く駆けつけるか、という様なことと、私どもが力を入れているのは、これも「当たり前」と言われれば「当たり前」なんですけども、現場に行って、まずきちっとした身なりをして、なんか汚い、変な、どこのお兄さんが来たのかな、という様なことを思われない様に、きちっとした身なりをして、髪型だとか、身だしなみ、あとは車もきちっと清掃をして、中の積荷もごちゃごちゃと汚いままにしたりしない様にと。本当にそれは当たり前のことですけれども、いかに日頃の社員一人一人の行動に結びつけていくかということが、会社を経営する上で私は大切だと思っていて、かなりこだわりを持ってやっています。


「ナブコ」ブランドを支える、充実のサービスを実現する現場力の裏側には、神奈川ナブコが取り組む「お客様第一主義実践計画表」があります。顧客視点に立ち、自身で取り組むべき行動目標、自己啓発、業務改善提案などを毎月、社員全員が設定。その全てに上司、社長が目を通し、コメントと共にフィードバックを行っています。

内田
この「お客様第一主義実践計画表」、本当にこう細かいことをやっていらっしゃるのですけども、「目標を立てる」ということを導くことの難しさ、その目標が妥当であるかということを評価する上司、更にそこを会社の経営・業績に繋げていく経営者、本当にそれで良い循環が作れるのかというところを聞いてみたいのですけど。


まず、一本筋が通っていないとこれは出来ないという風に思っています。どういう一本の筋なのかと申しますと、これは「お客様第一主義」を実践していくことが当社の柱であるということを、経営者自ら、経営幹部、管理職、全社員に訴えかけてやっていくという、これが欠かせないという風に思います。管理職の役割が大切だという風におっしゃいましたけども、まさしくその通りで、やはり私が直接、今社員が140人を超えていますけれども、140人に対してコメントを毎月書きます。

内田
見ました。すごい作業だと思います。


そうですね。ここにペンだこが出来てるんですけれども…面倒くさいと思うんですよ、はっきり言って。「毎月、毎月、社長もこんなコメント書いて…もう面倒くさいな」と、もう書くこと自体が面倒くさいと今でも思っている人はいると思いますし、かつてはもうほとんどがそうだったと思います。

内田
始めた頃?


はい。ですのでそういうことの繰り返しですけれども、やはり人と人の心が通ったことを会社のどこかには残しておきたいというか、中心にしておきたい、という想いがあるものですから。

内田
それをやり始めて、コミュニケーションの中で、社長から見て社員というのはどんな風に変わっていきましたか?


まず目標を「正確」というか、「相応しい」目標というのは、例えば最初のうちは営業目標、自分の月次の、営業の人だったら、数字を書いたりするんですね。

内田
「いくらを達成します」と。


「売り上げをいくら達成する」、「粗利いくら」。これは「ノー」。「お客様第一主義」の実践計画表なので。

内田
そこですね。


「お客様にとって何が大切なのか、ということを営業マンの君の立場で考えようよ」と。

内田
社員が気持ちよく、お客様が喜んでくれるということが前提でやっていくことですが、経営者としての観点で見ると、そこが会社の業績に繋がっていくという部分に落とし込んでいかないといけないと思うのですけれども、具体的なエピソードみたいなものはありますか?


私が経営し出してから売上高で2倍にはなっていないですけれども、1点何倍かにはなっていますし、本来的にはもう16年も経っていますので、それくらいにならなきゃいけないんでしょうけれども、結果としてそういうことも出来ていますし、或いは離職率というのが、かつてそんなに高くてどうしようもない、というわけではなかったですけれども、今、本当に低くなってですね、辞める社員が珍しいという様な状況にもなりました。各年度の細かい統計は取っていないですけれども、明らかに変わったところです。それと「こういう点についてはこういう風に変えよう」、「皆で話をしました」とかいう様な、要は人任せじゃなくて、自分たちで解決するにはどうしたらいいかということを書いてくれる様な雰囲気になりましたし、「自分からこうすれば会社という組織を動かしたり」とか、「自分のこういう一つ一つの提案が取り入れられた」ということになると、やっぱり嬉しいですよね。

内田
現場で今何が起こっているのかということを非常にリアルタイムで吸い上げているという意味では、社長も非常に助けられているツールという風にも言えるかもしれませんね?


理想からすると、どんなに小さなトラブルの話でも全部リアルタイムで上がってくるというのが理想なんでしょうけど、まだまだそこまでは行けていないかも知れないですけれども、やはり会社の経営者というのは人と同じ様なことをやっているわけにはいかないので、もしそれがうちの強味の柱であったら、今後も益々いい仕組みにしていきたいという風には思っているんですね。

内田
今後の神奈川ナブコがどの様な会社になっていくのか、未来の姿を教えていただきたいのですけど。


一般の方が必ず、一日に一回はナブコの自動ドアをお通りになっているんじゃないかなと思います。これは、神奈川県だけじゃなくて、東京であるとか、他の地域の方も皆さんそうだと思うのですけども、まずは「自動ドア」、そして「ナブコ」を世間の方々に認知していただいて、より多くの方に「自動ドアというのは当たり前だけども、非常に有意義な商品である」ということを知っていただくことが、私は今の仕事をしている上でのやりがいなんですね。なるべく一回でも多く「ナブコ」の「自動ドア」を通ってもらう、というのが私の夢です。


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「ビジネスのヒゲ」

胡麻油の老舗企業のこだわり
岩井の胡麻油(横浜市神奈川区)

9月12日放送分
「冠婚葬祭などの儀式をサポートする企業」

ゲスト
株式会社メモワール
代表取締役 渡邊正典さん


【プロフィール】
1964年 山梨県出身
1992年 株式会社メモワール入社
2013年 代表取締役社長に就任


メモワールは、1970年に横浜市南区で貸衣装業と葬儀式を行う会社として創業。1973年に割賦販売法の改正と共に「冠婚葬祭互助会制度」が確立、株式会社となり、山梨県、静岡県へと進出。現在は互助会4社、関連子会社8社を擁する「メモワールグループ」として事業を行っています。

内田
メモワールグループというのは、冠婚葬祭をビジネスにしているということですけれども、業務内容を詳しく教えていただけますか?

渡邊
「冠婚葬祭」「互助会」という柱で成り立っています。特に人生で行う冠婚葬祭の儀式に関するサービスをお客様の方に提供させていただいています。

内田
具体的には結婚式、お葬式、他にはどういうものがありますか?

渡邊
披露宴以外にもパーティーですとか、いろんなご宴会があります。また葬儀の中でも、お葬儀だけではなく、その後の法事、そういったものもお手伝いさせていただいております。冠婚葬祭以外の部分では、バス事業や老人介護の部分、介護タクシーですとか、ベッドですとか、そういったもののリース事業もさせていただいております。

内田
「互助会」というものですけれども、私の世代はすごく小さい頃から互助会で積立てをして…という印象はあるのですけれども、若い方は「互助会って何?」と知らない方もいる。改めてこの「互助会」というのは何なのか、どういうメリットがあるのか、ということを教えていただけますか。

渡邊
「互助会」というのは国の、経済産業省からの許可事業なんですね。「割賦販売法に基づく前払い特定取引」の許可を得た事業者が冠婚葬祭互助会の免許をもらっている許可事業、経済産業省から許可をいただいた事業者しか「互助会」というものは出来ないんですね。

内田
「割賦式販売法に基づく前払い」という、ここは?

渡邊
お客様から前もって(お金を)預かる、或いは後払い、物を買った後に後から払っていく、これを割賦販売法というんですね。「互助会」というのは、前もってお客様から毎月毎月、お金を月々集めます。前もって預かるわけでございますが、これは割賦販売法の法律の中に入るわけですね。

内田
そもそもこの「互助会」という、前払いでお金を積み立てていく、これは何故始まったのですか?

渡邊
これは「万人のために」という意味があるのですけれども、昭和の初めに、横須賀で始まった。葬儀、或いは結婚式、そういったものに対して前もってお金を積み立てておく、その積み立てたお金で物品を購入して、積み立てた方全ての方にその物品を使わせる。ですから「互助会」という部分で「お互い助け合う会」、そういう意味合いなんですね。

内田
皆さんで、少額から集めたお金で、いろいろな葬儀、儀式で必要になるものを買って、それをシェアするということですか?

渡邊
そうですね。

内田
「シェアリング」ということ。

渡邊
そうですね、はい。

内田
その中で、メモワールさんの会員数というのは今、どのぐらいですか?

渡邊
横浜の株式会社メモワール単体ですと今、横浜に約15万人おられます。うちの場合は、グループとしては4つの互助会がありますので、その互助会を全部合わせますと約40万人の会員様になります。

内田
メモワールさんの互助会の会員になるとどういうメリット、普通の方とは違うメリットはどういうものなのですか?

渡邊
やはり互助会の会員さんと非会員さんによっては、施行の金額というものが大きく変わってきます。会員さんの方がお得になります。

内田
いくら位から積み立てられるのですか?

渡邊
昔、スタートは300円とかという話だったのですけれども…

内田
そんなに少額…

渡邊
当社は今、2000円掛けの90回、そうすると18万円。5年間は積み立てていただくのですけれども、積み立て終わりますと、会員さんとして権利は残ります。積立が終わります、ということです。その間に会員さんとしていろいろなメリット、そういったものは全て積立が終わっても、その施行までは全て会員さんとして、冊子ですとか、いろいろなメリットをお客様に出させていただきます。

内田
(入会されるきっかけは)そういうメリットを感じて、口コミですか?

渡邊
今、「ご葬儀」というのが、昔はタブー視されていたと思うのですけれども、今、本当に私たちの職員より、一般のユーザーの方の方が葬儀に詳しくなってきていますよね、ネット上ですとか。またタブー視でしたから、亡くなってから「葬儀社はどこに決めようか」「どこの斎場でやろうか」という事態だったのですけれども、今はもう、亡くなる前に「この斎場でやろう」と。ですから当社では、月に一回は必ずお葬式フェア、見学会をうちの自社斎場で行わせていただいています。多い時では2日間で約500人ですとか、1000人の方がそのお葬式展に来ていただいて…

内田
1000人もですか?

渡邊
延べ2日間で、です。その中で何をするか。「冠婚葬祭互助会のシステム」或いはまた「葬儀のシステム」、その中でお客様が今、分からないことがいっぱいあると思うんです。そういったものを解決できる様な展示会を行わせていただいています。

内田
お客様が来て、互助会のシステムを知って、「これは良いから、積立を始めようか…」という風に思われる方が多いと?

渡邊
そうですね、はい。


人口減少、核家族化、ニーズの多様化など、儀式産業を扱う業界を取り巻く環境が大きく変化している中、メモワールでは、時代の流れをいち早く掴み、「トータル・ライフ・サポート」で消費者の要望に対応した催事を提供しています。

内田
「トータル・ライフ・サポート」ということで、様々な儀式を扱っていらっしゃるのですけども、今一番注目するのは「葬儀」ですね?

渡邊
はい。

内田
高齢化という意味では、今すごく「葬儀」というものが注目を集めていると思うのですけれども、渡邊社長から見て、「葬儀」というものが今どんな風に変化してきているのか、教えていただけますか。

渡邊
難しい質問だと思うのですが、今、本当に少子高齢化というのがすごく進行(していて)、高齢者のいる世帯の半分以上が単身世帯、或いは夫婦のみの世帯が増加しているのが特徴だと思います。それによってその地域のコミュニティがすごく薄くなって、人と人の距離が段々段々遠ざかっている世の中ではないか、と思うんです。自然に「無縁社会」が粛々と進んでいる。それに対して、葬儀事情においては、死亡者というのが増加しているんです。

内田
どれくらいですか?

渡邊
厚生労働省からの発表によりますと、2040年には年間約166万人の方が亡くなる、2040年がピークでそこから下がっていく、という発表が出たのですけれども、(死亡者が)増える一方ですね。先ほどの「人と人の繋がり」というものがなくなってくることによって「葬儀」というものが段々小さくなってきています。会葬者が段々少なくなってきますから。「家の繋がり」、そういったものもありますけれど、日本人特有の「義理」「張り」というものが段々薄れてきている。だから葬儀というのは段々小さくなりつつあります。

内田
具体的に「小規模」というのはどういう形のものが、今ニーズとして大きいのですか?

渡邊
「家族葬」、家族だけで行うということですね。

内田
それは、どういう段取りになってくるのですか?

渡邊
葬儀として、流れは一緒です。家族・身内だけでしよう、ということです。

内田
そうすると、費用をものすごく少額に収めて、家族だけで、一応お通夜もやり、葬儀もやり、その一通りの儀式をやると?

渡邊
はい。流れは全て行います。

内田
それが全てコンパクトに?

渡邊
コンパクトになっているということですね。

内田
そのコンパクトになっている、というのは多様になっている葬儀の一つだと思うのですけれど、もう少し葬儀というものを自由な発想でやろうという変化は見られますか?

渡邊
昔は(葬儀には)お寺さんというのが必要だった。今は「菩提寺」があっても、お坊さんはいらない、という方もいます。横浜ですとか東京というのはいろいろな地方から(多くの方が)出てきています。地方にお寺さんはあるのだけれど、そのお寺さんを呼ぶのは大変ですよね。そうすると、「どういう葬儀をしますか?」と言ったら、音楽だけでやってほしい、ですとか、海洋葬、海に散骨ですとか、樹木葬といったものも段々に、すごく増えているというわけではありませんけれども、そういうニーズも多少あります。

内田
そういう様々な、皆さんが思いついていろいろなニーズがあって、「こうしたい、ああしたい」と。それに対してメモワールとしてはどの様に対応してきたのですか?

渡邊
葬儀意識に対する変化、変わっていく部分というのがありますけど、消費者の考えが変わってきています。うちの場合、儀式というのはモノを売る商売ではないんですね。私が思っているのは、お客様に「目配り・気配り・心配り」、よく温泉の仲居さんですとか、そういう方の目配り・気配り・心配りというのは素晴らしいと思います。それを私たちは、職員に徹底させ、いかにお客様の痒いところに手が届くか、という形で、全てお客様に対して「お客様があって私たちがいる」「お客様があって私たちは生活できるのだ」という気持ちを持たせて、お客様第一主義の企業を目指してやっています。時代の変化というのはあると思うのですけれども、全てはやっぱりお客様だと思います。


市場規模2兆円といわれる葬祭市場の規模は、2040年まで拡大傾向と予測されています。成長産業として異業種からの参入もある「葬儀ビジネス」について、互助会業界の全国組織「一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会」の副会長も務める渡邊
代表は、どのような見識を持っているのでしょうか。

内田
今、異業種からの葬儀ビジネスへの参入というのがとても増えている。イオンさんを初めとして、いろんなベンチャー企業も「葬儀ビジネスをやる」ということで、更にamazonがお坊さんを宅配する「お坊さん便」というのをやって話題になったばかりですけれども、異業種からの参入というのを、渡邊社長はどう見ていますか?

渡邊
2040年までは、年間で亡くなる方がピーク、166万人までピークになるわけですから、事業として見れば市場の拡大というのは確実だと思うんですね。事業拡大が確実ということは、いろいろな企業がビジネスに参入してくるのは、ごく自然なことだと思います。

内田
その(異業種参入が)増えていくということは必然だし、増えないと回らない、という部分もあるんですね?

渡邊
回らないと思います。

内田
ただ、参入の仕方もいろいろある訳わけで、例えば先ほど言った「お坊さん便」というのは、「法要3万5千円、戒名2万円から」…そんな価格の出し方をして、インターネットでポチッとやるだけでお坊さんが来る。こういうのはちょっと我々からしても「そんなのでいいのだろうか」という違和感も感じるわけですし、(一方)ITCの社会というのはそうなっていくのかなということも感じますし、これはどうなのでしょう。

渡邊
葬儀に対してもインターネットの広告で葬儀社を選んでお願いする、という事態に段々なりつつあるんですね。これは時代の流れでありまして、インターネットを利用した(サービスというのは)時代の流れですから、しょうがないのかなと思うのですけれども、やはり私たちの生業というのは「ホスピタリティ・サービス」というのが本質だと思うんです。単なる費用の比較では判断は難しいのではないかと考えるのですけれども。

内田
非常にコンビニエンスですよね。呼べば来る、それで葬儀が済む。けれども、そもそも何のためにやるのか。形式的な、形だけやればいいということではなく、やはり一つ一つの儀式というのは意味があるわけで、きちんとした伝統の儀式に則ってお葬式をやること、それでお墓をしっかりと持つ事というのは、どういう良さがあると思いますか?

渡邊
葬儀という、儀式というものを行うことによって、「亡くなった」という認識をしなければいけませんね。私も父を亡くしていますけど、亡くなったことは分かっていました。でも葬儀をすることによって「けじめ」ですね。お別れというものは必要ではないかと思います。この「けじめ」だと思いますね、お葬式というものは。

内田
しっかりと故人の方の死を認識して受け入れる。それをやるとやらないとでは、どんな違いが出てきますか?

渡邊
「繋がり」が段々なくなって、「繋がり」というものをこれから(大切に)していくためには、葬儀をすることによって、昔の「義理」「張り」、そういったものを、今からしていかなければいけないと思います。

内田
今後のメモワールさんの戦略、どんな会社になっていくのか、未来の姿というのはどんな風に思い描いていらっしゃいますか?

渡邊
冠婚葬祭、互助会というのは「地元密着」というのが一番欠かせないことだと思っているんです。地元に密着した事業内容を、強く、内容をしっかりと活かして、そしてまた先ほどにもありました「独居老人」ですとか、そういった方も段々増えてきますから、市・行政と連携をしながら儀式のサービスを提供していきたいと思っています。そして最終的には「お客様第一主義」。お客様が今、選ぶ時代です。私たちが選ぶ時代じゃありません。お客様が企業を選ぶ時代です。「選んでいただける企業」でありたいと思っています。


tvkのYouTube公式チャンネルの「見逃し配信」では取材VTRも含め、インタビュー全篇をご覧いただけます。(視聴無料です)

特徴ある製品・サービスを紹介
「ビジネスのヒゲ」

ガイダンスロボット実用化の取り組み
日本精工(品川区)・ロボキュン藤沢プロジェクト(藤沢市)

9月5日放送分
「独自の栽培法とビジネスモデルで若者の就農を支援する農業ベンチャー」

ゲスト
seak株式会社 代表 栗田紘さん


【プロフィール】
1983年 横浜市出身
2006年 東京工業大学卒 電通入社
2012年 パーソナルモビリティを手がけるWHILL社COO就任後、アーキタイプを経て、2014年にseakを設立、2015年藤沢市で就農


藤沢市で、トマトなどの野菜生産を行うseak(シーク)株式会社。独自の栽培方法で高品質の野菜を作り、そのノウハウを広め、チームで生産を行う事で新規就農支援を目指す「農業ベンチャー」企業です。

内田
栗田さんは大手広告代理店にいらして、その流れでベンチャー企業の立ち上げというものにも関わり、そして今、農業というビジネスに注力されているという、非常にユニークな経歴を持たれているのですけど、これはどういう様な気持ちの変化の中でこういう事になってきているのですか?

栗田
大手広告代理店はクライアントの広告作業をサポートする仕事で、ベンチャー企業も元々エンジニアとデザイナー、物作りのチームがあったところに僕はビジネス要員としてサポートで入るという形でキャリアを積んできて、元々ゼロからイチを作っていくという事に対する本能的な憧れとか、ある種の羨ましさとかがあって、それをいつか仕事としてやりたいなという気持ちを強くしてきて今に至っていて。そこで身近な父親であったり、一緒にseakをやっている人間が病気になったりとか、体を壊したりという中で、その身近な人の健康とか食みたいな事に対するじぶん自分ごとの課題みたいなものが出てきて、そこでゼロからイチを作る、ちょっと健康に対して寄与できる様な、そういう仕事を出来ないか、という思いを強くして、そこで農業というテーマに出会ったというのが今までのキャリアの流れになります。

内田
その中に色々な人との出会いであるとか、経験であるとか、成功・失敗というものもありながら今に至っていると思うのですけど、「よし、じゃあ次は農業なんだ」「自分がやるべきものは農業なんだ」、というところで確信を持ったというのは何だったのですか?

栗田
やはり、人の役に明確に立つものをやる、という事のやりがいとか、素敵さというのはすごい感じたんですね。新聞を開くと毎日の様に載る課題みたいな事があるじゃないですか、高齢化であるとか医療とか。その中に、やはり「農業」というキーワードが常にあって、それで農業という事はやりがいとかやることの意義という意味でのマーケットの伸び力がすごくあった、というのが大きく一個(の理由として)ありました。

内田
社会の様々な問題、解決すべき問題というのが山積している中で「これは農業が大変なことになる」という部分というのは、どういうところだったのですか?

栗田
やはり一番は高齢化している、農業従事者がとにかくお年寄りの方がいっぱいになっていく、それで若者が入らない。なので、農業従事者の平均年齢は上がっていくという…

内田
どんどん少なくなっていますよね。就農人口も。

栗田
その就農人口が減少していくと当然、国というか、日本として生産していく、いわゆる能力というか人手が減っていくので、それで今後良いものを食べ続けていく事に対する漠然とした危機感みたいなものが、僕は感じとった事ではあったんです。

内田
栗田さんは農業をちょっともやったことがなかったと思うんですね。どうでした?農業をやってみて。

栗田
とにかく難しい、大変、もう苦労が絶えない、という事を実感しました。農業を始める事を就農と農業界隈では呼ぶのですけど、まずその「準備」をして、「場所」を見つけて、必要であれば「施設」を建てて、「育てて」、「売る」と。農業をやっていくプロセスは大きく5つのステップがあるのですけど、とにかくそれが全部大変なんです。やはり準備も、農地を合法的に借りるために自治体から認定というものを受けて正式に農家になって、というのが必要なのですけど、その農家の認定を受けるために、大体1年から2年間くらい研修をしなけければいけない、というのが要件として決まっていると。

内田
それをやったんですか?

栗田
やりました。それで認定を受けて、じゃあ、いざやる場所を見つけようとしてもなかなか、やはり既存農家さんがいらっしゃって農地が見つからない。あっても自治体さんからご紹介いただくのは耕作放棄地であると。なので、土作りがされていないのでなかなか環境が劣悪であると。

内田
そこで、こんなにやってみたけどこんなに大変だから、もう止めよう、とは思わなかった?

栗田
逆にそれでやってみて、改善の余地が沢山あるという事に気付いたんです。農業界隈の大きな特徴が、実際に農家として若造として入ると、そこで色んな人が味方になってくれるという、すごく素晴らしい部分があって。僕らは戦略的に農家の認定を取って、農業エリアにお邪魔しているのですけど、それによって一気に色んな事がうまく進んでいく事も分かったので。逆に、僕らが苦労した事を、次の農業を始める方々が苦労しない様な仕組みとか手段というのがないか、という発想にどんどんなっていきました。

内田
じゃあ、苦労は良かったと?

栗田
そうですね。やっぱり苦労がないといい事は生まれていかないと思っているので、はい。


seakの野菜作りは、袋に入れた独自配合の土に直接苗を植え、農業で重要とされる「畑での土作り」を行わない、「袋栽培」という方法。就農から生産開始までの期間を大幅に短縮しました。

内田
土を外から持ってくる、その持ってくる「外の土」というのがミソになると思うんですよね。これはどういう試行錯誤があったんですか?

栗田
僕らは独自の土を使っていて、僕らのパートナーのベテラン農家さんのところで独自の土を配合してもらっているんですけど、独自の土の品質さえ良ければ良い野菜ができるかというと、それは「No」なんです。土が当然ベースになるものの、そこにどういう水を与えていくか、どういう肥料にしていくか、そこで植物が健康に育っていくためにはどういう工夫をしていくか、植物が健康になる理由とかメカニズムとはどういう事なんだ、という事も全部紐解いて理解して、その上で栽培を設計していかなければいけないので、必ずしも僕らとしては土作りをしなくても、土作りを違う方法でしていく事の手段というのをずっと試行錯誤して開拓・開発してきた、という経緯なんです。

内田
でも色々な野菜がある中で、「まずトマトなんだ」と。この「トマト」に目をつけられた、というのは何故ですか?

栗田
(理由は)二点あって、まず一つは人気があるというか、売り場で並んでいる数、面積もトマトはズラッと色んな品種が並んでいたりするので、やはりお客様としても求めている事が多いのだろう、というのがまず一個です。もう一個は、トマトは育てるのが難しいと言われていて、本当に色んなトラブルもすぐ、病気も虫も起きる中で、そこで良い栽培を実現出来ていけば、他の実がなる野菜にもすぐに展開していけるだろうという感覚があったので、それでまずトマトで徹底的に失敗をして、苦しんで、そこで良い形ができたら人を増やしていく、作物を増やしていく、という流れを作っていきたい。その二つが理由でした。

内田
一番難しいところからやれば、あとは簡単だと。そこは克服されつつある訳ですね。

栗田
ようやく、そうですね。

内田
あとは出来た野菜、美味しく出来た野菜をどこに売るか。この販路の部分という事をしっかりと作ってあげなければいけない事だと思うのですけど。

栗田
チームでやっているが故に、生産の量であるとか、品質、品種、野菜の種類というのは幅広く出来てくるという中でいくと、個人で販路、小売の方々と交渉して、というのはなかなか難しいですね。量とか種類とかという部分で。それをチームで一括して、その小売の方々とご相談する事によって、それを小売の方に喜んでいただける余地は十分にあるだろう、というのが一つあります。あと、元々僕が広告代理店にいたので、いわゆるマーケティングであるとか、そのお客様にどういう切り口で訴求していくべきなのか、というところは相談できる仲間もいっぱいいるので、そこを、今後の農業を始めていく人に対しては、チームとして価値提供していけるんじゃないかと考えています。

内田
栗田さんがお考えになっている、農業というものをとらえたビジネスモデルですよね。「これで、これから会社がどんどん成長していくんだ」、更に「日本の農業の様々な問題も同時に解決していくんだ」、そうすると、「農家さんを増やしたい」、「seakの仲間になって一緒にこの袋栽培でトマトを作っていこうよ」、「自分たちサポートするよ」と呼びかけていくとなると、一つの責任も生じてくると思うんです。この辺りのseakと一緒にやるパートナーといいますか、ある意味フランチャイズですよね。農業のフランチャイズ化というもので間違いないですか?

栗田
はい、そうですね。

内田
これのビジネスモデルというのは、どんなものになっていくのですか?

栗田
僕らの会社のミッションとして「農業ど素人の人がいきなり農業で活躍できる仕組みを作る」事、この仕組み作りというものをトータルで作っていく、というのが僕らの会社としてやりたい事なんです。その仕組みを、今回LEAP(リープ)というサービス名で世の中に訴求していく事になるのですけど、冒頭に申し上げた、5つの農業を始めていく事に対する課題というものを、全部解決していく仕組みをLEAPは目指す。LEAPを使っていく、seakの仲間になる、seakのサービスを使う、という事で、新しく農業を始めるハードルが全部なくなっていく、そういう事業を目指しています。

内田
これは本当に独自のものですか?このモデルで農業を若い人たちにどんどんやってもらおうというような、ライバル会社であるとか、似た様なビジネスモデルというのは今のところ無い訳ですか?

栗田
準備、農地を見つけるところから販売をするというところまで、いわゆる垂直統合でサポート・サービス提供をしていくという会社さんは(他に)ないかと。いわゆる「八百屋2.0」みたいな、販売をとにかく新しくITを使ってやっていく会社さんであるとか、土地を活用していく会社さんは本当にあって、そういう農業ベンチャーさんが農業界隈を盛り上げていかれているんですけど、やはり生産をやっていく・・本当に一番辛いところですよね、生産をやっていく農業ベンチャーさんはなかなか無くて、逆にそこがいわゆるブルーオーシャンになっているので、僕らとしてはチャンスじゃないかなと考えています。


農家の高齢化や若手の減少など、担い手不足が進む日本の農業。そうした中、新たな人材として、「若者の新規就農支援」が求められています。来年の4月から、seakに入社予定の大学4年生の女性二人に、seakへの入社を希望した理由を伺いました。

内田
非常に若い人が農業に興味があって・・というVTRで、あえて聞くんですけど、本当に若い世代、「農業ど素人」の人たちが、農業をやりたい、という風に思っている潜在人口といいますか、いるんですか?

栗田
農業そのものが持っている魅力がいくつかあるのですけど、やはり自然環境に囲まれながら仕事ができるという事に対する、コンクリートジャングルでなく、自然が見えるところで仕事をする事のちょっとした憧れとか、実際に食べてもらうものを作るという事で、人々の健康とか食というものに対してかなり直接的に貢献が出来るという意味での、そういったところに農業の魅力を感じている若い世代の人というのは結構いると思っています。例えば農業特化型の採用イベントがあるんです。そこで農業に漠然とした興味がある人とか、本当に農業をやりたいか迷っているけど、ちょっと話聞いてみようかなと。そういうところにブースを出して、実際に僕らがやっている事を説明して、そこである種、目が輝くかどうか、という事をずっと試験的にやってきたのですけど、やはり得てして皆さん、農業に対する本能的な憧れはあると。でも本当にいっぱい課題があるから諦める、それで農業に近い職とかに諦めて違う仕事に就く、という事をおっしゃっている方がいたので、そういう意味では僕らとしては農業をやりたい人の顔は見えている状態なので、そういう人たちに対して僕らとしては価値を提供していこうとしています。

内田
そういう中で、最初は「袋栽培だよ、こういう風にやってね」というマニュアルでスタートさせる。でも、農家として成長していくと、「ちょっと袋栽培ではないものもやってみたい」という、独自の進化というのをどんどん遂げていくと思うんです。

栗田
おっしゃる通りですね。ベンチャー企業としては常に「研究開発をどういう風にやっていくか」がすごく大事で、その新しく農業を始めた元々ど素人のメンバーが、こういう新しい事に取り組んでみたいと(なれば)、そこがある種、僕らとしては研究開発になっていく訳ですよね。なので、そういった要望とかモチベーションとか意欲というものに、僕らはどんどん投資をしていくべきだと思いますし、それは今後、僕らのチームのノウハウであるとか武器(として)帰ってくるので、それは非常にいい形なのだろうと思います。今メインでトマトのノウハウを磨いていますけど、既にピーマンとかナスとか違う野菜もできると。多分次は果物がある、最終的に米がある、となっていく余地は大いにあるだろうと。それで、袋栽培だけじゃなくて直接畑に植えるという事は本当に出来ないのかというと、絶対出来るので、じゃあそれをどういう風にやっていくのかという事は、「やりたい」と言ったメンバーに対しては是非やってもらいたいと思います。

内田
そこはどんどん多様化・・作り方は多様化していって、広がりが出てくると。そういうもの全てに対して理解が出来るように、<栗田さん自身も農業のプロとして、知識というものを深めていかないと…

栗田
常に勉強していかないといけないですね。

内田
それは大変ですか?面白いですか?

栗田
それは面白いですね。メインでトマトをやっていたものから、違う野菜を育ててみた時もすごく面白かったですし。やはりベンチャー企業として進歩している実感が得られるというものもあるので、そこの前進している感覚というのはすごく面白いし、ワクワクするなと思いますね。



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再生・細胞医療産業の拠点施設「ライフイノベーションセンター」
(川崎市殿町地区)