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神奈川ビジネスUp To Date

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8月29日放送分
「未来を担う『いい会社』に投資・鎌倉古民家の投信委託会社」

ゲスト
鎌倉投信株式会社
代表取締役社長 鎌田恭幸さん


【プロフィール】
1965年 島根県出身
1988年 三井信託銀行(現・三井住友信託銀行)入社
1999年 バークレイズ・グローバル・インベスターズ信託銀行株式会社入社
同社の代表取締役副社長を経て、2008年に鎌倉投信株式会社を設立、代表取締役社長に就任


鎌倉市の古民家に本社を置き、社会課題を解決する「いい会社」に投資する投信委託会社「鎌倉投信」を特集。地域再生やフェアトレードで評価を集める投資先企業の姿を追うとともに、鎌倉投信に資産を託す投資家の思いを探ります。「金融はまごころの循環」という鎌田恭幸社長に、これから必要とされる投資家の意識と金融の役割について伺います。

内田
鎌田さん、鎌倉投信というのは「いい会社」に投資をするというのが売りといいますか、ポリシーですけども、鎌田さんにとっての「投資に値するいい会社」というのはどういうものなのですか?

鎌田
私たちはすごくシンプルに考えていて、「本業を通じて社会に貢献する会社」がいい会社だと思っています。もう少し平たく言うと、その会社に関わる人たち、沢山いますよね、社員、社員の家族、取引先、地域の方々、お客様、株主…沢山いますけども、そういう人たちが実感を込めて「この会社、いいよね」と言える様な会社が「いい会社」なんだと思うんです。もう一つは、もう少し広い視点で見た時に、日本とか先進諸国が抱えている様々な社会課題を解決する事によって、量的拡大ではなくて、社会の質的な発展を促すような会社が、多分ここからは必要とされるんだと思うんです。それを独自の投資の判断軸というのを、今ですと35項目ぐらい持って、それをある程度お客様に分かりやすく説明するために「人・共生・匠」という3つのキーワードを言うんですけれども、「人の強みを生かせる会社」「循環型社会を作れる会社」「オンリーワンの技術・サービスを持っている会社」。こういう様なグループの中で、さらに細かな軸を設けて、いろんな企業を見つけてくるんですね。

内田
とてもこう理念型と言いますか、理念から投資をしていくという流れ、そういうところに至った理由は何なのですか?

鎌田
今、鎌倉投信の創業者4人が役員ですけれども、2008年の11月にこの鎌倉投信をその4人で作ったんですね。前の会社の同僚、グループ会社の同僚ですけど、前の会社は金融工学専門の会社で、全ての投資判断を数字に置き換えて、もちろん企業訪問するわけでもないですし、全部数字に置き換えて投資判断をする。当時私が辞める時に預かっていた世界中のお金が230兆円ぐらいありましたので、ものすごいお金を運用していたんですね。その時に、本当に社会の役に立っているんだという、「手触り感・実感」のようなものは年々薄れていくんです。それで結果としてやはり繋がりのある金融の形とか、価値あるものを育てていく金融の形を目指していこうということで、誰でも少額から投資ができる、公募型の投資信託を直接対話型の直販で販売して、その中で「いい会社」を長く応援していく、という枠組みを作れば、多分、すごく調和のとれた社会・経済を目指せるんじゃないか、ということで今の形になったんです。


本社を置く築80年の古民家に表現されるのは、「時間軸」。現在扱っている投資信託「結い2101」には、次の世紀(100年後)に向け、長期に渡って「いい会社」へ投資する事で豊かな社会を育てていくという想いが込められています。独自の運用を続ける鎌倉投信の想いとは。

内田
長期投資・長期運用というのは一般的に良く聞きますけれども、100年投資?

鎌田
100年というのは、数字はともかくとして、一回投資をしたら「いい会社」が「いい会社」であり続ける限り、全売却して入れ替えるという事をしない、という宣言なんです。「売らない」という宣言は、運用会社としてはすごく、崖から飛び降りるぐらいの一つの選択です。多分これは他の運用会社はどこも言うつもりもないでしょうし、言えないと思うんですよね。

内田
でも、あえてそれを言うと。

鎌田
やはりそれぐらい本気で投資先の会社さんと共にしよう、という「想い」ですよね。それで私たちのこの「結い」という投資信託、もしくは鎌倉投信の投資哲学というのが「投資は真心であり、金融は真心の循環である」というのが、投資先の企業を選ぶ運用の軸。哲学なんです。それを明確に示した、ということです。

内田
投資家が「鎌倉投信」を選んでいる理由、期待されている理由というのは、どういうところにあるとご自身では認識されているんですか?

鎌田
まず運用の考え方だと思います。やはり「いい会社を選ぶ」というその軸、世の中にはこれだけいい会社があるんだ、という共感軸が投資家の心に届くのだと思うんです。もう一つは、運用商品のクオリティ、品質だと思います。やはり投資信託ですから、運用成果へのこだわりはすごく重要なんですね。それで結果を出す。別に寄付ではないですから。しかもボランティアではない。お金というのは人が一生懸命働いて、一生懸命時間を使って蓄えたお金ですから、もう命そのものなんですよ。とにかくお客様から大切なお金を預かっていますので、そのお金がどういう考えで、どういうところに投資をされていて、その投資先は何をやることによって、色々と社会の中で価値が生まれて、お客様に評価されて、会社としての企業価値が高まっていくのか。必ずそのお金の裏には人の営みとか、企業の営みがありますから、それを見える様にしていきたい、感じる様にしていきたいんです。お客様と鎌倉投信、鎌倉投信と投資先の会社、投資先の会社とお客様が「顔が見える関係性を作っていく」というのが元々の想いですから、そのために自分たちの力で今できることをやっている、ということですね。


鎌倉投信が「いい会社」として投資する「トビムシ」。森林資源の保全と活用を軸に、岡山や岐阜、東京の奥多摩で地域再生のプロジェクトを展開しています。木材を単に卸すのではなく、タイルカーペットとして製品化したり、無垢材のある「空間」としてのリース事業を通して、森林と都市を繋ぐ「持続的」なサービスを展開しています。

内田
「トビムシ」さんは何が気に入ったんですか?

鎌田
やはり山が荒れてくると、山だけの問題ではないし、地域経済だけの問題ではなくて、環境の問題とか生物多様性の問題とか。その林業に取り組める会社はどこなのだろうか、という中で、トビムシさんに是非期待したい、ということなんです。

内田
(この会社は)非上場、未上場ですよね。こういう会社に投資するというのは、ファンドの中では珍しいですよね?

鎌田
世の中一般的には、非上場の会社に投資をする公募の投資信託というのは極めて珍しいと思います。私たちは「いい会社」というのは上場・非上場というのは関係ないと思っていますので、その一つが「トビムシ」さんなんです。もう一つ、公募投信で非上場の会社に投資をする良さというのがあって、公募投信と言っても形はいろいろあるんですけど、私たちのこの「結い」は無期限のファンドです。満期がないわけです。時間の制約なくファイナンスに応じるということで、その会社がやっている事業のサイクルに合わせた投資ができるわけですね。結果として何が起きるかというと、その会社の事業の成功確率が高くなる、ということなんです。

内田
ある意味、そのベンチャーキャピタリストというか、そういうエンジェル的な存在として、末長く気に入った会社を応援していく。

鎌田
そうですね。ですので、当然ながら私たちもトビムシさんとの接点の頻度は非常に高いですし、いわゆる利益を生み出すビジネスマッチングというような表層的なものではなくて、もっと深いところで価値観を共有して、それを共に広げていこうという、双方にとって良いものを作り出す、新しいものを作り出す、という連鎖が自然と生まれるんです。その接点として、何か結果としてそうなれば良いかなと思います。


東京都台東区にある「マザーハウス」。途上国の可能性を「もの作り」を通じて世界中に届けるべく、高品質なバッグやストール、ジュエリーなどを展開しています。デザインから工場の運営、ショップ展開までを自社で手掛ける中、現地の労働環境の改善や福利厚生・教育に力を注いでいます。

内田
(マザーハウスの経営者の方は)大変魅力的な方ですね。

鎌田
そうですよね、若くて本当にバイタリティがあって、フェアトレードという意味においては、すごく先駆的な取り組みをされてきたと思うんです。国際貢献ですね、広い意味では。ただ、もはやマザーハウスさんの場合はフェアトレードの会社の領域では括れないと思うんです。もうグローバルカンパニーと言ってもいいんじゃないかな、と思います。(当初、現地工場のスタッフは)笑顔もない、もちろん言われたこともなかなかできない、という中から、今は「日本で買ってくれたお客さんはどんな表情をして買ってくれたんだ」とか「どうすればもっとより良いものに改善するんだ」とか、それをローカルのスタッフが自主的にやり始めた。ですので私たちがマザーハウスさんに投資をしているその区分で言うと、「共生」ではなくて「人」なんです。「人の強みを生かす」という、そこで投資を決めているんですね。それができるのも、やっぱり一人一人のお客さんが鎌倉投信の投資のスタンスだとか、もしくは「いい会社」を応援する、という姿勢を理解してくださっているからできるのであって、そこでやっぱり全て繋がっていくんです。そういう観点で言うと、マザーハウスさんも製造販売一体型で、自前で販売されていますので、言ってみれば「直販」で、事業のモデルとしては(鎌倉投信と)同じ。ものを作る人の想いを最終のお客様に届けたいんだと。それを、また買ってくださったお客様の想いを、一番最初に、作ってくれている現地の人たちに届けたい。その「想い」があるから、やっぱりここまで来れたんじゃないかなと思います。それで私たちは、その「想い」をやっぱり大切にして、お客様に伝えていく必要があるかなと思いますね。

内田
「投資」ということでお話を聞いていきたいのですけれども、「貯蓄から投資へ」という言葉がずっと言われてきていて、でもなかなか進まないという意味で、日本人の投資に対する「敬遠する気持ち」というのが変わっている様で変わらないっていう部分。そういうものを含めて、投資というものを我々はこれからどういう風に関わっていくべきなのか。

鎌田
やはり「手触り感のある投資」から始めたらいいんじゃないかなと思うんです。自分のお金を増やしていく中で、どうしても変動があると不安になりますので、じゃあ不安な気持ちというのはどうすれば解消されるか?というと、やはり自分の納得感のあるものに投資をしていく、という事だと思うんです。「いい会社」の活動そのものが緩やかにでも成長していけば、一般的にいうと株価も上がって、お客様のお金もそれにつれて増えていく。そういう流れを経験していけばいいんじゃないかと思うんですけどね。

内田
鎌倉投信、2101年まで85年ということで、どういう投信会社にしていくのか、というところのお話をしていただきたいんですが。

鎌田
全て、今の延長線上にしかないと思うんです。やはり「いい会社」の発展成長と共にお客様のお金を増やしていく。それをお客様に分かりやすく伝えていく。それをとにかく磨いていくことだと思うんです。その中で、お客様が今1万6000人いますけれども、これが3万人とか5万人、という風に増えていきますよね、それで彼らが投資というものを通じて何を感じ、お客様が何を感じ、自分たちの生活、仕事とか生活の中でどう活かしてくれるか。多分そちらが広がりの度合いとしては大きいんじゃないかと。本当にいい投資というのは、人を成長させるし、もっと言うと、いい投資というのは人格を磨きます。いい投資は必ず人格を磨きます。お金の使い方で人は変わりますから。この「結い」というファンドへの投資を通じて、何か自分の周りで変革を起こしてくれると面白い世の中にもなるかと。鎌倉投信は小さいけれども、お客さんが色んな広がりを持ってくる、という様なファンドにしていけたらいいんじゃないかと思います。



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8月22日放送分
「横浜ベイクォーターを管理・運営する企業の今とこれから」

ゲスト
横浜ダイヤビルマネジメント株式会社 代表取締役 竹内和彦さん


【プロフィール】
1951年 愛知県名古屋市出身
1974年 三菱倉庫株式会社入社
2005年 横浜ダイヤビルマネジメント株式会社設立と共に代表取締役就任


開業10周年を迎える横浜駅東口の商業施設「横浜ベイクォーター」を管理・運営する企業、「横浜ダイヤビルマネジメント」を特集。2006年8月の開業したから10年、商業施設としての運営の状況や、地元への貢献、今後の展開などについて伺います。

内田
横浜ベイクォーターは、三菱倉庫さんがやっていらっしゃるということですけれども、あの場所には元々倉庫が並んでいたんですよね。

竹内
そうなんですね。1914年、もう相当古いんですけれども、三菱倉庫が横浜に第一歩を記した記念すべきといいますか、そういう場所なんですね。

内田
その倉庫が並んでいたものから、いろいろな歴史を経て今のベイクォーターになっているのですけれども、これはどういう変遷があったのでしょうか?

竹内
そうですね、昭和の末期まで倉庫業をやっておりまして、その後、よく言う「都市化」ということになりまして、横浜駅東口が開発になり、そこに手前どもの隣接でございます、そごう横浜店さんが進出されたということで、それに伴い、倉庫業をストップさせまして、そごう横浜店さんの提携駐車場ということで運営させていただいておりました。

内田
横浜そごうというものができた、再開発があったということをきっかけとして、ある意味、三菱倉庫としてもいい転換点として新しい事業というものにあの土地を使うようになった、ということですか?

竹内
そうですね。

内田
そういう駐車場から、今はベイクォーターになった。これはどういう目的というか、きっかけで?

竹内
横浜ベイクォーターのある今の場所は、横浜市神奈川区の金港町という地名のところにあるのですけれども、あの地域全体に「ポートサイド地区」というネーミングが付いております。そこを横浜市としても、再開発地区といいますか、新たな街づくりという様なことをされておったという中で、三菱倉庫としてもそういった中での開発の一つとして、何らかのことをやっていきたいということで、複合開発をやろう、ということに辿りついたということです。

内田
そこから今、10年が経とうとしているということですけれども、その間でどんなことが変わってきましたか?

竹内
やはり横浜ベイクォーターができた頃、まだ周辺というのはみなとみらいの方を見ても、ランドマークとか、インターコンチネンタルホテルさんとかのおしゃれな建物が見えて、これはこれでいい景色だったのですが、やはりタワーマンションとかオフィスがたくさんできまして、いわゆる足元の商圏拡大といいますか、住民の方、それからオフィスの方の人口が拡大しました。

内田
どんどん利用者も増えてきた、利用者層も変わってきたということだと思うのですけれども、今の商業施設としての内容、テナント数であるとか、概要を教えていただけますか。

竹内
ベイクウォーターは現在約100店舗ございます。私どものポリシーとしては、「上質で居心地のいい」、そんな雰囲気の施設にしたいというのを常々思っておりまして、約10年経ちまして、かなり特徴のあるテナントさんに出店をしていただいております。ベイクォーターは皆さんご存知の様に「オープンモール」という、船を模した様な形状になっておりまして、非常に空間が沢山ある、という形になっておりますので、みなとみらいの景色がベイブリッジも含めまして、パノラマの如く見られる様な感じでございます。景色を見ながら、夜は星空、満月の日にはちょっと缶ビールでも持って夜空を眺めながら、そんな感じでご利用いただければ、というのが我々の考えでございます。

内田
オープンな造りだからこそ、なかなか難しいところがあるとか、企業努力が必要だとかいうところもあると思うのですが。

竹内
そうですね、その「オープン」が故に、完全に天候に左右されます。これは私も10年前から責任者をやらせていただいて、最初は雨・風が来ると「あぁ、またか」ともう本当にマイナス思考になっていたのですけれども、お客様は天気のいい日だけ生活されているわけではないので、これは自然の摂理でございますので、その空気感を感じながらお越しいただきたいな、という様なことで運営させていただいております。

内田
確かに暑さとか寒さとか、冷房とか暖房とか、そういうところもきっと(手間や経費が)かかるんだろう、という部分もあるのですけれども、やはりそこを上回るくらいのそのメリットというか「ユニークさ」ですよね。他にはない、ユニークさというのが出ているのかな、という風に思います。

竹内
そうですね。一言で言いますと、今、モノの買い方という「スタイル」がもう変わったと思っているんですね。ですから、商業のいわゆる「モノを売ったり」ですとか「売り上げを作る」という場所じゃなくて、いわゆる空間提供の場みたいな、そんな形をしております。そう言った様なことを提供して、ベイクォーターで新しいライフスタイルを築いていただきたい、というのが本音でございますね。


ヨコハマ・ポートサイド地区の再開発の一環として建設された「横浜ベイクォーター」。横浜駅までのアクセスが不便だったポートサイド地区の住民に、駅までの導線として24時間通れる様に施設を開放。地元のにぎわい・街づくりにも貢献しています。

内田
「横浜ポートサイド地区」というのがあって、その住民の方たちが横浜駅に通うというのが、すごくこれまで不便だったと思うのですけど、導線上にベイクォーターがあって、それを開放している、ということなんですね。

竹内
オープンした頃は、まだ横浜そごうさん経由でベイクォーターに来れる通路しかなかったのですけれども、2006年にオープンした3年後、2009年10月に、歩道橋が横浜駅の北東口からベイクォーターに直結で繋がりまして、横浜駅北東口から歩道橋を通り、ベイクウォーターのベイストリートを通ってポートサイド地区に直結して行ける様になりました。お客様が毎日、夜ももちろん通れる様な道になっておりますので、そういった面ではすごく利便性が上がったのかな、お客さんにとって使いやすい通路になっているのかな、という風に思っております。

内田
そういう「道路」を作るというのは、利用している方がどこまでその価値、難しさを分かっているかどうかは分からないのですけれども、とても大変ですよね?

竹内
その点はやはり、事業投資した三菱倉庫も大きな決断をしたと思っております。ただそれは、やはりこの場所で、この景観を活かした「オープンモール」というものを作った時点から、もうせざるを得ないことかな、と今になって思っているのですけれども。

内田
その住民視点、地域の人たちの目線で、自分たちの利害みたいなものを超えて作っていくというのは、利益至上主義になってくるとできないし難しい。「誰がお金出すんだ」「自分たちにどんなメリットがあるんだ」とか言い出すと、何も動かなくなりますよね。そこで先ほど「大きな決断だった」という、そういう様なことを皆さんが感じてくれれば、もっともっと都市の中でも住みやすい街づくりというのができるんじゃないか、という風に思うのですけど。

竹内
おっしゃる通りですね。1914年、この地に一歩を記した時から、ここで何らかの事業をやって行こう、という原点があるからだと思うんですね。そこで商売して儲かったら「はい、次の場所に移る」ということは決して考えておりませんので。そういったところでその時代、時代に、もちろん地元の方やお客様の「役に立つ」と言いますか、そういったものを取り込んでいく、ということだと思います。

内田
実際、竹内社長がすごく楽しそうに、ご自身も本当にちゃんとコミットしてやっていらっしゃるんだな、という風に思うのですけれども、その「アマチュアリズム」の強さ、というのが今ここに来て出ていると思うのですが。

竹内
10年前までは普通のサラリーマンをやっておりました。その時にショッピングセンターへ行くと、お客目線で、やっぱりウキウキ・ワクワクした様なことを求めておりましたので、そのアマチュア精神をここで活かすのが重要かな、というのが私の一つの考えと、それから自分が子供の頃、両親といろんなところ、百貨店さんなどに行った時、幼稚園の時からウキウキしたことがあるんです。もう一つの世界観の場所があったと思うんですね。それで今や、そういったものが経済至上主義と言っては怒られてしまいますけども、行き過ぎてしまって、少しお客様の向かうというか、ライフスタイルが変わったということだと思います。「改めてゼロから今の生活を見ていく」、という様なことじゃないかと思っておりますね。

内田
「小売業」という風な形になってしまうと、どうしても今までやってきた成功体験から抜け出せなかったりするけれども、三菱倉庫さんがやってきて、「アマチュアリズムがいいんだ」というところに則ってやっていくと、それこそユニークな、他とは違うものができてきて、その住民目線であったりお客様目線だったり、「自分達が楽しいものが楽しいよ」という、そういう素直な感性であったり。

竹内
「参加型」と言いますか、お客様も地元にマンション群がありますので、「ベイクォーター、私の街をこういう風に作っていきたい」というのは当然あるじゃないですか。ですからできればお客様が私たちのスタイル、例えば「ベイクォータースタイルよ!」、こう言っていただける様になったら素敵じゃないですか。ですからこれは、横浜ベイクォーター、横浜ダイヤビルマネジメントだけが考えるわけではなくて、ポートサイド地区の皆さんと一緒に考えて、どういう形でいくか、これは今後分からないですけれども、よく「葉山スタイル」とか「鎌倉スタイル」という様な、あんな形になったら素敵ではないかな、と思います。


開業から間もなく10年を迎える「横浜ベイクウォーター」。ショッピングや食事が楽しめる商業施設としてだけではなく、人々が集まる様々な仕掛け・イベントも行っています。

内田
私はマラソンがすごく好きで、走っているんですけれども、横浜ベイクォーターさんはランニングクラブもやってらっしゃるんですよね。

竹内
そもそも、なぜ商業施設「横浜ベイクウォーター」がこんなことをやるんだ?と。たまたま横浜ベイクォーターの前の「みなとみらい大橋」が横浜マラソンのスタート(地点)になりました。

内田
はい、私も並びました!

竹内
今年3月にスタートラインで内田さんと少しだけお会いしたと思っております。

内田
ありがとうございます(笑)。走られたんですね。

竹内
えぇ、走りました。残念ながら、フルマラソンに出たんですけれども、37キロ地点で関門がありましてね、制限で引っかかってしまったんです。

内田
惜しかった…。

竹内
次年度、第3回横浜マラソンにリベンジで、完走したいなと思っておりますけども。

内田
私もトレーニングしていて、マラソンの練習というのは非常に孤独で、自分だけでやっていると続かなかったり、仲間が欲しいなって思いますよね。

竹内
ベイクォーターはオープンモールという、こういう「雰囲気」というのがありまして、また地域への貢献ということで、ランニングクラブを作るというのも不自然じゃないし、お客様には支持していただけるのかな、ということで思い切ってスタートしました。練習会が終わってから、皆さんカフェに寄ったり、そのお仲間同士でお食事したり、そんな様な情景が見えますので、そういった面、仕事という意味では、ベイクォーターへの集客力にももちろんなっていると思っております。

内田
元気な女性が利用してくれることによって、イメージも良くなりますし、健康的な感じもしますよね、ランニングクラブがあるという部分で。

竹内
そうですね。

内田
皆さん一生懸命走っていて、やっぱり志というか、「結果を残したい、速く走れるようになりたい、完走したい」という、いろいろな思いがあって来ると思うのですけれども、それを達成していただくということも大事だと思います。

竹内
大事ですね。せっかくやるからにはきちっとしたコーチの方にお願いした方がいいということで、現在は和歌山商業で女子駅伝に高校時代、1年生から3年生まで出た木下(裕美子)コーチにお願いしておりまして、本当にクオリティの高いアドバイスをしていただけますので、練習に来ていただく方もリピーターになられて、「また次回出ますよ」「参加させていただきます」という方が多いですね。

内田
本当に成果が出る、という事は大事ですし、お客さん、女性は特にそういうところは敏感ですからね。リピーターが増えているということはきっとすごく内容が濃いものをやっていらっしゃるんだなという風に思いますけれども。ランニングのイベントがこの先もいろいろとあるということですけど?

竹内
はい、一つですね、ベイクォーターランニングクラブを運営しているというということから、この11月3日に、同じ神奈川区にあります、東神奈川駅から海の方にまっすぐ向かいますと「ノースドッグ」という在日米軍の施設があるんですね。司令官の方がよくベイクォーターをご利用されていまして、このランニングクラブの話も聞きつけられまして、何か地元で一緒にやれるものありませんか?ということから、ランニングの大会を開催させていただきまして、秋ですから「フォール」、ということで「フォール・ラン」というのを11月3日にベイクォーター主催でやらせていただきます。申し込みの方は、ほぼ1,000名で一応締切ということになっております。ただ応援の方はお越しいただければと思いますので。あそこのノースドッグから見る港ヨコハマの景色も、なかなか(規制が)厳しいエリアでございますので、こういったチャンスもいいんじゃないかな、と思っております。

内田
他にはこの先イベントの予定ありますか?

竹内
この秋には10月の3連休にテイスティングということで日本酒のイベントをやる予定にしております。ベイクォーターのイベント広場の雰囲気を活用して、ちょっと日本酒に親しんでいただこうというイベントを企画しております。

内田
横浜ベイクォーターというのは、これからどんな場所になっていくのでしょうか?

竹内
お客様がやっぱり変化しております。従来の様ないわゆる「お買い物をする」という様なそういった形から、何か上質で、自分のライフスタイルにあるものを見出したい、という様な(欲求)が出てきたのかなと思っておりますので、ベイクォーターもそういった「上質なもの」、それから「ライフスタイルに関わる様なもの」を提供していきたい、と思っております。それからもう一つ、ショッピングモールという枠ではなくて、毎日でも行きたくなるような、一言で言いますと公園の様な、そんな様な親近感の持てる場所に横浜ベイクォーターをしていきたい、というのが二番目に考えていることでございます。未来に向かって明るい希望が持てる、そんな気持ちにさせる「横浜ベイクォーター」、横浜ベイクォーターに来ますと、もう明るくて、底抜けの明るさと、ウキウキする様な、そんな(運営)を、引き続きやっていきたいと思っております。



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8月15日放送分
「最新の精米技術と新商品でお米の将来を担う企業」

ゲスト
株式会社むらせ 代表取締役社長 村瀬慶太郎さん


【プロフィール】
1973年 横須賀市出身 国際武道大学卒業
1999年 株式会社むらせ入社
2014年 代表取締役社長就任
2015年に公益社団法人米穀安定供給確保機構・理事、全国米穀販売事業共済協同組合・理事に就任


横須賀市でお米の卸売などを手がける「むらせ」を特集。業界最先端の精米工場やお米に新たな価値をもたらす新商品の開発など、積極的な展開を進める「むらせ」。お米離れの現状や日本の農業の将来を見据えた挑戦について伺います。

内田
「むらせ」さんは横須賀で創業されたということですけれども、そのエポックとなった、転機となった事業、歴史的な転換点というのがあったら教えていただきたいのですが。

村瀬
元々、日本では「食糧管理法」という法律の中で、お米というのは国が全て管理してきたということだったのですが、皆さんも覚えていらっしゃると思うのですけれども、平成5年に「米パニック」と言われる…

内田
はい、ありましたね。

村瀬
お米がすごく不作で、なかなか国内のお米が食べられない、それでタイのお米が入って、食べられた方も多いと思うんですけれども。

内田
えぇ、私も食べました。

村瀬
その時に、食糧管理法にもう限界があるんじゃないか、という議論があって、それで平成7年に今の「食糧法」という新しい法律に変わったわけですね。ここが米の業界としては一つの転機でして、それまでは国が認可をして、指定の業者しか米が売れなかったんですけれども、その平成7年を機に許可・認可制から登録制ということで、基本的には誰でもお米が売れる。スーパーさんですとか、今ではホームセンター、ドラッグストア等でも売っていますけれども、そういったところがどんどん売り出したので、「お米屋さんでお米を買う」という方がすごく減ったわけです。その時に我々卸はどこにお米を販売していたか、ということが大きな、今に至る大きな原因だったというか。

内田
そういう風に自由化された時に、どこに販路を持っているかによって、その卸さんの運命が変わっていったということなんですね。

村瀬
そうですね。特に今、外食関係、もしくは中食関係のお米の使用量というのは増えているわけです。それで我々はどこに販売を仕掛けていくかという中で、どちらかというと「品質」というところにこだわって、業務用のコンビニさんですとか、外食さんですとか、そういったところに積極的に営業を仕掛けたわけです。それで結果的に販売先が事業拡大されて量を増やして行った、ということで我々も取扱量が増えた、ということです。ですから、販路の部分で今の時代の流れにマッチしたところに売ることができた、ということだと思いますね。


むらせの発展の大きな要因となったコンビニエンスストアや外食産業への納入。大量の精米が必要となる生産体制を支えているのは、埼玉県入間市の「首都圏工場」。独自の工程・精米技術によって、常に安定した品質を確保している最先端の工場として、国内、海外からも注目を集めています。

内田
業界がどんどん疲弊していく中で、それだけ思い切って投資をしていくということは決断が大変だと思うのですけれども、ここはどういう理由で?

村瀬
それこそお米の歴史なんですが、平成10年にお米も「農産物」から「生鮮食品」というカテゴリになるきっかけがあったわけです。これはJAS法という法律があるのですが、その中で、お米も生鮮食品だよ、という扱いになったわけですね。ただ、実態はあくまでも農産物であり、いわゆる他の果物・野菜と同じような扱いをされている。やはり今後はそこの「品質」というもので消費者の方に安心してもらう、そのレベルを生鮮食品と同じようなレベルに持っていかないと、「お米はしょうがないでしょ、農産物だから」というのは、もう消費者に通じないだろうと。(そういう)時代がくるだろうという風に思ったので、できる限り我々も食品工場に近い工場にしたい、ということで、ある程度の投資をさせてもらって、今はやらせてもらっています。

内田
今、米を巡る経済の状況というのは非常に厳しい。「米離れ」ということで我々も聞いているわけですけれども、社長の目から見て、本当に米離れというのは相当深刻なんですか?

村瀬
相当深刻ですね。

内田
そうですか。

村瀬
農林水産省が「一か月にお米を一度も食べなかった方がどれくらいいるか」というデータを取ったんです。そうしたら、女性で5%、男性で9%いたんですね。

内田
男性の方が多いんですか!

村瀬
多いんです。本当に1か月間米を全く食べていないというのは疑問があるのですけども、少なくともその「ご飯を食べた」という認識はないわけですね、一か月。それがもう男性に至っては9%もいる。特に世代で言えば20代の男性に至ってはそれが20%ぐらいの数字なわけです。

内田
本当ですか?

村瀬
5人に1人は「米を一か月食べてない」とアンケートに答えているわけですよ。

内田
いろんな要因があると思うんですよ、なんでこうなったのか。ということで、また社長にも伺いたいのですけれども、我々毎日お米を食べているのだけれども、そのお米に対して、そこに繋がっている先というものに対して意外と愛着というか執着というか、リアリティがないんですよね。お米はお米、で終わってしまっていて、例えばもうお米を食べないで済ませちゃおう、と思った時に、何といいますか、罪悪感がないというか。

村瀬
本当におっしゃる通り、鋭いところだなと思いますね。やはり農業というのが、かなり消費者の方からすれば非常に遠い存在になったんだろう、という気はします。我々もそうなんですね。我々も精米工場をやっていますけれども、何となく今の機械化の中で生産性というものが優先されて、何となくその生産者の想いだとか、お米に対する想いというものが、我々流通も欠けてきていると。当然そうなれば、消費者の方まで伝わるわけがない、というのは大きいと思います。ですから我々としては、生産者の方々を工場に呼ぶんです。できる限り来て欲しい。そうすると生産者の方々も「自分達のお米がこういう風に加工されていて、こういう風に袋詰めされているんだ」と見ると、やはり(お米を)作るモチベーションにも繋がるし、もっといいものを作ろう、となるわけですね。我々はこういう関係を、消費者がどうこうという前に、まず我々がもう一回生産者の方々としっかりとその想いを、表面だけじゃなくて、本当にその想いを消費者に伝えるということは、絶対やっていかなくてはいけないだろうという気がしています。

内田
今、TPPという問題で、カリフォルニアやオーストラリアから安いお米が入ってくる、(それに対して)備えなさい、ということで生産者もいろいろと大変だと思うんです。もちろん「むらせ」さんも無関係ではないという流れの中で、じゃあその反対に「自分達の米を海外に持って行って戦っていくんだ」というロジックがありますけれども、これについてはどう思われますか?

村瀬
これはもう、絶対止まらないと思いますし、積極的に生産者の、特に若手の生産者はものすごくモチベーションが高く、海外に行っているんです。この前、ある若手生産者の代表をされていた方と話していて、ちょっとびっくりしたんですけど、世界的に見ればお米が不足することは間違いないんです。穀物としては。

内田
人口がどんどん増えていますからね、世界では。

村瀬
今、日本の生産者のノウハウを日本から買おうとしている国が多いわけです。どうするかというと、若手の生産者を海外に引っ張っちゃうんですね。

内田
そんなことが起こっているんですか。

村瀬
本当にやる気のあるスキルの高い生産者が海外に引っ張られると。だから素晴らしい人材が海外に出て行ってしまうと。

内田
流出している。

村瀬
こんな事を言ったら怒られるかもしれませんけども、5年後10年後には、海外で日本と同じようなレベルの米が作られていると思うんです。これは今言った様な若手の生産者がどんどん流出していって、向こうでどんどん今、一生懸命やっているんですよね。今はまだいいですけど、結局、日本から運んだら当然コストもかかる、値段も高い。これがいつまで外食のマーケットなりで使われるかというと、私は疑問があって。

内田
確かに、言われてみるとそういう事が想像できますね。非常に達見だと思いますけれども、そういう中で「むらせ」としては、国内でしっかりやっていくんだと?

村瀬
まずは国内の、先ほどの話じゃないですけれども、消費が減ってきている、そういったところにどう我々が手を打てるか、という方にパワーを使いたいと思っていますね。


年々進む「お米離れ」。一人当たりの年間消費量はピーク時の半世紀前から半分以下になり、お米の生産農家も5分の1に減少するなど、厳しい状況が続いています。そんな中「むらせ」が発表した新商品が「ライスグラノーラ」。忙しい朝、伝統的な朝ごはんに変わる存在として現在拡大を続けるグラノーラ市場に挑みます。

内田
このグラノーラの新しい商品の開発というのは、御社にとってどういう意味があるのですか?

村瀬
はい。最初にですね、先ほどの話じゃないですけれども、今の食生活・生活環境が変わっている中で、どうお米を食べてもらうか、ということだけだと思っています。今回弊社として目を付けたのは今の朝食のマーケット。その一つに、大きなマーケットが今ありますけども、「グラノーラ」というのがあったわけですね。

内田
わっと出てきましたね。

村瀬
わっと出てきましたね。もう370億円くらいのマーケットと言われていますけれども、朝食を食べる(時に)、簡単に、なんとなく健康そうな食べ物として、そういうイメージの中で大きなマーケットを作っているわけですね。そこに残念ながらお米が使われていない。

内田
全然?

村瀬
全く使われていないですね。ここが、やっぱり私は一番問題だと思っていて、「米」を使ったグラノーラ、これをまず最初のチャレンジとして、その小麦のマーケット、新しいところに「米」を原材料とした形で参入していきたい、というのがスタートです。

内田
そういう商品づくり、自分たちのブランドで新しい商品を作る、というのは初めてのチャレンジですか?

村瀬
そうですね、完全にこういう形でここまでお米の加工をして商品化、というのは初めてです。先ほどお話ししたように、米の消費の拡大というのは一つ大きくあります。一方で、やはり産地に対してこの「グラノーラ」というものが一つの光というか、期待を持っていただきたい。お米の価格というのは皆さんお聞きになっていると思いますけれども、非常に下がってきて、どうしても生産者の方々がなかなかモチベーションが上がらないというか、これだけ米が安くなったら、なかなかお米は作れない、という方が増えた。ですからこういった付加価値を今まで以上にしっかりと付けてマーケットに乗せて作れれば、これはもうずっと安定的な、価格も含めて、取引が算出できる。これが本当の取組みなのかなと。

内田
やはり産地といかに信頼関係を築いて、しっかり自分たちのブランドを作る、でもそのブランドというのは、農家さんのため、という部分が大きいと?

村瀬
もちろん、消費者の方へのブランディングというのはやらなければいけないことだと思っていますけれども、それ以上に、特にお米については、必ず足りなくなると思っていますから、そういう時に(生産者に)しっかりと売っていただける関係を(築くための)ブランドというか。

内田
なるほど。

村瀬
そういう企業にならないと、産地からは選んでもらえなくなってしまうだろうなと。その挑戦ですね。うちにとっては。

内田
すごいですね。

村瀬
いえいえ、まだこれからですから。まぁ言うのは簡単なんですけれど。

内田
「むらせ」という会社はどのような姿になっていくのか、ということをお伺いしたいんですけれども。

村瀬
よく父(前社長)からも言われたんですけれども、やはり「人を幸せにして発展する企業になれ」ということをずっと入社から言われてきて。ですから今回の「グラノーラ」もそうですけれども、こういったものが売れることというのが、基本的には産地から消費者まで、みんながハッピーになると私は信じているんです。それでこういうものを発売したわけですが、大袈裟ですけれども、日本の食文化というものをずっと続けていく一端を、微力ながら担えればと。最終的にはみんなを幸せに、と言ったら大袈裟ですが、なんとか少しでもお応えできるように。まだまだ長いので、頑張りたいと思っています。



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8月8日放送分
「県内最大の多目的ホール・横浜アリーナ」

ゲスト
株式会社横浜アリーナ
代表取締役社長 尾崎英之さん


【プロフィール】
1987年 キリンビール入社
2001年 株式会社赤レンガ 総務部長
2016年 株式会社横浜アリーナ 代表取締役社長就任


神奈川を代表する多目的イベントホール「横浜アリーナ」。1989年に誕生し、開業から四半世紀。7月に改修工事を終えた横浜アリーナの運営状況や、リニューアル・オープンによる効果、今後の展開などについて伺います。

内田
尾崎社長は元々キリンビールに入社されて今に至る訳ですけれども、入社してすぐ横浜工場に経理ご担当で行かれ、その後キャリアの中盤で横浜赤レンガでもお仕事をされ、そして今横浜アリーナの社長ということで、随分横浜にゆかりがあるといいますか、関わりがあるとお見受けしているんですけれども、横浜というのは尾崎社長にとってどういう土地ですか?

尾崎
そうですね、キリンビールというのは横浜発祥の企業でありますし、私も新入社員の時には(横浜市中区の)山手のビールの発祥の地に行ったことがございます。そして入社してすぐに横浜工場に赴任になって、その次に横浜赤レンガ、そして横浜アリーナということで、何か非常に横浜との繋がりがあって、私のビジネスでいくと原点というか、そういう気がいたします。

内田
横浜アリーナというと横浜、日本を代表するホールの一つと言って過言ではないと思いますけれど、そういうところで社長をされるということになって、これは意外な人事だったんですか?

尾崎
前職が秘書室におりましたので、まさか事業会社に行くとは思ってもおりませんでしたが、これも何かの縁かなと。横浜工場、横浜赤レンガということで、三度目ということですので、なんとか横浜に、また私が今まで培ってきた経験とか、わずかばかりではありますけれども、何か貢献、還元したいなと、そういう気持ちです。

内田
今の横浜アリーナの現状というものをお伺いしていきたいのですが、最大1万7,000人入るということで、最大規模なんですよね。神奈川県ではトップということで、稼働率も7割・8割を超えているという意味では非常に人気の施設ということですけれども、この人気振りというのはどういうところにあるのですか?

尾崎
そうですね、一つはライブ、エンターテイメント事業というのが非常増えておりまして、横浜アリーナの年間稼働もここの10年ほど右肩上がりで来ております。

内田
増えているんですね。

尾崎
はい、昨年度が実は過去最高の稼働日数だったんですが、318日稼働しまして、稼働率としては88%くらい、1年間で約237万人の方に横浜アリーナに来ていただきまして。我々の営業活動の成果もあるんですが。

内田
右肩上がりになってきた経緯、自分たちの営業も頑張ってきた、という部分というのはどういうところですか?

尾崎
そうですね、まず一つは市場全体を見てみますと、お客様が昔のレコード、CD・DVDから、「モノからコト」っていうんですか、ライブの体験やライブのその経験、そういう「コト」の方に変わって来ているんじゃないか、という風に見ております。それを裏付けするようなデータがありまして、コンサートプロモーツ協会という社団法人があるんですが、そこが公演の売上高を公表しています。それで過去10年間を見ますと、公演の売上高が市場全体で約3倍に膨れています。2006年が1000億円弱だったのが、2015年が約3000億円を超える状況になっています。一方で日本レコード協会の方が発表しているデータによりますと、いわゆるパッケージもの、CDとか「モノ」ですね。こちらの方がこの10年で約4割から5割近くくらい減っておりますので、おそらくお客さんがより「コト」、体験をするライブの方に来ているんじゃないか、というのが外部的なところで、需要が増えることによって、我々もその恩恵を受けている、というのが一つあるかと。あとはコンサートを主催していただいている方や来場者の方にアンケートを取っているのですが、そこのアンケートの結果から見ますと、主催者の方からも我々の施設が非常に音響がいいとか、音がいいと。これは「音響家が選ぶ優良ホール100選」というのにも我々横浜アリーナが選ばれています。来場者の方からはそのアーティストと一体になれるような構造が非常に良い、といった嬉しい声もいただいたりしています。

内田
素朴な疑問ですけど、「我々営業も頑張っている」っていうところで、稼働率がもう88%ともうほぼフル稼働で、新しいお客さんが「横浜アリーナを使いたい」と思っても「もう一杯です」という状況になっていると思うのですが。

尾崎
先ほど申し上げた通り、ライブのエンターテイメント市場というのは上り調子であるし、よく「2016年問題」と言われて、イベントホールが改修工事、休館等によって、需要が増えているけども供給が減っている。おそらく(2020年・東京)オリンピックぐらいまでは今の好調さは維持できると思うのですが、オリンピックに向けて、いろいろな施設が今出来上がってきておりますので、やはりその2020年以降、さらに会社が存続するために、もっと長い目でこのアリーナをどうしていくかとことを考えなくてはいけません。今が良いからそのまま享受するのもいいのですが、将来を見据えて、今何をやるべきか、というところが一番大事という風に思っています。




新幹線の停車駅でもある新横浜駅から徒歩5分。羽田空港から高速バスでも45分とアクセスの良さを誇り、今後は相鉄線延伸や首都高速の整備でさらに利便性の向上が期待されています。

内田
横浜アリーナは「交通の便も良い」ということですけれど。

尾崎
そうですね、新横浜駅から横浜アリーナまでは徒歩5分、新幹線も停まりますので、例えば名古屋は当然ですけれども、関西方面からも新幹線を使って日帰りもできる、というところが一つのポイントという風に思います。

内田
東京まで一駅なので、新横浜と東京で大して変わらないのでは?という風にも思いますけれども。

尾崎
(駅の)すぐ近くに施設があればいいのですが、そこからやはり「乗り換える」ということも考えると、新横浜ですと駅の出発時間がわかりますから、10分前に出れば新幹線には乗れる、というところが、やはり皆さん安心できるんじゃないでしょうか。

内田
なるほど。例えば思い浮かぶところでいうと、同じくらいのキャパシティだと武道館とか、代々木体育館とか、埼玉アリーナというところが思い浮かぶのですが、そういうところとは「ここが違うんだ」というところは?

尾崎
立地、横浜にある、新横浜にある、というところだと思います。例えば名古屋の方はもちろんですが、関西の方から日帰りで来ることができたり、新横浜駅の周辺にはいろいろな飲食店もあり、宿泊施設もあり、ちょっと足を伸ばせば中華街もある、ということで、コンサートが終われば、その前でも、いろいろな観光スポットが多いというところが一つの売りなのかという風に思います。

内田
そういう意味では、横浜アリーナに来る方たちは関西・中部からという方が割合として大きいということですか?

尾崎
割合としてはですね、やはり一番大きいのが神奈川の方、そして東京の方で5割~6割くらいを占めていまして。比率的には2割、3割ってことではないのですが、ただアンケートを取りますと、関西の方や名古屋からも、お越しになっていただいている方もいらっしゃいます。

内田
そういう意味では、立地も良し、設備も良し、音響も良しと、いうところで。

尾崎
PRばっかりですけど(笑)。

内田
いえいえ、だからこその人気になっていると思うのですけれども、そういう意味で、経済効果についてお話しを聞きたいのですが。今、まさに「モノからコトへ」ということで、人がそういうイベントを求めている、その背景にあるものを尾崎
社長がどんな風に分析されているのか、そのイベントをドンドン盛り上げていくということで、横浜にもたらす経済価値・効果というのは、どういうものに繋がっていくのかを教えていただきたいと思います。

尾崎
やはりお客様が単なる「モノ」を消費することから、いろんな仲間とその喜びを共感したいとか、アーティストの思いと一緒になりたいとか、そういう体験型というところが(モノを)買うことによっては得られないということですので、やはりライブの中に入って、コンサートに来て、お客さんやそのアーティストが一緒になって体験を共有するというところが、モノを所有することよりも、もっと価値を見出されてるんじゃないかな、と個人的にはそういう風に思っております。

内田
経済効果については?

尾崎
今後、競争環境が厳しくなってきた時に、イベントを誘致したり、また今後の施設運営に活かすということで、実は経済波及効果というものを第三者機関に委託をして、去年の数字を調査したところです。大きく分けて、来場をされる方が横浜市の中で消費、こちらに来られる交通費であったり、飲食であったり、宿泊されたりが一つ。もう一つはコンサートを制作する会社がここで設営をしたり、モノをリースしたり、そういう費用。それと我々横浜アリーナがここで事業をする上で、横浜市に対しての当然税金もありますし、事業活動する上での市への効果ということで、全体で計算すると大体年間で約400億円の経済効果があるという風に出てきました。

内田
400億円!

尾崎
はい。あと400億円にプラスですね、いわゆる雇用を誘発している、どれだけ雇用が増えているかという、それが3000人くらい増えているというところもありました。

内田
3000人!

尾崎
はい。この辺の数字も近々発表したいという風に思っております。

内田
やはり周辺の飲食店とかも含めたり。

尾崎
1989年から開業していますので、やはり新横浜の住民になりますし、地元の方に受け入れていただいて、地元の発展と共に我々も成長していくという風になっていきたいと思っています。


オープン27周年を迎えた横浜アリーナはおよそ半年の大規模改修工事を行い、より使いやすい多目的ホールとして7月にリニューアル・オープンしています。

内田
リニューアルということで、素晴らしい、新しい横浜アリーナが出来上がったということですが、このリニューアルのポイント、改めて何が変わったのか。

尾崎
リニューアルの目的というのはやはり安全・安心、かつ快適な施設、これを強化しようというのがまず一番大きなところです。(開業以来)27年で初めての大規模改修工事ですので、その不具合の部分を改修しようということで、一つは電気関係とか空調関係、この辺りを改修しました。あとはお客様に来場していただくときに、やはりワクワク感とかですね、イベントに対する高揚感を持ってほしいということもあって、正面玄関の入口に366インチの液晶の大きなビジョンを付けて、そこで(出演)アーティストの情報やイベントの内容を開場前に出すことによってお客さんに喜んでもらおうと。あといろいろたくさんあるんですけども…

内田
いろいろと手を入れたということですけれども、「ソフト面」の中でのリニューアルは?

尾崎
我々は社員、従業員含めて20数名の小さな会社なんですね。

内田
そうですか。

尾崎
ハード自体は今回のリニューアルの土台ができたと。やはりこれからは他の競合施設、東京にも1万人クラスのものが2つできてきますし、オリンピック会場となる武道館や代々木体育館とか、非常に競合が増えてくるという中で、ハードのところでは当然優位性を持ちたいと思っているのですが、一番の差別化はやっぱそのソフト、従業員のところだと私は思っていまして、従業員をいかに能力を高めて、それで我々は中小企業の良さというか、いろんな事が出来て、それぞれがその「チーム・横浜アリーナ」として機能していく。それがお客様、例えば主催者にとってみれば「横浜アリーナに聞くとスピーディーに解決してくれる」と。主催者側にとって、痒いところに手の届くような、そういう経営をしていきたいと思っています。

内田
あえて聞くんですけども、横浜アリーナは何のために存在するのですか?

尾崎
「その想いを繋げる」というのが我々のコーポレートメッセージで、その想いが繋がるというのはいろいろな「想い」があるんですね。例えばアーティストの方が自分の曲を皆さんに聴いてほしい、主催者側にとっては、横浜アリーナで今後アーティストを成功させたい、来場者にとってみれば、やっぱりアーティストと一緒になってライブを楽しみたい。そして我々運営会社にとっては、アーティストや主催者、さらには来場者が「ここにきて良かった」というような運営をしたいし、我々のスタッフはそれをお手伝いする。そうするといろいろな想いを我々は繋げる役割なのかなと。アーティストや来場者、我々運営者が一つの場に集まったのが「横浜アリーナ」という風に考えると、この横浜アリーナでそれぞれの皆さんの想いを繋げていくのが我々の役割だろうというところで、コーポレートメッセージというのを作りましてですね、それを我々がお手伝いするというのが、我々のミッションにもなっているところなんです。

内田
横浜アリーナの今後の展開、未来の姿、どんな施設にしていきたいですか?

尾崎
そうですね、主催者の方にも、来場者側にも喜んでいただくということがやはり一番大きなところだと思います。そのためにまだまだやるべきことの課題がいろいろあると思いますので、お客様の声を聞いて、それを施設運営に反映していく。愚直かもしれないですが、そこのところをしっかり回していくというのがまず一番大事なことかと思います。お客様の声をこれからもずっと聞いて、それを反映していきたいと、そういう風に思っています。



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8月1日放送分
「印刷業界のリーディングカンパニー〜経営を支える地元と顧客の信頼」

ゲスト
山協印刷株式会社 
代表取締役社長 杉山昌行さん


【プロフィール】
1956年 神奈川県平塚市出身 1983年 山協印刷株式会社入社
1992年 取締役、1996年 代表取締役社長就任
2012年 神奈川県印刷工業組合・理事長に就任


平塚にある「山協印刷」を特集。世界に1台しかない輪転機や特殊加工の印刷技術を駆使して高い評価を得る山協印刷。神奈川県印刷工業組合の理事長も務める杉山昌行社長に、信頼を集める独自の経営戦略と、地域密着の新たな取り組みについて伺います。

内田
印刷業の技術というのは一般的にはなかなかわかりづらい部分があると思いますが、そのコアとなる技術とはどういうところにあるのか、それは「差」としてどういう風にあらわれてくるのですか?

杉山
「印刷」って裾野が広いんですけれども、書籍から商業印刷まで広く印刷の範囲の中に入ってくるんです。当社がやっている商業印刷の分野で言えば、お客様の情報をいかに加工して紙面で表現をするか、というのが一つの印刷としての肝になると思うんです。それで「差」はどこに出るのか…ということに関して言うと、設備そのものは他社さんと同じ設備を使っているんですけども、出来上がりに関しては、「決して間違ったものを印刷してはいけない」というミス・ロスの部分と、やはり「納期を絶対に守る」ということが我々商業印刷の分野での使命だと思っています。

内田
間違ったものを印刷してしまう、というのは発注する方たちが間違ったものを送ってしまえば、その通りに印刷してしまいますよね?でもそこまできちっと責任を持って取り組まれているということなんですか?

杉山
当社では校正をする人間が中間に位置していますので、お客様から間違ったデータが入ってきたとしても、そこで例えば「曜日が間違っていました」、「漢字が間違っていました」、そういうところはうちの人間が見つけられる範囲の中では全部見つけるんです。そこがスキルになると思うんですね。そこで信用・信頼を受けられるかどうか、というのが企業としての価値になるという風に考えています。

内田
今、印刷業界というのは多様になっていて、ポンっとネットで入稿すれば、もう翌日、翌々日には印刷が仕上がってくるっていう簡易的なもの、「早い、安い」を売りにしているところがあります。そういう中で、競争力という意味ではどういうところを上げていくのですか?

杉山
一つはですね、平塚という町に工場を持っていますから、その工場の中で一から十まで完結できるんですよ。ということは、どこかの場所で何かミスを見つければそこで止められるんです。

内田
なるほど。

杉山
(渡された)データ通りに流すというのはほとんどですけど、一個あるか二個あるかで全然違ってくるので、そこに人を配置しておかなければいけない、というのを考えて(校正する)役を置いています。

内田
平塚という土地の中で印刷会社さんがいっぱいあったと思いますが、その中で山協印刷さんが抜きん出て成長できた理由を挙げるとするならば、どういうことが挙げられますか?

杉山
チラシをやっていかなければいけないというところで言うと、設備的に当初から比較的大きな機械を入れていたんです。だからある部分、「チラシ」というものに特化したというのが実態かもしれません。そのための設備を持ってきた、それが必然的に大型の機械になってきた、ということではないかと。

内田
「チラシ」というのは、スーパーとかのチラシが入っていますよね?そういうものですか?

杉山
そうです。基本的に新聞に折り込まれるものが「チラシ」。チラシをうちが扱うようになったというのは、おそらく平塚が戦後の焼野原の時代から商業都市化してきたんですよね。その中に長崎屋さんだったり梅屋さんだったり十字屋さんが平塚にいらっしゃる。その複数のお店が毎月晦日にバーゲンをやる。その時に使ったツールがチラシなんです。そのチラシを新聞に織り込むという考えのもとに、当社が新聞販売店との話し合いを持ちながら「これを新聞の本体の中に挟んで宅配をしてください」ということをお願いしてまわって始まったのが歴史的な部分。パイオニア的な位置づけで当社がチラシを扱ってきたというのは事実だと思います。歴史的にもそうですし、今後も、その部分は当社の基本になるビジネスだと考えています。


商業山協印刷が機械メーカーと共同開発した世界に一台しかない印刷システム。折り込みチラシで目にする「B4サイズ・6ページ」「B4サイズ・巻き三つ折り」を一つのラインで仕上げる「インラインフィニッシュ」を導入、大幅なコストダウンを実現しています。

内田
世界に一台しかない輪転機を導入されたという、これは結構な経営判断だったと思うのですが。

杉山
社 基本的には「開発」と「導入」なんですね。これも一つはお客様のニーズ。今まで、(チラシを)6ページという形にするには、時間とコスト、時間もコストなんですけれど、人件費、要するに手作業が入るので、手作業のコストが一番高いですよね。それでその部分を全く使わずにインラインで6ページができないか、ということを考えた訳です。毎週(チラシを)やられているフリーペーパーさんとか求人誌さんというのは、今まではB3の2つ折りのチラシとB4のチラシを同時に新聞に折り込んでいたんです。ところが、それを中に入れてしまえば「折り込み代」というコストが…

内田
なるほど。

杉山
半減とは言わないですが極端に言うと、ざっくりとした計算で、東海道沿線の新聞販売店さんで、恐らく、中に入れることによって1枚あたり2円違うんです。今まで作業としては、B3のチラシとB4のチラシを2回折り込んでいたところが、1回で済むんです。それが1枚当たり2円違うということは、10万枚で20万円違うんですよ。

内田
かなり違いますね。

杉山
社 もう絶対違うんです。

内田
そのシステムも社長が考えたのですか?

杉山
社 設計は(機械)メーカーさんですけど、こういうことができないのか?という、投げかけの中でメーカーさんが頑張ってくれて、「これならできますね」という話になった訳です。

内田
いい話ですね。非常にクリエイティブですよね。

杉山
そうですね。だからそれはやっぱりあくまでも「ニーズ」ですよね。我々が「こういうものを作りましたら使ってください」というよりは、お客様がお困りごとで、「こういうことができないか?」という、先ほどから何回もいう様にそのお客様に求められているものを当社が加工していくということが、当社の使命だと思っています。

内田
杉山社長は神奈川県印刷工業組合の理事長もされていますよね?印刷業界全体を見渡して現状はどうですか?

杉山
組合員数からすると約190社の加盟をいただいています。

内田
それはどういう、増減はどんな感じですか?

杉山
やはり減少。神奈川としての減少の一番の原因というのは、後継者不足が大きな理由で減少しています。そこになんとか歯止めをかけたいということで、企業の価値を高めよう、印刷会社としての企業の価値を高めようと。お客様から預かった情報を漏洩するということはありえないんです。印刷業というのはまずそこが入口なんです。そのために独自に神奈川県印刷工業組合として、横浜市大CSRセンターの有山教授に監修をしていただいて「情報セキュリティシステム」というものを作っていただいて組合員の皆さんに取得していただくように今運動をしています。これはやはり、会社が印刷業を営む以上、企業としての「価値」だと思うんです。それを組合事業として、今盛んに実行しています。後継者という問題は別の問題なのかもしれないですけれど、もっともっと若い人が、印刷業というものに魅力を感じていただけるように、ずっとやらせていただいています。


湘南エリアで人気を集めているポータルサイト「湘南ナビ」。ユーザーの「口コミ」があった施設やお店だけを掲載、約2000件の情報が掲載されています。担当者の多くは地元の女性スタッフで、特集企画や取材のアポイントから撮影・編集までを山協印刷が手がけています。

内田
「湘南ナビ」というものを展開されているということですけれども、これをやろう、と思ったきっかけはどういうものだったのですか?

杉山
一番の考え方は、湘南という地域がやっぱり元気になって欲しいんです。企業さんとか当然工場的な施設も載っていますので、より多くの人に見てもらって人が来てもらう場所にしたい。そういう意味での口コミサイトを立ち上げさせていただいたんです。やはり地元というか、その場所で企業としてビジネスをさせてもらっている以上、地元が元気じゃないと仕事って生まれてこない、という考え方で、紙以外で何かないかな、ということを考えた時に、口コミサイトを一つ頭に入れて展開をさせてもらっています。

内田
単に「地域紹介サイト」ではなく、そこに口コミを載せて市民の方たちに参加してもらう、という形をとったのは何故だったのですか?

杉山
やはりより「地域密着」ということですよね。口コミをされるということは、必ずそのお店行っている方なんです。それで感想を持たれている方なんですね。その方の口コミをいただいた時に、うちの営業のスタッフがそのお店に直接お伺いして、「こういう口コミが入りました。それで是非お店や施設をご紹介したいんですけど、いかがですか?」という交渉を直接やるんです。必ず行って、帰って、行って、帰って…という動きを全部やっているんです。一軒一軒。

内田
手間をかけていますね。

杉山
手間をかけるんです。かかるんですね。でもそれをやらなきゃダメだと、信頼を置いてもらえないサイトになっちゃうよ…ということで、確実に全部、一軒一軒回っています。

内田
スタッフの方も頑張りますね。一軒一軒きちっと根気よく回って、情報が来るのを待って、きちんとそれを編集してサイトにする訳ですよね?

杉山
特に女性の方が多い。ほぼ女性なんですけど、子育てが一段落した方、保育所へ通っているお子さんがいらっしゃる方、年齢的には20代後半から40、50ぐらいまでの女性が中心で、「湘南ナビ」を大きくしていきたい、ということで、より女性の活躍できる仕事場になっていくのかな、という風に思っています。

内田
山協印刷がこれから目指していく、未来の姿というのはどういうものになりますか?

杉山
社員の子供たちが入社してくれるような会社。これが自分としては夢なんです。先ほど「後継者がいない」という話をさせていただいたんですけど、やはり印刷って魅力があると思っているんです。今後も含めて、やり方をいろいろ考えていければ。やはり印刷って残るし、印刷していくことが世の中のいろいろな意味でためになるだろうと思っているので、印刷業というものを残していくためにはきちっと継承ができる形にしていかなければいけない。だから、究極は「社員の人たちの子供たちが入社できるような会社にしたい」というのが自分の夢ですね。



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運行会社:神奈中サガミタクシー(茅ヶ崎市)