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神奈川ビジネスUp To Date

神奈川ビジネスUp To Date

神奈川ビジネスUp To Date

7月17日放送分
粘着製品の新たな可能性とクリエイティブな販売戦略

ゲスト
大協技研工業株式会社 代表取締役 大山康夫さん


【プロフィール】
1948年 熊本県熊本市出身
1971年 中央大学理工学部卒業 住友スリーエム入社
1986年 大協技研工業設立 代表取締役社長就任


「虫との戦いを支える粘着製品」を特集。「ヒアリ」をはじめとした外来生物や農作物・工場での有害生物の駆除や忌避でその存在に向き合い、安全・安心を求めてきた相模原市の大協技研工業。今新たな役割が期待されているのが「粘着製品」。大山康夫社長に加工技術や研究開発、今後の可能性を伺います。


大協技研工業が開発した「キヒ巻くん」。壁の隙間を完全に覆うことで、侵入経路を遮断しながら、徐々に薬剤が染み出す独自の技術で、有害動物を「忌避」するという製品です。粘着テープの手軽さとその効果で、アリやクモなどの害虫の侵入を防ぎます。


内田
この「キヒ巻くん」、今話題のヒアリも寄せ付けないという商品ですけども、特徴を教えていただけますか?

大山
今、「忌避」というのがすごくブームになっておりまして、窓にぶら下げるものとかございますね。私どもの「キヒ巻くん」というのは、その忌避剤がフィルムの中に練りこまれているのです。普通、窓にぶら下げるものというのは、そこからベーパーで出ていくわけですから、風があればどこか行ってしまう。うちの製品というのは練り込まれていますから、当然そこからジワジワ出て行き、非常に長持ちするということが特徴になります。

内田
ジワジワ出ていくというところが技術。それはそんなに簡単にはできないことなのですか?

大山
そうですね。それとあと一つは、我々は「粘着」を扱っている会社ですから、それを粘着で貼れるようにしたというのがひとつのアイディアですね。これは、技術じゃなくてアイディアになります。

内田
殺虫剤と忌避剤っていうのは、ちょっと違うものなのですね?

大山
違いますね。殺虫剤は完全に殺すために噴霧させるということ。忌避の場合には「寄せ付けない」ということですから、殺すまではいかないのです。要するに来させない。

内田
嫌がるものを出すということですね。今、その忌避剤というものが注目されている背景というのはどういうところにあるのですか?

大山
日本の女性は特にくっつけるのが好きじゃないんです。虫を見ますから。だから見えない状態にしたいと。

内田
虫がいっぱい付いちゃうのは見たくない。

大山
もう「どっか行っちゃえ」ということですよね。だから忌避っていうのが今ひとつのブームというのはそこだと思うのです。要するに来させないという考え方です。最初は農業などで「くっつける方」をやったのですけど、やはり来させないというのも、ひとつのブームというか、皆さん好まれる材料だということですね。

内田
今、ヒアリという、そもそも日本にいるはずのない虫がいるということで、それが来ないようにしようということは、簡単に、今まであった商品をパッと応用できるものなのですか?

大山
たまたま今ヒアリが非常に話題になったので、この「キヒ巻くん」とヒアリというのが注目されたのですけども、そもそも「キヒ巻くん」はそうではなくて、私どものクリーン製品という中に位置づけられたのです。私どものクリーン製品の中で、エアシャワーという、クリーンルームに入るときに、そこでゴミを取ってしまおうという、「アイビーキャッチャー」というのがあるのですけど、それをお客様に提供した時に、お客様の方から「ゴミと、もう一つ困っていることがある」と。「それは何ですか?」と言ったら「虫だ」と。例えばクモが来てしまうとか、タカラダニという赤い、潰すと血のように真っ赤になるダニが来てしまうとか。それを何とかしたいということで、じゃあ来ないようにしようというのが「キヒ巻くん」だったのです。その中に当然アリもあったんですね。

内田
はい。

大山
そうしたら、そのアリがよくわからなかったのです。赤いアリ、黒いアリぐらいしかわからなかったのですけども、フィリピンでテストを行った時に、現地の人間が「ファイアアント、ファイアアント」と言っていた。「何だ、それは?」と。ファイアアント、そのまま言えばヒアリ。そうしたら日本で「ヒアリ、ヒアリ」と騒ぎ出した。本来クリーンからスタートしたものが、ちょっと別の、ヒアリの忌避というところに今は流れが変わって来ているということなんです。ですから、そこにまた何かビジネスチャンスが多分出てくるだろうと。まだはっきり言ってよく考えていません。でもビジネスチャンスは当然ありますね。

内田
この、突然現れたヒアリの需要というのが、これからどういう風に発展していくのでしょう?

大山
今、日本に入れないようにしていますよね。ですから、入って来なければ、これは多分それで終わってしまうと思うのですけど、ただ、例えば幼稚園のお子様たちが、万が一、刺されたら危ない。そこに対して何かしら我々できないだろうか、というようなことは考えていけると思うのです。今度は「安全・安心」ですね。そこの部分の商品化というのを考えたいという風には思っています。


現在、農業の分野では作物にも影響する害虫をいかに駆除、忌避するかが重要な課題になっています。大協技研工業では「虫バンバン」を開発。殺虫薬品などを含まず、黄色いシートの「色」で害虫を引き寄せ、粘着部分でキャッチして農作物の被害から守るという製品です。トマトやナスをはじめとしたビニールハウス栽培などの現場で活躍しています。


内田
「虫との戦い」と言うと、やはり農業に携わっている方が一番苦労されていると思います。そこでも商品が使われているということですけども、どういう用途で使われていますか?

大山
基本的に虫をやっつけるというのには、三つ方法がある。「IBM」と言われているのですけど、一つは農薬。もう一つは黄色の粘着板、もう一つはダニ。ダニがその害虫の卵を食べるというのがある。その中で私どもは、この真ん中の黄色粘着をやろうと。これは何故かと言いますと、有機農法とかが今出ていますよね。それともう一つ、農薬に対して生き残った害虫は耐性ができますから、効かなくなってくるのです。

内田
どんどん強くなっていくのですね。農薬を撒けば撒くほど、耐性を持った害虫がどんどんパワーアップしていく。怖いですね。

大山
現実に、例えばアザミウマとかコナジラミとかいるのですけど、これは西の方ではもう農薬は効かないと言われている。ではどうするのだと言うと、その二番目の、非常に原始的ですけど、黄色粘着で虫を取ってしまおうということになるわけです。要するに、食の安全ということですね。ただこの黄色も、ただ黄色ならいいかと言うと、そうではなくて、黄色の波長によって虫が好む波長があるんです。

内田
同じ黄色でも?

大山
同じ黄色でも。ただの黄色だからいいのではないのです。私ども、これをずいぶん研究しまして、どの波長で虫が来るのかと。それで、ある波長が一番来るということで、その波長の黄色を塗って、それでベタベタするノリを塗って、それで売っている。紙でできていますから、ゴミに捨てられる。これが2~3年前です。7年間はいろいろな試行錯誤をして、でこぼこやったり、蛍光をやったり。

内田
いろいろな黄色をやって。

大山
やっとこの2~3年で、「これはいける」というところに行き着いたというところですね。

内田
研究開発された方は、じっと虫が来るか来ないか見て?

大山
もう大体、顔が虫になっていますよ。だんだん似てきますから、仕事やっていると。はい。

内田
楽しそうですね。職場が。

大山
非常に楽しいです、いろんな顔が居ますから。

内田
今、この商品の需要というか、伸びは?

大山
これ自体は、有機農法がどんどん発達していけば、まだまだいけると思います。

内田
いかにそれを売り込んでいくか、ですね?

大山
そうですね。これが海外にもいずれ使われていくだろうと。今、タイとフィリピンとインドネシアに出しているのですけど、タイでも、やはりお金持ちが買う有機農法の野菜がある。そうするとこの黄色粘着が使われる。

内田
コスト的には、まだかかるのですか?それともかなり投入しやすいようなところまで?

大山
大分安くさせられました。ですからもうコスト的にも十分使えるコストになってきています。


座間市にある生産工場。「かながわ中小企業モデル工場」にも認定されたこの工場では海外人材も活躍しています。日常のあらゆるところに利用される「粘着製品」。大協技研工業の強みと今後の可能性とは。


内田
大山社長はそもそも何故この「粘着テープ」というものをビジネスにしようと思ったのですか?

大山
大学を出た後に、スリーエムという会社に入りまして。当時48,000種類ぐらいの商品を扱っていたのですが、その工業用テープの部署に配属されたのです。そのテープを売っていたときに、「ああこれは面白い商材だな」と。要するにテープというのは、その製品に対するライフサイクルではなくて、そのアプリケーションに対するライフサイクルなのです。

内田
はい。

大山
当時、そのスリーエムの社員としてやっていたのは、「用途を探せ」「アプリケーションを探してこい」と。そうすると、古いテープでも、その市場に対しては新製品という形で販売できる。これが非常に面白いということでテープに嵌っていったのですね。

内田
なるほど

大山
それで16年間スリーエムにいたのですけども、その後に加工をやろうと。それは何故かというと、お客さんに一番近いのです。よりお客さんが使いやすい形で提供しようということで。加工というのは当時テープメーカーがやっていませんでしたから。これちょっとやりたいなと。だから「テープ大好き人間」だったんですよ。

内田
なかなか聞きませんね。「テープ大好き人間」と。

大山
それで加工に入って、独立して脱サラしたということなんですね、はい。

内田
すごく面白いと思うのが、そのテープという商品を売るのではなく、そのアプリケーション、用途を探す仕事なんだと。

大山
はい。

内田
それは現場に入って、どこにテープが必要になるかということを、じっと見て発見するという仕事ですよね。

大山
そうですね。ですから、昔も今も我々の仕事というのは、お客様の製造工程を全部理解しないと駄目なんです。一例を挙げると、プリント基板というのがありますけど、プリント基板ができるまでの工程を全部知らないといけないのです。その中での問題点を探していくわけで、例えば「このラインでこういう問題がありませんか」と。それで「この問題を解決するのにはこの形です」、更に我々加工屋としては、「今度はこれをやればもっと作業性が良くなりますよ」、というアプローチですね。

内田
例えばその生産ラインがありますよね。モノがどんどん動いていく、それで何か動いてしまって、それが生産性を落としている。でも「ここにテープを使うとスムーズに流れますよ」というのは、やっている人たちは気が付かないわけですよね。

大山
そうですね、だから我々が現場の人とどれだけ会話するか、それが必要なんですね。

内田
まず現場に入ってみると。

大山
普通、モノを売るには購買とか資財じゃないですか。私どもとしては、基本的には資財とか購買はあまり行かないで、技術とか現場の方とか、生産ラインとか、そこに行きなさいと。

内田
まさにリアルなニーズですよね。

大山
そうです。やはり問題点は現場にありますから。

内田
ある意味、生産現場のプロフェッショナルですね。いろいろな生産現場があって、営業の方たちが「こういうものは、こういうラインだ」ということも頭に入っていらっしゃるわけですよね

大山
うちの営業マンは入っています。それを知らないと売れませんから。



内田
粘着テープの販売をしている会社さんが「生産現場のプロフェッショナル」というのは意外というか、面白いというか。

大山
そうですね、そうしないとやはり問題点わかりませんから。問題点を解決するところには我々の商品があるんだ、ということですよね。

内田
ものすごい創造力、クリエイティビティが必要ですよね。

大山
それがないとやっぱりテープは売れないんじゃないでしょうか。だからテープの営業って本当に難しいと思いますよ。

内田
御社の営業の方たちは相当、頭をフル回転させて。

大山
社長が駄目だと社員は立派になりますので。

内田
いや、でもやはりそれは社長の呼びかけというか。

大山
はい、考え方ですね。

内田
考え方をしっかりと伝えているからこそだと思うのですけども。そういう現場に入って、自分たちの商品を使うものを発見するわけですよね。お客様が考えもしないような形で、それを提供する、こういう人材を育てるにはどうすればいいのですか?

大山
やはり現場にどれだけ行かせて、お客様から学ばせるか、ということですね。それから「◯◯委員会」というのがいっぱいあるんです。「ものづくりコンテスト」の委員会であるとか、親睦委員会というのがいっぱいありまして。その中にいろいろな部署の人間が集まってくると、何かのテーマに対してディスカッションをしますよね。するといろいろな考え方をそこで勉強するわけです。それも一つの教育の場になっていると思います。

内田
「ものづくりコンテスト委員会」というのはどういうものなのですか? 面白そうですね。

大山
投票箱に、ある期間を決めて、何でもいいから「これがあったら便利だよな」というのを入れるんです。それを締切日に全部開けまして、今度はコンテストと委員会があって、委員会でふるいにかけるわけです。あまりにもくだらな過ぎるよねとか、いろいろなものがありますから。そこでいくつか残ったものを「商品化してみようか」というので商品になるわけです。だから皆からすれば、自分のものが商品化できますから、非常に興味あるという形になるわけです。

内田
投票箱の中に、かなりそういうアイディアは入りますか?

大山
結構入りますよ。皆考えるのが好きなんです。こんなのがあったら便利でいいよと。大体、9割は駄目ですけどね。

内田
皆が参加するというのが素晴らしい。停滞する会社というのは皆、思考停止になる。新しいことを考えさせない、前例を踏襲する、黙ってやっていればいいんだという。こういう文化になってしまうわけです。

大山
結局「失敗を恐れない企業文化」というのがないと。「これ言ったら何か言われちゃうな」と。それは駄目なんですね。だからもう「自由にやれ」と。それから迷っているなら、やらせてあげる。

内田
「やってみろ」と。

大山
「やってみろ」と言う。私がよく言うのは「やるかやらないか、迷っているのだったらやってごらん。もし失敗したら失敗という大きな成長があるよ」と。「成功するよりも失敗の方が成長するよ」と。ただ「会社の屋台骨揺らぐような失敗はするなよ」と。これは当然言いますけど、でもうちは何しろやってごらんということをどんどん言います。

内田
失敗もいい、失敗こそ価値なんだと。そこにものすごく説得力があるというか、力が入ってらっしゃるのは?

大山
要するに活性化してあげないと。やはり夢を与えてあげないと。社長の仕事というのは、いかに社員のモチベーションを上げるか、と思っているのです。社長は、基本的には決定はしますけど、実務的なことはわからないし、何もできない。では何をやるかといったら、皆のモチベーションをどれだけ上げるんだと。だから私も会社で明るく振舞って、社長に話ができるような雰囲気を作らないと何にも良い事がないですよね。

内田
今後の粘着製品の可能性というのは?

大山
これは私どもがどれだけ用途を開拓するか。「見つける」のではなくて、「開拓」していくかということだと思います。ですからそれはある意味、無限かもしれませんね。どこまで行くかわからない。目をいろんなところに、耳も、いろんな情報を掴んで、そこにビジネスチャンスを見つけて我々としてのアイディアを送り込んでいくということじゃないかと思います。



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特徴ある製品・サービスを紹介
「ビジネスのヒゲ」

吸着でがっちり「吸着パワーハンド」
小川優機製作所(横浜市)

7月10日放送分
「特区」が持つ意義と可能性 生活支援ロボット開発の今

「さがみロボット産業特区の今」を特集。特区の存在意義が議論される中、神奈川にある特区の現状を探ります。生活支援ロボットの研究開発が進められる県央エリアでリハビリテーションを支える製品・ソフトを開発する企業のトップお二人に、特区が持つポテンシャルと課題について伺います。


ゲスト(左)
株式会社エルエーピー(厚木市)
代表取締役社長 北村正敏さん

「パワーアシストハンド」「パワーアシストハンドレッグ」を開発。脳梗塞などで機能が低下した手や足のリハビリテーションを支える。

ゲスト(右)
株式会社ラッキーソフト(平塚市)
代表取締役 三田村 勉さん

モーションセンサーを使い、ゲーム感覚で楽しみながらリハビリ・レクリリエーションができる「NATO」を開発。

内田
お二方は「さがみロボット産業特区」で事業をされている。「特区」と言うと、いろいろな意味で話題になっていまして、「特区なんかいらないんじゃないか」というような極端な論調まで出てきている。実際に特区の中で事業をされていて、メリットを感じていらっしゃるところをお伺いしていきたいのですけれども、まず三田村さんから。

三田村
まず、神奈川県とやりとりができるというのはすごく魅力的ですね。普通に起業したばかりで神奈川県の県庁の門叩くというのは、「何のために行くのか?」ということになるのですけども、こういう取り組みをすることで、相手から電話がかかってきますし、行くことができます。さらに大学とも連携ができますので、そういう連携をするためのひとつのワードというところでは非常に助かっています。

内田
北村さんはどうですか?

北村
私どもは、そもそもロボットのロの字も知らないメンバーで、おじさん軍団が生意気にも「ロボットをテーマにした町づくり」みたいなものを目指して動き出したのですけども、素人でどうしていいかもわからないけど、大きなチャンスとして与えられました。現実に商品化されたロボットを販売したり、海外からも問い合わせがあったり、全てのきっかけ、会社ができたきっかけも、この特区になった。ビジネス面というか、お金の面、補助金を国の方からいただくようなアドバイスからサポートまで、徹底的にやっていただけました。特区の中でもロボット企業という信用というのがやはり大きかったと思いますね

内田
特区の特徴である「補助金」という部分、三田村さんはどうですか?

三田村
最初に公募の手を挙げて採択されたのですけども、実際それほど大きなお金をいただくことはないです。ただ、そういった「きっかけ」というのはすごくありがたくて。この特区で出てから関西の方からもお声がかかっておりまして、そこでは大学病院さんと一緒に心拍を取ったりとか、遊びながらどういう効果があるのかとか、ビッグデータとか、そういった話にも広がっています。


高齢化が進む神奈川県。「未病」への取り組みとともに、一度病気になった後や、身体機能低下の予防につながるという「リハビリテーション」が注目されています。現在、介護サービスとしてリハビリを利用している人数は全国でおよそ95万人。また、脳卒中などの総患者数は117万人いるとされ、機能回復や、高齢者の認知症予防、事故被害者など、様々な形での筋力・脳機能リハビリが求められています。


内田
「リハビリ」ですけども、それぞれどういう方のリハビリをターゲットにされているのかということをお伺いしたいのですけども。

北村
私どもの取り扱っている製品は脳卒中をテーマにしたリハビリの器具です。脳卒中になると片麻痺になってしまって、放っておくとどんどん手から足から拘縮していってしまう。それを防ぐためには、やはりリハビリが必要なのですけども、今、病院などではある程度リハビリの時間が制限されていたり、療法士の先生も人数が制限されていたり、あるいは病院を退院する時期も3ヶ月から6ヶ月とかで区切られていて、思った以上のリハビリができていないというようなことが言われています。現実に療法士の先生も、ちゃんと療法できる時間が欲しいし、退院されても面倒みていけるような時間も欲しい、ということはお聞きする。そういったところで、うちの機械はロボットという枠の中で、自分たちで、家庭でもできる、自分ひとりでもできる手のリハビリ、足のリハビリのロボットを開発して、やりがいと熱い思いを持って取り組んでいます。

内田
三田村さんはどうですか?

三田村
最初はリハビリのシステムとして出したのですけれども、高齢者だけではなくて、いろいろな障害を持った方だとか、そういった子どもたちに笑顔を作ってあげようというような取り組みで。笑顔のなくなったような所に「笑顔のリハビリ」ということで、ずっと続けていったのです。一つの事例なのですけども、18歳の片手しか動かない子が、普段3分間しか動かないのに、うちのシステムで10分間動かした。「やれ」と言われたわけではなくて、自分の中で一生懸命、片手を動かしてシステムを進めていった。また、うちのシステムがきっかけで、子どもたちがおじいちゃんとかおばあちゃんに「一緒に遊ぼう」と語りかけるようになったとか、施設で塗り絵ばっかりしていたおじいちゃんが「こういうのがやりたかったんだよ」と涙ながらに教えてくれたこと、そういったところで気付きは多いですね。

内田
リハビリ市場をビジネスチャンスと捉えたときに、リハビリが必要とされるとニーズをどのようにイメージされていますか?

三田村
すごく市場は広がると思います。高齢化社会もそうですけど、医療費とか介護保険料の高騰だとか、今、明らかに赤字であるわけで、それを我々はいかに抑えていくかという努力をしなければならない。ただその場でテレビを見させるだけではなくて、リハビリテーション、運動をして、健康になって、医療費を削減していこう、というような取り組みに、これからお金は使われていくのだと思います。

内田
北村さん、ビジネスチャンスはどうですか?

北村
実際に私どもは海外からの問い合わせが増えていまして、特に中国などが多いのですけども、独占してやりたいという問い合わせがある。そのくらい高齢化というのは大きな問題になっているということをヒシヒシと感じますので、成長していくと思っていますし、そういう時代がもうすぐそこに来ていると思います。

内田
「今後、特区制度を続けていく」と、黒岩祐治神奈川県知事も2018年からさらに延長していこうという話もある。この特区という制度をさらに維持し、意義あるものとして有効に活用されるためには何が必要だと感じますか?

北村
やはり県の特区ということ、もっといろんな企業が活用できることや、県の応援とか大学のバックアップだとか、いろいろなことがある。是非いろいろな会社に取り組んでもらうと、日本の中のロボットに関しては中心地になると思いますし、世界に向けての発信なんていうのは起きうること。もうちょっと頑張って、ロボット特区があるということをいろいろな企業の方が知って、携わっていただくと、すごく大きなメリットがいっぱいあるのに、もったいないと思います。

内田
三田村さんはどうですか?もう少しこういうところにバックアップが付くとうれしいと。

三田村
厚木市さんとか大和市さんというのは、展示会で補助をしていただいたりして、すごくありがたいです、藤沢市さんにも呼んでいただいたりして。県ももちろんですけれども、そういう支援があって、そういうところをもっと広げていくと、我々も企業なので、やはりタダでというのではなく、展示するときの補助といったところは協力していただいて、広げていければすごく良いと思います。


内田
実際に使ってみて、本当に必要とされている動きを提供するということが伝わってきたのですけれども、製品の完成度といいますか、ご自身たちの中での満足度といいますか、大体何点ぐらいですか?

三田村
常に成長していますから30%くらいじゃないかと思ってしまうのですけれども。新しい現場に行けば行くほど、新しいことが見えてきて、そこに取り掛からなければならないというのがあるのです。例えば台湾とかシンガポール、マレーシアで「欲しい」という声がある。ただ、これは日本語にしかまだ対応していません。地元の高校・大学と連携して、例えば吹奏楽部に曲を提供してもらうとか、コンテンツで提供してもらうという取り組みを、今まさにしておりまして、なにかしらそういった学生のパワーというところを入れていきたいとは思っています。

内田
ソフトがどんどんリニューアルされていくような仕組みを作っていくということ?

三田村
はい。



内田
北村さんはどうですか?

北村
うちの製品の完成度と言えば、70~80%は行っていると思います。ただ、課題として、私どもの製品は基本的に個人宅、在宅の方の利用者が多いので、いかに在宅へのロボットの普及を進めていくかということ、そういう仕組みづくりがすごく大事だと思っています。三田村社長のロボットもそうですけども、ものすごく良いロボットがいっぱいあるのですよ。特区の中で50種類も60種類も素晴らしいロボットがあるのに、実際に在宅の高齢者で困っている方はそれを知らない。何とか知っていただくような仕組み、あるいはモニタリングするとかですね。

内田
はい。

北村
高齢化が進んでいくと不安になる。「自分たちも歳をとったらどうなるのだろう」「子どもや孫にも迷惑かけたくない」「できたら家の中で最期まで暮らせたら良いな」というようなことを、安心度というか、高齢化社会が怖くないという安心度を高めるためにも、こんなロボットがある、こんな未来があるということを、このさがみロボット産業特区から発信して、高齢化社会を怖がる時代じゃなくなるという、そんなことを作っていくと、ビジネスにも繋がるロボットの普及に繋がっていくと思っています。



tvkのYouTube公式チャンネルの「見逃し配信」では取材VTRも含め、インタビュー全篇をご覧いただけます。(視聴無料です)

特徴ある製品・サービスを紹介
「ビジネスのヒゲ」

物流屋さんの販促支援サービス「販促便」
タムラコーポレーション(川崎市)

7月3日放送分
「小売店の“リアル”で探る酒税法改正とビール値上げ」

ゲスト
株式会社パスポート
代表取締役社長 濵田総一郎さん


【プロフィール】
1955年 鹿児島県いちき串木野市出身
1977年 武蔵大学卒業 東武鉄道株式会社入社
1980年 濵田酒造入社 常務取締役営業本部長・東京支店長
1989年 ワールドリカーズ株式会社設立 代表取締役社長就任
1993年 パスポート株式会社設立 代表取締役社長就任
2017年 一般社団法人神奈川ニュービジネス協議会 副会長就任


値上げに揺れる「酒」業界を特集。酒税法の改正で安売りが規制される中、値上げか据え置きかで未だ判断が分かれている。大手小売やディスカウント店はどう対応しているのか。また法改正の意義はどこにあるのか。川崎市で酒専門店や業務スーパーなどを展開するパスポートの濵田総一郎社長に、リアルな現状を伺います。

内田
酒税法改正ということで6月からお酒の価格が変わっているはずですけども、現状はどうですか?

濵田
そうですね、現場が本当に混乱しているという状況です。我々も近隣の店舗の調査をしたのですけれども、大体6%から12%ぐらいの値上げを6月に入ってされていて、中には据え置いておられるところもあるというところで、我々も、日々、周りを見て価格をどうしようかというところで協議しているところです。

内田
足並みがそろわない、みんなが混乱している理由というのはなんですか?

濵田
今回は総販売原価を割らない価格ということになっているわけです。ところがその総販売原価の算出根拠が示されていないものですから、各店舗、各業者にそれを委ねると、どこからが総販売原価を割る、どこからが違法なのか、それがわからない。それで周りの状況を見ながら、「あそこの価格がどうか、こっちの競合店はどうか」と、周りの店を見ながら自分たちの最終的な価格を決めようということで、いったん決めてもまた、毎日、毎週変動している。そういうのが、今の現場の状況ですね。

内田
「一律何%値上げせよ」、ということではなく、そういう意味では、大手流通もパッと値上げをするという行動は取っていない?

濵田
年が明けて1月2月、3月ぐらいまでは「今回は値上げをせざるを得ない」ということを、大手流通さんのコメントとしても言っておられたのですけれども、6月1日が近付くに連れて、総販売原価の理論武装を段々されて、一部はその理論武装ができたので、従来の価格を据え置いても違法にはならないということで、一部のところは据え置くところも出てきているということなんですね。

内田
消費者の立場からすると、「一体値上げをするのか、しないのか」という意味では、お客さんも混乱するところですよね?そういう中で、何故今、酒税法改正ということになったのですか?

濵田
これは「町の酒屋さんを守る」という、議員立法で成立した改正法案ですけれども、一部の特定の業者さんだけを守ろうという改正法のようにしか見えないと、我々から見るとそう思いますね。一番大事な消費者、生活者、ここに対する配慮が全くなされていないのではないかと。

内田
「町の酒屋さんを守る」ということですけれども、町の酒屋さんは本当に今守らなければいけない状態にあるのか。例えば商店街にある酒屋さんというのは、もうとっくに淘汰をされる、もしくはコンビニエンスストアになる、というような変化を遂げていて、守るべき町の酒屋さんというのは一体どういうものなのだろうという、ありそうでないようなものを言われているような気がするのですが。どうなのでしょう?

濵田
おっしゃる通りですね、歴史を遡りますと、1993年9月に酒類販売免許の緩和通達が出た。「お酒の免許が確実に緩和されていきますよ」と。現にスーパーマーケットさんだけでなく、コンビニエンスストアさん、ドラッグストアさんがどんどんお酒の免許を取りだして、お酒の売り場が一気に全国で広がっていったわけです。その最中に、町の酒屋さんというのが、今まで活躍されておられたところが、どんどん淘汰されていったわけですね。その中で町の酒屋さんも今残っているところは、その住み分けのために清酒の品揃えを豊富にしたり、ワインの品揃えを豊富にしたり、自分でお酒の知識を身につけて専門店としての顧客対応をすることによって今生き延びている。そういう意味では今残っておられる町の酒屋さんの大半というのは、もう住み分けができつつあるお店ですよね。ですから今回、あえてそういう特定の町の酒屋さんだけに焦点を絞った法改正が如何なものか、というのが一つあります。それと、その趣旨はそうであっても、実際には売る方と買う方がいて、大手の量販、小売チェーンというのが売り上げも非常に大きくなっていますし、そのバイイングパワーが増してきている。しかも今は供給過剰の方で、買い手の方が強いわけです。そして一方の、そういうバイイングパワーのない、町の酒屋さんたちは、値上げをすでに受け入れて、受け入れざるを得なくて、値上げをされているわけです。本当はその力の弱い町の酒屋さんを守ろうという趣旨でスタートしたのが、現実的には、その力の強いものと弱いものとの格差がさらに広がるのではないかなと思って懸念しているのですけどね。


酒税法改正による値上げ。その理由は、「リベート」の規制強化です。これまで業界では、商品を多く販売した小売店にメーカー・卸業者が「リベート」と呼ばれる「販売奨励金」を支給。店舗での値下げを可能にする一方で、メーカーの疲弊にもつながっていました。今回、販売力のある大手小売と、町の酒屋さんの販売価格にこの「リベート」が強く影響しているとして、国税庁が公正な取引のために基準を設け、裁量的なリベートなどを規制しています。


内田
リベート、販売奨励金というものをメーカーが、「自分たちの商品を是非とも置いてほしい、売ってほしい」ということで、ずっと払い続けてきているという商習慣、これがかなり負担になってきているのではないか。そういったお酒メーカーの業績も、必ずしも好調とは言えない。酒離れということもある。そういうものに対して、こういう法改正という部分が働いているのかなと思うのですけど、このあたりはいかがですか?

濵田
メーカーにとってはこの、いわば官製値上げというのは、大義名分のある値上げとして大歓迎だと思うんですよ。ただ短期的に見ると、リベートが無くなって、その分、利益が出るわけですけれども、これを中長期的に見ると、やはり一番の不利益を被るのは、その値上げによって、低所得層の、経済的弱者の立場にある生活者、消費者の方々ですよね。そういう人たちが、ここで酒離れ、あるいはビール離れがくる、マーケットそのものが縮小すると、これはもう、メーカーにとっては経営の致命傷になっていくわけです。また、国にとっても、税収が減ってくるわけで、長期的に見たときに、誰が得をするのかなと。そういう思いはあります。

内田
大手であればあるほど、バイイングパワーがあるから販売奨励金も貰えて、それで値段も安くできる、と考えると、大手流通が今まで得をしていたというか、利するところにあった。それを是正しようと考えると、正しく平等に、お酒が販売されるのではないかと思うのですけども、ここはどうでしょう?

濵田
そうですね、不透明なリベートというのは、これから無くなってくると思うのですけど、合理的な、機能を評価してのリベートというのは無くならないと思うのです。元々小売りの価格というのは、企業が意思決定をする、企業の努力によって、そのコストを決定するのが、本来の在り方だと思うのですけれども、ここへ行政が入ってきて、価格のコントロールをするということ、そのものがちょっと無理があるような気がしますね。

内田
そもそも、もう自由競争なのだと。そういうものに介入してはいけないのではないか、という思いもあると?

濵田
やはり「適者生存」なんですよね。そして「天は自ら助くるものを助く」で、大手と同じような競争をしようとすると、町の酒屋さんは勝てないわけで、先ほど言ったように、自分たちの得意な土俵を作って、自分たちの得意な土俵で勝負をすべきであって、それはやはり専門性とか自分の特徴を活かした、そういう戦い方で社会的に存在価値の高い店づくり、売り場づくりをしていくしかないと思うんですよね。


市場に大きな変化をもたらす酒税改革。その中で、「ビール系飲料」と呼ばれるビール・発泡酒・第3のビールは、今後10年で税率が統一されることが決定しています。国内メーカーもさらなる商品開発を進める一方、パスポートでは海外メーカーと組んでプライベートブランドを充実させ、低価格の商品を提供できるよう注力しています。


内田
2026年までに、ビール・発泡酒・第3のビールの酒税が統一される。今まではもう「とにかく安いビールを売ろう」というので、いかに税金を安くするかという戦いだったと思うのですけれど、ここでこの戦いは終止符が打たれるということなのですか?

濵田
この酒税改正とメーカーさんは、いつもイタチごっこみたいなもので、酒税改正をどういう風に新しい商品で埋めていこうか、ということをずっと繰り返してきたわけです。

内田
すごい知恵比べ。

濵田
今回はビール・発泡酒・第3のビールの酒税が一本化されるということですが、ビールは下がるわけですよね。発泡酒と第3ビールは逆に上がる。そうするとどういうことが起こるかというと、一番有利なのはビール。そして、ビールの中でも、ブランド力の高いビール。ここは一番有利になってくると思います。今、各メーカーさんが考えておられるのは、いかに新しい価値のある新商品を作りだすか、そこの戦いになってくると思います。酒税が一本化されても、そこでやはり松・竹・梅、価値訴求型の商品、そして価格訴求型の商品、そういうバラエティに富んだ商品を出すことによって、ビール業界がまた活性化する。その流れに持っていかざるを得ないだろうと。一方では海外から持ってくる、海外で作って日本人の好みに合うビール、こういう開発も一方では、更に盛んになってくるだろうと思います。

内田
「安いビールを売りたい」という側の競争は終わらないと?

濵田
終わらないですね。これはニーズがある限り、お客様の欲求がある限り、そこはもう作り手も、我々小売りで提供する側も、常にそこを満たすことによって我々の存在価値が出てくるわけですから。

内田
そういう意味ではパスポート、濵田社長の会社というのは、どういう戦い方を?

濵田
私のところは、お酒というものを単独で見ていない。食品売り場の一角に入った食品と同じ視点でお酒の商品を見ているようにしているわけです。ただ、お酒のこういう流れになってくると、我々が今、展開しているのはお酒のプライベート商品を強化していこうということなんですね。従来、我々もビールのプライベート商品をアメリカで作ったり、ヨーロッパで作ったり、近年になってからは、韓国、中国、それから、ベトナムで作っていますけども、競争力を高めるためには、あるいは自分たちの土俵を作るためには、もう国内のメーカーさんで応じてもらえないのであれば、海外のメーカーと手を組んで日本と同じような製法のビール、そして原材料についても、同じような原材料を使いながら、品質的にはもう遜色のないものを、独自の商流、流通を作りながらお客様に提供する。今そういう動きをしているところですね。

内田
パスポートのこれから、ですけども、濵田社長はこの会社をどのようにしていきたいですか?

濵田
3本の柱がありまして。一つは、既存のスーパーマーケットさんと住み分けをするために、生鮮&酒&業務スーパーというビジネスモデルを作っています。これをどんどん大きくするということ。それと今後将来、次の食の柱を作ろうと思っているわけですが、これは精肉を中心とした事業ですね。そのメーカー機能、加工機能を持ちながらそういう物販の小売り事業もやる。ネット販売もやる。そして、肉を中心とした飲食事業もやる。これは高収益、高利益のビジネスモデルができると思っています。そして和牛ブランドを中心にグローバルでも展開できる。そういう発展できるビジネスモデルを、この食肉を中心として、将来を作っていきたい。今はその準備をしているところですけれども。

内田
はい。

濵田
もう一つは、エネルギーの事業ですね。今までは太陽光発電事業が主力だったわけですけれども、今後はバイオマス発電、あるいは地中熱とか温泉熱を使ったバイナリー発電だけでなくて、創エネ・省エネ・蓄エネにIotを組み合わせたスマートグリッド社会へ向け、それを発展させようと。ですから一つが業務スーパー。二つが精肉を中心とした肉事業。そして三つ目がエネルギー事業。この3本柱に集中をして、この10年先を見据えて発展していきたい。そう思っているところです。



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